第一話 偏執の冬
俺は54歳、普通に会社で働いている。普通に結婚して、2人の子供も大学生となり、嫁と、娘とそれなりに仲良く暮らしている。息子は関東に下宿している。普通の人生を歩んでいる普通のサラリーマンだ。
俺は今、名古屋錦の高級クラブの入居するビルの前にいる。今日は平日。街は会社帰りの人で溢れている。
俺は、見た目は若くみられる。服装はモンベルのダウンジャケット。靴はレッドウィングのベックマンだ。
ドアを開けると、ドレスを着た女性達に、まさに足元を見られているのを感じた。女性の1人が、お預かりします。と言ってバッグとコートをバックヤードに持っていってしまった。そして席まで案内された。
女の子 はじめまして、もかでーす。何
飲まれます?
俺 もかちゃんの飲みたいものでいいよ。
女の子 私ドンペリ飲んでみたーい。
俺 じゃ、ドンペリロゼ? それにしよう
か。
って言ったら、大丈夫かな、この人。値段分かっているのかな?って顔をしてきた。
俺 それとお腹空いているんだけど、お寿司
とか出前取れる?あっ、お寿司とか好き?
って聞いてやったら、好きだよーって言ってまた変な顔して黒服を呼んだ。
黒服 お寿司は取れるのですが現金になって
しまいます。
俺 さっき預けたカバンに現金入っている
から持ってきて。
と伝えた。
黒服がこちらですか?バーキンですよね?って話しかけてきた瞬間、周りの空気が一瞬しんとなった。私はカバンの中から、ケリーの財布を出して黒服に渡した。中には200枚くらい一万円札が入っている。
俺 とりあえず、特上の寿司を、私と、この
子とあなたの分頼んでください。
お寿司が届いたので、食べていると、落ち着いた感じの女性が、ママのひとみです。ご挨拶に伺いました。って俺の右横に座ってきた。ママは着物を着こなしていた。綺麗だ。黒木瞳にそっくりだ、乾杯した。私もお寿司頂いてよろしいですかって笑顔で聞いてきた。
俺 好きなお寿司、もう一つ出前して
ください。
と財布を渡して、
俺 あとシャンパンはもういいので、一本
ボトル下ろしてください。
と伝えた。
ママ 何にいたしましょう?
俺 100万円くらいので。
黒服が山崎50年と響35年の限定品を持ってきた。どちらにしましょうかと聞いてきたので、瓶のかっこよさで山崎にした。
ママ お時計いいものされているのですね。
俺 あぁ、これはオーデマピゲのロイヤル
オークだね。よく知っているね。
ママ お高いのでしょう?
俺 500万くらいかな。
ママ 先ほどのおカバンもバーキンでしたで
しょう。
俺 そうそう。
ママ お財布もエルメスでしたよね?
俺 そうだね。ケリーだね。よくみてますね。
なんか、嬉しいけど、モノしか見てない。俺のことではなくモノで判断している。
なので俺は、時計は他にもパティックフィリップや、ヴァシュロンコンスタンチンも持っているよ。って言ってやった。ママはあまり分かっていないようだったが、きっと高いモノと思ったようで、目をうるわして、体を寄せてきた。ママは、ロレックスのシルバーのテンポイントを付けていた。品はいいが、格が違う。
耳元で、今夜君と2人で過ごしたい。12:00までにここの部屋においで。お礼はちゃんとするよ。と言ってホテルとルームナンバーを伝え、タクシー代を10万円渡してチェックした。
11:30頃、ドアをノックする音が聞こえた。ここは名古屋駅の南にあるプリンスホテルの一室だ。名古屋駅の夜景を一望できる。
ドアを開けるとママが立っていた。結っていた髪は下ろして黒のニット、ベージュのタイトなスカートを履いている。ワインを持ってきている。
ママ こんばんは。お邪魔します。
顔を赤らめている。
俺 どうぞ。
俺はバカラのワイングラスを二つ出した。オープナーは、ママが持ってきていた。気が利く。ベッドに横に並んで座って乾杯した。グラスをテーブルに置いたタイミングで、俺はママの肩に手を回してキスをした。
ママの体は、とてもいい匂いがした。ストッキングを脱がした。足の指爪から丁寧に手入れしている。綺麗に脱毛されていて肌もしっとりしていて柔らかく暖かい。ジムに通っているのか、ウエストもしまっている。自分の体にお金をかけているのがわかる。そしてなんだろう、俺のお金が目当てなんだろうが、それを感じさせないところが良い。とてもいい気分だ。ある程度は演技なんだろうが、俺の動きに合わせてとても感じている呼吸をする。ことは終わり、そのまま寝てしまった。
朝、目が覚めると、彼女がちょうどベッドのへりに座って下着をつけていた。綺麗な白い下着だ。背中が綺麗だ。姿勢が美しい。後ろから抱きしめて、立って大きな窓まで行き、そこに手を付いてもらい、そのまま後ろ向きで、した。高層の窓から眼下に名古屋駅が見える。新幹線がホームに止まろうとしていた。
ママ すごくエッチ、、、。あっ。
2回目が終わった。しばらくしてシャワーを浴び服を着た。
俺 もしよかったらこのカバンあげるよ。
昨日、たまたま名駅のミッドランドスクエアで買ったルイヴィトンのリュック、シャネルの落ち着いた感じのハンドバッグ。2つ合わせて100万円くらい。まだ未封のままだ。2つ共あげた。
仕事まで時間があるそうなので、ホテルの和食を部屋にとった。
朝は和食が良い。
俺 家の近くまで送るよ。
ママ またきてもいい?
俺 ああ。
俺は時計をはめて、カバンと車の鍵を持った。時計はパティックフィリップのカラトラバ。車はビルの地下に停めてある。今日はメルセデスのSL300を乗ることにした。年代物のスポーツカーだ。助手席のガルウイングを開けてあげた。彼女は、初めて見ました、って驚いていた。ワクワクしている様子が伝わってきた。
彼女は、丸の内のマンションに住んでいた。車内でお別れのキスをした。俺はもう一度彼女の胸を揉んだ。彼女は、全然嫌がる素振りもせず、舌を絡めてきた。
夕方俺はホテルに戻り、作業着に着替えて、会社のトヨタプロボックスに乗って家に帰った。嫁がおかえりって言ってごはんを出してくれた。昨日の夜勤届、出した?って聞いてきたから、出したよって答えた。嫁は、平凡な普通の顔立ちだ。少しお腹に脂肪がついている。俺のことを普通のサラリーマンと信じ込んでいる。
二週間たった。久かしぶりにママの店に寄った。ママは、もう、お待ちしてました。って言って私の胸を手の平で優しく弾いた。
ママは、私の右横に座った。とりあえず、ドンペリ、そして飲みもしないマッカランを一本下ろして寿司を取って食べた。あとフルーツ盛り合わせを食べもしないのに注文した。
前回、若い女の子が言っていたが、ママはこの店ではかなりの人気者で、ママに会う為に貢ぐ常連の社長がたくさんいるとのことだ。そんなママを俺は独占している。
ママ 今日も素敵な時計。
俺 ヴァシュロンコンスタンチンの
オーヴァーシーズだね。
ママは、ねぇ、今日寄っていい?って俺の太ももに手を置いて聞いてきた。分かった。12:00までにきてね。と言ってチェックした。
11:30頃、ママは来た。ママは、今日は少し短めの黒いスカートに肌触りの良いベージュのコートをしていた。綺麗な顔立ちだ。目が潤んでいる。部屋に入り、コートをクローゼットに掛けた。カシミヤのタイトなセーターに、ちょうどいい大きさのの胸が膨らんでいる。俺はしゃがんで、立ったままの彼女のヒールを足から外して横に並べて置き、スカートとストッキングをゆっくり脱がせた。
すらっとした綺麗な素足が、カシミヤのセーターの裾から出ている。
佇まいに品がある。しゃがんだまま、まじまじ足の付け根の膨らみを見ていたら、恥ずかしがって体を寄せてきた。
いろいろな体位をした。体の動かし方が上手い。最後は騎乗位で果てた。そのままキスをした。
お礼は既に買っておいた。落ち着いた感じのカルティエのタンクフランセーズ新作だ。100万円くらい。
朝方、朝日を浴びながらもう一度した。彼女は、俺のを口に含んでくれた。俺を見つめたり、気持ちよさそうに声を出して目を閉じたりした。
名港トリトンを車で走ってみたいって言うから、今日はフェラーリF40にした。時計はパティックフィリップの金のノーチラス。イタリアンレッドのフェラーリには、金色の時計が似合う。彼女は、車を見て朝から興奮気味だ。
女性は、男性のしている時計と、乗っている車が高級で、かつ反社でないなら、本能的に近付いてくる。それは全く悪いことではない。自分とその子供を守ってくれるものは、今の時代はお金だ。原始時代ならば、毎回マンモスを取ってくる男性に、女は惚れるだろう。それと同じだ。だからとても自然なことだ。そして自分の子孫を残していく為に、金持ちの男に振り向いてもらう為に自分を磨く。
名古屋高速に乗り、名港トリトンを走った。とても楽しそうにしている彼女をみて、俺も幸せな気分になった。途中、国産蛤料理の店に電話して、空きがあるそうなので桑名まで走り、蛤料理を食べた。
夜家に帰ったら、嫁と娘がソファーでそれスノ見ながら、おかえり、おかえりーと言ってこっちを見て微笑んだ。俺もソファに座り、一緒に見た。
それから三週間後、またクラブに寄った。黒服がこちらへどうぞ。とVIPルームに案内した。
途中ママと目が合った。ママは、他のお客に付いていたが、すぐに部屋に来た。
ドレス姿のママは、本当に会いたかったのか、涙を流して顔を俺の胸に付けた。女の涙は本当に心が動く。とりあえず100万円のボトルを下ろした。ロックで1杯だけ飲む。ウイスキーは、高ければ
美味いと言うものではない。高いモノを飲んでいるっていう満足感だけだ。お寿司の出前をとって、2人で食べた。今回、彼女はお酒もよく飲んだ。ほんのり顔の赤い彼女の目は潤んでいた。
ママ 明日、京都行きません?
俺 いいよ。じゃ今夜早めにおいで。
ママ うん分かった。
ママは、しおらしく頷いた。
11:00頃に彼女は来た。部屋に入るなりキスをした、そして自分から全裸になり、恥ずかしそうにこちらを見つめながら両手で胸と下部を隠し、ベッドに入ってきた。下部は既に温かく潤っていた。
朝、彼女は既に着替えて化粧もしていた。デニムのパンツに綺麗な薄ピンク色のタートルネックのセーター。くびれた細いウエストの上にとても柔らかそうな胸の膨らみが良い。身長は165cmくらい。姿勢が良く、カジュアルなんだけど品がある。そんな感じだ。
俺はルイ・ヴィトンのリュックに財布等入れた。服装はアークテリクスのジャケット、パンツ。時計は、ブレゲのマリーンにした。
車は、ベントレーアズール。青色だ。時計の色と合う。
彼女は、おそらく頑張って夜に作ったのだろう、手作りのサンドイッチを持ってきていた。嵐山の川沿いのベンチに腰掛けて、水筒から熱いお湯を注いで、コーヒーを作ってくれて、手作りのサンドイッチを食べた。
美味しい、ありがとう、嬉しいよ。と彼女を見つめて伝えた。彼女は少し照れながら可愛く微笑んだ。
京都の街並みにベントレーは、よく合う。オープンにして嵐山、金閣寺、清水寺に行った。
夜は彼女が行きたかった割烹料理店に入った。予約がしてあった。満足気に、いろいろ話す彼女は、どの仕草もひとつひとつ可愛く、品があった。箸の持ち方も綺麗だ。夜遅く名古屋へ戻った。キスをして別れた。
家に戻った。嫁は明日バイトがあるらしく、もう寝ていた。テーブルに夕ご飯がラップして置いてあった。
それからしばらくはクラブに行っていない。携帯番号は教えていないし、彼女の番号も登録していない。
夜ホテルに1人で戻ると、彼女がドアの前にいた。居ても立っても居られなかったのか、とても寂しそうだった。
俺には愛がない。俺は女は大好きだが、愛を育むということがわからない。愛されるのは好きだが、愛すること、相手の気持ちを考えること、会いたいと言う気持ちが欠落している。会いたい時はセックスしたい時だ。間違っているのだろうか。俺にはわからないのだ。男は本能的に女を求める。三大欲求の一つだ。女性は、子孫のために強い男性に出会い、つがいになる必要がある。その為には自分も女を磨かないといけない。頑張っている女性に、男性としても何不自由なくお金を与えたい。それが自然ではないのか?
反対に、食べ物に困るけど愛があるから幸せ、そんな生活は馬鹿である。丈夫な子孫を残せない。原始時代も同じで、愛はたくさんあるが、寒くて食べ物もない生活を送るよりは、なかなか帰らなくても、必ず余るくらいマンモスを取ってきてくれて、肉と毛皮に囲まれて生活している方が女は幸せであろう。
愛が欲しいのか、肉が欲しいのか?
肉だろう。
現代社会は、安全で、女性1人でも生きていける。普通に女性も仕事があり、食べていけるから、男にはお金も愛も強くたくさん求める。お金は出してもらって当たり前。自分をもっともっと愛して欲しい。そしてもっとお金も欲しい。
男は女が幸せに生きる為に、そのために頑張ってお金を渡す。誰かに襲われたら必ず前に立って守る。それだけで充分ではないのか?
愛というモノを求められると、なんか疲れてくる。
彼女とは別れた。
心にぽかんとした空間ができた。
第二話 束縛の春
最近女子登山ブームだ。山に登ると若い女性グループや単独で登っている女性に出会う。
俺は今黒百合ヒュッテにテント泊している。多くのテントが設営されていた。隣で自分のテントの写真を撮っている人も女性だ。多分単独で来たのだろう。顔が合った。私は軽く挨拶した。相手も頷いて微笑んだ。吉瀬美智子に似ている。
日が暮れて、急に寒くなった。周りはテント内で明かりをつけている。色とりどりのテントが内部から照らされて綺麗。幻想的だ。これだけでも見た甲斐がある。
アルファ米を作るため、俺は湯を沸かしている。隣の女性もお湯を沸かそうとしてコンロをカチカチしているのだが火がつかない。困った顔している。目が合った。
女性 すみません、火がつかないですけど、
ちょっと見ていただけませんか?
風は無い。ガス缶はソトの冬用だ。コンロはソトのウインドマスターだ。問題ない。問題は点火スイッチだ。寒いと付かない時がある。こういう時はセブンイレブンで売っているBIGライターだ。回してつけるタイプである。とりあえず点火しけてあげた。そしてライター予備があるので一つあげた。
ありがとうございます。頭を下げられた。
夜8:00頃、小声で、すみません、ちょっといいですか?って声がテントの外から聞こえた。
チャックを開けると隣の女性だ。どうしました?と聞くと寒くて寒くて仕方がないとのことだった。黒百合ヒュッテは改装工事で休館中だ。俺は心の中で、そう言われましても、と呟いた。困った俺は、とりあえずシュラフから出て、桐灰カイロの予備を2個渡した。でも、彼女は既に顔は青ざめて、小刻みに震えている。俺はとりあえず外に出て、彼女を中に入れた。保温水筒のお湯で、温かいチャイを作り、飲ませた。
彼女の名前は、美久といった。聞くと彼女のシュラフはモンベルの#3。マットはサーマレストのネオエアーだ。それは何の問題もない。ただ、ウエアが寒そうだ。マムートの薄いインサレーションを着ていた。パンツもマムートの薄手だ。ダウンを持ってきていない。ゾウ足もない。
春とはいえ、ここは標高2400mの鞍部である。夜には山の斜面から冷気が一気に集まってくる。ダウンは欲しい。彼女は、寒いからかハードシェルジャケットを着ているが、シュラフの中では逆効果だ。困った。流石に俺のダウンを脱いで渡すわけにはいかない。
俺、荷物を美久さんのテントに入れて、
こちらで一緒に寝ます?
1人より2人の方が温かいのは間違いない。彼女は、小さく頷いた。
美久 あの、、モンベルのシュラフって二つ
くっつけることできるんですよね、、。
前に彼氏とくっつけたことがあるらしい。それは俺も知っているが、いいのか?どうしてそんなことが言える?
とりあえず、俺の履いてるゾウ足と、バラクラバ、メリノウールのグローブを渡して、マットを敷き、シュラフをくっつけ、荷物を彼女のテントに入れた。
シュラフに入って身体を縮めている彼女を見ながら、俺はシュラフには入らずしばらく考えた。彼女はすごく整った顔立ちをしている。身長も170cmくらいある。スポーツとかも得意そうだ。例えば彼女がおばさんだったら、ドラえもんみたいな人だったら、、、
彼女も自分の容姿には少なからず自信があるのだろう。今までの人生、彼女が頼んだことは必ず男性が、断ることなく率先してやってくれたのだろう。だから本当に苦労したことがない。でもそれでいい。容姿は才能だ。頑張れば誰でもよくなる。見てくれが悪いのは本人の努力不足に過ぎない。
流石に寒いので、俺もシュラフに入った。悶々として、寝れなかった。
朝、テントの外に出てトイレに行った。帰ってきたら彼女もシュラフから出ていた。バラクラバも脱いで、顔色も昨日より良くなっている。
美久 本当にありがとうございました。
中村さんは今から天狗岳登るんですよ
ね?
俺 体調は、どう?
美久 おかげさまでだいぶ良くなりました。
本当に中村さんのおかげです。
コン、コン、、
咳をしている。風邪引いたのかな。
俺 熱はない?
俺は彼女の額に手を当ててみた。熱い。
美久 すみません、少し熱があるみたい、
今日は登らず帰ります。
俺 どっちから?
美久 静岡市からです。
俺 じゃなくて、唐沢?
美久 あっ、すみません、渋沢の方です。
俺 静岡からは車?
美久 バスで来ました。
なんだろう、男として、本能的に助けたくなる。これが男のさがである。そして女として美人の特権である。これは真理である。
俺 今日はもう登るのやめた。モルゲン
ロート見たかったけど曇ってるし。
よかったら一緒に渋沢まで帰ろう。
彼女は、ありがとうございます、いいんですか?と言ってきた。でも、なんだろう?
男はこうゆうモノだと思われている気がしてしまう。
一緒にテントを片付けて、渋沢まで歩いた。彼女は高校時代、陸上をやっていて、駅伝をやっていたらしい。確かに体脂肪は少なそうだ。重いリュックなのに、足取りは安定している。
俺は車で来ていたので、普通に名古屋駅まで送ることになった。彼女にとっては、男性は優しくしてくれる生き物なのだ。
車はランチャーデルタインテグラーレだ。車内は少し狭いが、カッコいいって言ってくれた。男をよくわかっている。男は車を褒められると気分がよくなる。インターまでに、薬局によって風邪薬と栄養ドリンクと水を買った。
俺にホットコーヒーを買ってきてくれた。
名古屋には13:30頃着いた。この際、誘ってみようと思い、年間契約している名駅のプリンスホテルに誘ってみた。下心を隠したってしょうがない。えっ、て顔をしたが、行っていいんです?って聞いてきたので、部屋で少し休んでから帰ったら。と伝えたら、じゃ、、、お邪魔します。となった。彼女も誘われることは慣れているし、男の下心だってわかっている。男の下心にムキになる女性は、俺はどうかしていると思う。下心は、男の本能なのだから。
俺の部屋は最上階の東北角だ。窓からは名古屋駅が眼下に見える。彼女は眺めに感動している様子だった。
お風呂借りていい?
断るわけはない。俺はいいよって答えた。
ガウンもあるから使って。と伝えた。
彼女は、ガウンを着て出てきた。ガウンの裾からふくらはぎが見えている。駅伝をしていた足はしまっていて余計な肉がついていない。体も無駄な肉がなく、腰が高い位置にある。
俺は彼女に近づき、優しくハグをした。拒否している感じはしない。彼女を優しくベッドに座らせ、キスをした。
ガウンから太ももが見える。すらっとした長い足だ。綺麗な白い肌である。二の腕も長く余計な贅肉はついていない。脇も綺麗にしている。
特筆すべきは、彼女の膣の締まりの良さだ。油断しているとすぐにいきそうになる。
俺は、彼女の柔らかくも弾力のある長い腕と脚に絡まれて、果てた。
家に帰って、登山の道具やらテントやら片付け、ウエア等洗濯した。嫁は登山なんて何が楽しいの?って言って、家族の洗濯物を畳んでいた。
そのあと美久とは、3回山に登った。ただ、その頃から彼女からのLINEが多くなった。毎週のように山へ行こうと言ってくる。
断ったりするとなんで?とか聞いてくる。
もてはやされて生きてきた証拠である。自分の思う通りにならない男性など経験がないのだ。
めんどくなって、俺は
美久のLINEをブロックした。
第三話 闇の夏
自宅に帰る途中、時々コンビニに寄る。普段家ではあまり酒を飲まないが、時々仕事で汗をかいた日は、氷の入ったレモン酎ハイが飲みたくなる。
レジで会計していると、時々来られますよね。って声がした。前を見ると、若い女の子の店員さんがこちらを向いていた。俺は54歳。いちいちコンビニの店員の顔など覚えていない。ときどきね。って答えて、トヨタプロボックスに乗った。
また何日かして同じコンビニに寄った。またいるかなって思って入ったが、レジにはいなかった。わざわざ車をポルシェ959に変えてきたのになって思って車に乗ると、女の子が窓の外に立っていた。レジの子だ。俺は窓を開けて、今日は仕事終わったの?って聞いた。うんと言って、これお兄さんの車?カッコいい!って言って、乗せてくださいって言ってきた。最近の子はこんなに警戒心がないのかな?と、娘のことを考えた。
彼女は19歳。みうって名前だ。158cmくらいの小柄な子だ。顔も小さく色白で本当にお人形さんみたいな子だ。カラコンをしていて、まつ毛も長く、あどけない大きな目をしている。
何か食べるって聞いたら、焼肉ー。て答えた。
栄のとあるビルの2階にある高級焼肉店に連れて行った。カルビもロースもわからない子だ。しめのプリンに、目を大きくして、凄く濃厚ー。って喜んでいた。
そのまま、ラブホテルに入った。肌は透き通るような透明感があり、体もまだ男にあまり揉まれていない若々しさがある。一つ一つの反応がピュアで、入る時の少し我慢するような顔がとても可愛い。優しく丁寧にしてあげたくなる。
俺 今度一緒にどこか行こうか?
みう ディズニーランド行きたい!
俺 わかった。今度の月曜日。
月曜日の朝、待ち合わせ場所に、着くと、彼女は既に待っていた。少し厚底の可愛い黒のサンダルに、黒のミニスカートから細く長い素足が見えている。上半身は、脇の下が大きくあいているおしゃれなシャツを着ている。まさに、少女から大人にかわる年代だ。フェロモンが豊富だ。
車はレクサスLCにした。助手席に座ると、ミニスカートがさらに短くなり彼女の長い太ももについ目がいってしまう。
道中、ムラムラした。
彼女は、レクサスLCのタッチパネルを器用に操り、Bluetoothで自分の携帯の音楽を流した。さすが最近の若い子は、携帯やらタブレットを操るのが上手だ。少し長めの爪は、おしゃれなネイルアートがしてある。
女性は、歳をとると共に変わっていく。
女は男を寄せるためにフェロモンを分泌する。
それに男は群がっていく。種族の繁栄のためだ。
歳をとり、閉経した女はフェロモンが出ていない。これは雌雄があるどんな生物も同じだ。なので生物学的に役目を終えた女はフェロモンが分泌されなくなる。その必要がないからだ。
受精に成功した女は、自分の栄養、時間を種族の繁栄のために捧げるのだ。逆に男を遠ざけるようにする為にフェロモンを分泌しない。生物学的に男は別のフェロモンを探しにいく。
彼女の笑顔は、本当に輝いている。心からディズニーランドを楽しんでいるのだろう。
何をするにでも、全身で喜びを表現できている。そしてミニスカートから伸びている足が、男の視線を集めている。見せパンははいてない。俺は、運転の疲れも吹っ飛んで、一緒に楽しんだ。
夜、シャワーを浴びて、まだ少し濡れた髪のままバスタオルを撒いて出てきた彼女は、昼間見せていた少女とは打って変わって、大人っぽく見えた。綺麗な細い指先から俺に触れてきた。ベッドに横たわり、俺の動作に連動して時々目を瞑る彼女は、俺の身体をさらに奮い立たせた。
自宅に戻り、東京出張のお土産だよって言って、東京バナナを嫁に渡した。喜んでいた。紅茶を入れてくれ、一緒に食べた。ガソリンスタンドでティッシュの箱が貰えたらしく、喜んでいた。
そのあと、みうとはデートを重ねた。8月にハワイに行く計画を立てていた。
俺はたまたま車で名古屋駅前通りで、信号に止まっていた。
すると横断歩道を男と仲良く腕を組んで歩いているみうがいた。デニムのミニスカートで
綺麗な長い脚だから目立つ。向こうもレクサスLCに気がついて、俺と目が合った。
やばっ。って感じで通り過ぎて行った。
夕方みうから、会いたいってLINEがきた。
返信しなかった。
今栄なんだけど会えない?ってまたきた。
たまたま俺も今池の辺りにいたから会うことにした。ドンキホーテの東側に車を停めて、車を降りた。デニムのミニスカートを履いた綺麗な素足のみうがいた。本当に目立つ。姿勢が良く、モデルのようだ。俺のあげたバーキンのカバンを抱いている。時計はシャネルのJ12をしている。誕プレにあげたやつだ。
みう ねえ、ホテル行こ。
俺 誰?さっきの。
みう 違うの。
俺 何が?
みう 、、、
俺 だから何が違うの?
みう ごめんなさい
俺 謝るようなことしたの?
みう 違う。
もういいや。面倒になってきた。別に気にしてないし。
じゃあ、って言って俺は彼女に背を向けた瞬間、ドサっていう音がした。彼女がかばんを落としたのだ。涙を流していた。
もう、私じゃダメ?
嫌いにならないでよ。
謝るから。
あ・や・ま・る・か・ら。
ねえ、私どうすればいいの?
悪いところ全部直すからー。
ねえ!
お願いー。
彼女は大きな目から涙をポロポロ流して、前のめりになって叫んだ。
周りから視線が、俺とみうに向いている。
TPOがわからなくなっている。確実に俺が悪いやつに見られている。
俺は無言で下を向き、車に乗り込み、その場を後にした。
バックミラーに、歩道にひざまづいているみうが映った。
第四話 心病の秋
2ヶ月ぶりに1人でホテルに来た。時々フロントから女性が訪ねてきていましたよ。と伝えられていたからだ。多分ひとみか、みうだろう。
ドアを叩く音がする。開けてみるとひとみがいた。久しぶり。入っていい?
俺は、前も言ったと思うけど、困るんだけど、こういうの。って伝えた。
少しでいいから。というので中に入れた。
ワインを持ってきている。ロマネコンティだ。俺はグラスを持ってきて、冷蔵庫にチーズがあったので持ってきて、二人で飲んだ。
眠くなった。何か入れた?
気がつくと俺はベッドに縛られていた。彼女は俺にまたがって、腰を振った。ゴムを付けてない?
そのまま射精した。彼女は、俺のをまた口に含んで起こし、また腰を振った。また射精してしまった。彼女は、俺を縛ったまま、また来るねって言って笑った。ひとみが出て行こうとした時、ドアを叩く音がした。美久とみうが入ってきた。美久は、縛られている俺を見て
いい気味。って言った。殺さないでね、まだ必要だから。ってひとみは2人に伝えた。知り合い?
いやまさか。
ねぇ、カードどこにあるの。教えて。美久はまるで感情のない口調で話した。。俺はカードなど持たない。じゃ現金はどこにあるの?
俺は、ひもを外してくれたら教えるよ。って言った。だーめ。どこ?早くして。
俺は、奥にスーツケースがある。その中にある。ヒモを外してくれ。
いやよ。あとはこの子に任せるわ。
美久は、スーツケースの中身を確認して出て行った。親の資産が全部入っていた。
みう、お願いだから、ヒモを解いてくれ。
あんたさあ、あのあと私見捨てたよね。なんて酷い男なの。ほんとに、見てるだけで吐き気がする。
顔が憎悪に満ちている。
ドアを叩く音がした。待って、今開けるから。
入ってきたのは男だ。多分名駅で腕を組んでいた奴だ。
おーこいつか、みうをたぶらかしたおっさんは。
そいつは飛んで、俺は顔面に思いっきり肘打ちを喰らった。鼻血が飛び出て、前歯がとれた。鼻の骨が折れる音がした。みうは椅子に座って携帯見て笑っている。
2時間以上殴られた上、マジックで体や股間に落書きされ、写真を撮られた。顔に小便かけられた。
車もらってくぜって言って、フェラーリの鍵を持って出て行った。
なんなんだろう、なんなんだろう、なんなんだろう。目は腫れて開かない。口は痛くて声が出ない。
ドアが開いた。さすがに異変に気付いたのだろう。ホテルマンに俺は助けられた。病院に行ってから家に帰った。
嫁 どこに行っとったの。LINE送ったのに
未読だし。
嫁は、俺の姿に驚いた。
嫁 どうしたの?それ。ケンカ?
俺 居酒屋で喧嘩になって、そのあと
ボコボコにされた。
嫁 まじ、警察に行った?大丈夫?
娘 うわっ。やっば。痛そう。
俺には本当に素敵な嫁がいる。俺のことを普通の旦那さんとして、父親として、支えてくれてる。心休まる家庭がある。平和だ。本当に幸せだ。
心から、君を愛している。
終わり