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語尾の誤謬

小説を書いていると、語尾をどうするか悩むことがあります。これは日本語の欠陥のひとつだと思うのですが、どうしても同じ語尾が続いてしまいます。
「だ・である」調の現在形なら「る」、過去形なら「た」と「だ」が多くなってしまいます。人は同じ語尾や表現が続くと駄文だと認識します(リズム感が出てくれば別ですが)。
英語だと、文末に名詞や副詞を置けるので、同じ語尾が続くことは少ないです。

同じ語尾問題を解消する方法は、いくつかあります。
ひとつは、長文を挟む方法です。いくつかの句が挟まる長い文だと、語尾と語尾の間が離れるので、同じ語尾感が薄くなります。ただ、文章がうまくない人じゃないと長文は読みにくくなるので、文章力が問われることになります。
他には、体言止めにするとか、現在形の「る」と、現在完了形(っぽい)の「た」を混ぜる方法もあります。
理想なのは、「る」以外で終わる用言を使う方法だと思っています。「美しい」とか「言う」とかですね。ボキャブラリーが問われますが、多様な言葉を扱い、異なる語尾が続き、リズムが出てくると、美しい文章になる気がします。

「俺のイイタイコトはこれじゃあ!」と同じ語尾が続いても気にしないのがかっこいい気もします。誰か忘れましたが、「語尾など気にするな。全部『た』にしろ」と言った大御所作家さんがいましたね。誰でしたっけ?

まあ、作者が思うほど読者は「語尾」を気にしていないと思いますが、神は細部に宿りますからね。

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