鏡の中の音楽室 (19)
第二部 非常識塾長第5章 電気保安協会 水上さん
家に帰ってきた広春は夏休みの日記の冊子を出して、今日以降のページを消しゴムでゴシゴシこすり始めた。今日の出来事は、日記に書いておかなければならない。だが、それだけではない。今日以降の出来事も、すでに書いてあってはいけない。
「お邪魔しまーす。よこめ日記の書き直しにきたぞ」
そういって武士も日記帳を手に広春のうちに入ってきた。広春の自宅は工場の2階にあり、入り口を入ると応接セットが並んでいて、会社のお客さんなどがゆっくり話