僕が知るとブームが終わる
ちょっと前のことだけど、夕食のときに「猫ミームっておもろいよね」って言うと、「もう古いよ」と家族全員に突っ込まれました。
若い人に流行っていることが、僕のような中年が知る頃にはすでに古くなっている。「中年あるある」ですよね。
昔より、新しいことを知る感度が弱くなっている気がします。周りの人から情報を得る機会が減っているのもありますし、もうひとつ大きいのは地上波のテレビ番組を観なくなったからだと思います。「猫ミーム」みたいなネット派生のブームでも地上波テレビは比較的早く取り上げます。テレビを観ていれば、ちょっと遅いぐらいでブームをキャッチできるはずです。
今年になってテレビをつけたことがほとんどないです。別にテレビ観ない自慢をしたいわけじゃなく、TVerでは番組を観ますし、YouTubeのいくつかのチャンネルも登録しています。
だから、番組を通して、多くの情報を入手しているはずですが、流行りのものはなかなか届きません。
これは、自分が観たい番組を選別しているからだと思います。地上波テレビをずっと流しているのと違い、自分が好きなものだけを選んだドラマやバラエティばかり観ます。情報番組はあまり観ません。だから、流行りのものを僕が知る頃にはすでに古くなっているというわけです。
昔は、みんなが同じ番組を同時に観て、同じ新聞から情報を得ていたと思います。
個別に好きな情報を得られるのは自由で良い世界ですが、小説を書くうえで、細分化された人たちに合わせて書くのはチャレンジなことではあります。
人によって知識が異なるので、自分が知っていることで「このことはみんなが知っているだろう」と書いたことが、知らない人ばかりということもあり得ます。。
自分の知識が標準的なのかどうなのかわからなくなります。自分が得た情報だけではなく、読者の知識や嗜好を想像して書く必要があります。
それはしんどいことではありますが、個性的な人物を想像する楽しみは増えた気がします。「標準的な知識」を持つ人が減ったおかげで、偏った知識の人を物語に登場させても、そこまで違和感を持たれなくなったと思います。
標準的なものが壊れたことで、より個性的な世界になったということかもしれません。
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