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空気と水が怖い人々

古典落語の名作「まんじゅうこわい」は、仲間内で「怖いものの話」に興じていた時、その中の1人が言った「まんじゅうこわい」に対して、周りの人間がまんじゅうこわい本人に大量の饅頭を見せたらどないなるやら。。と企てを仕掛けたものの、本人は「怖い!怖い!」と言いながら全て完食。実は大の饅頭好きだった、という話。

でも、対象が何につけ「他人を欺いてでもスキなものに貪り食らいつきたい!」というところまで人を追い詰めるのだから、そこまでさせてしまうモノは、「怖い」ものなのかもしれない。饅頭に準えたらからこそ滑稽な落語になってるけど、覚醒剤やシンナー、はたまたアイドルやゲームへの課金の類など、現実的に問題になってるモノは今も昔も変わらず、ある。

世の中には、「スニーカー」に熱狂する人々も多くいらっしゃる。自分で履く用、眺めて楽しむ用、転売用など同じスニーカーを3足も4足も持つという。

そんな彼らが恐れるのが、「空気と水」。最近のハイテクスニーカーは、ソールにウレタンを用いるものも多く、それらは年月をかけてゆっくりと、空中の窒素、紫外線、微生物、空気に含まれる水分で加水分解が起こる。加水分解。これは、スニーカーにとって「死亡」を意味する。ソールがボロボロに、崩れて剥がれる。。

そうならないために、スニーカー好きな方達は、これぞ!というスニーカーはラップでぐるぐる巻きにしたり、空気に触れないように工夫や試行錯誤を惜しまない。見る人がからすれば「単なるズック風情」にここまで腐心するのは、滑稽にも映るだろう。

90年代〜のNIKEバスケットシューズ直撃世代の私も、例に漏れずそういったスニーカーを所有してたのですが。。はい。被害者の1人です。あれ以降、ハイテクスニーカーを購入できなくなった。今は主にブーツとか、もしくはウレタン使ってないローテクなスニーカーを履いてます。ほら、ブーツはソール減ったら変えられるし、オールスターの類は加水分解ないから。

大好きなモノとのお別れほど、辛い出来事は無い。「やがて花びらのように散るからこそ、儚い」という考えもあるかもだけど、そういったものに1万円以上払うのは悲しすぎる、というのが個人的な意見です。要は、貧乏性。何年もかけて古びて艶が出るブーツや革靴の方が、私の性格に合ってるのかも。

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