ペーパーレス作家の作り方
小説家が行うことのひとつにゲラを修正する作業があります。ゲラとは校正さんが誤字や表記ゆれをチェックした紙面を指します。
校正さんが入れてくれたアカを確認して、原稿を訂正するかそのままいくか決めるのが小説家の役割です。
通常は紙でやり取りし、赤ペンで修正するのが一般的だと思いますが、僕はPDFファイルで作業をしています。タブレット上の電子ペンで赤を入れていきます。長い文章を修正する際は、キーボードで入力しています。
どうして、PDFで行うかというと、ひとつは後から修正したいからです。紙に入れた赤を修正すると、二重線で消して、新しい修正点を書くので、ゲラがどんどん汚れていってしまいます。タブレットで行うなら、容易に修正することができます。
もうひとつの理由は、時間がかかるからです。特に赤字で修正する際には、小さな字を丁寧に書き込むのは手間がかかります。これは個人差と慣れによるかと思いますが、最近ではペンで字を書く機会も減っているので、ペンで赤を入れるのは僕の場合かなり時間がかかるのです。
最後の理由は、郵送する手間と時間が不要な点です。現在、僕は宮崎に住んでいます。出版社がある東京とは郵送に2日かかります。紙でゲラをやり取りすると、往復4日かかるわけです。再校、三校まですると、計3回往復することになるので、郵送に合計12日かかります。当然、それだけ進行が遅れることになります。PDFなら、時間がかかりません。郵送する梱包作業も不要です。
他の作家さんがどうしているかわかりませんが、作家の岩井圭也さんは全ての作業をPCでおこなっていて、かなりレアだと編集者さんに言われたそうなので、PDFファイルだけでやり取りするのは少数派かもしれません。
タブレットも使わず、PCというのもすごいですね。タッチ機能付きのPCなのでしょうか。
デジタルキッズ(死語)である僕はデジタル機器で作業ができるのは助かるのですが、課題はタブレットです。
現在は、Amazon Prime Dayで安く購入した「Amazon Fire HD 10 Plus」を使っているのですが、たまにアプリが落ちるんですよね。突然落ちると、それまでの作業が全て無になってしまいます。これは虚しい。
手のひらを画面に置いても正常動作ができるパームリジェンクション機能がないので、常に手首を浮かしている状態で作業をしないといけません。
iPadが欲しいのですが、狙っているiPad Airの新型がいつまで経っても登場しないので、ずっと待っているところです。
iPadで使えるApple Pencilは手元で消しゴムとペンを切り替えることができて便利なんですけどね。
今のところ、「Amazon Fire HD 10 Plus」を使って自分の指で修正しています。
このやり方を僕は気に入っていますが、懸念があるとすれば本が完成するまでに紙に一切触れないペーパーレスになることでしょうか。
紙の本を作るのにペーパーレスってね。