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女優さんは声が命、論(五感通信はまだなのか)|Essay

テレビがない家で暮らしている私がいうのもなんだが、NHKの新朝ドラ『おむすび』がはじまったってね。なんでも「『ちむどんどん』の悪夢再びか?」とか「ハシカンの無駄遣い」とか心配されてるけど、まだはじまったばっかだからね。大目にみてあげてほしいな。

ヘーゼル色のつぶらな瞳で、気さくな人柄からファンが多いヒロイン橋本環奈。なんだけど、唯一の泣き所が「声」だと私は思ってる。ハスキーと言えば聞こえはいいが、ちょっと低めでかすれ声。顔で選ばれた役柄とは声が合わないこともあったりするよね(『今日から俺は!!』の京子役とか)。

枯れ声系の朝ドラヒロインが2代続くのは史上初じゃないかと密かに思っているんだが、前作『虎に翼』の伊藤沙莉のガラガラ声も強烈な個性だよね。少しノイジーで、感情表現時に声が重く聞こえちゃう。まあ、彼女の場合はざらついた声質にマッチする役柄をもらえてるようだから、決してマイナスには作用していないようだけど。

実は川口春奈の声もちょい苦手なんだよな〜 なんていうか声の中に〈硬さ〉がある感じを受ける。声がこもっているというか、響きが先折れするというか、うまく表現できないけど… 五島生まれの天然素材だが、天真爛漫な役にこの声は似合わない気がする。

声質は、声帯の振動と共鳴体(喉、口腔、鼻腔など)の形状によって決まる生まれもっての特徴だから、それはしかたない。いや好きなんですよ、3人とも。でも、「女優さんは声が命」と考える私にとって、彼女たちは永遠にマイベストになることはないんだろうなあ、と不憫に思う(それ何目線ww)。

擁護のために付け加えておくと、音の聞こえ方には個人差がある。人はそれぞれ、耳の構造や脳内の音処理の微妙な違いがあるのだから、周波数感度や音の受け取り方も当然変わってくる。私は強い耳鳴り持ちだ。すべて私の耳が悪いんだ。気を落とさないで(だからそれ何目線www)。

言葉ではなく、容姿でもなく、声の真実性が判断を左右し、心を動かすのは、聴覚が受け取った「本物の声(オーセンティック・ヴォイス)」が、脳内で本能を司る旧皮質へと届くからです。それが聞き手の感情を揺り動かし「有無を言わせぬ影響」を与えるのです。

p175『声のサイエンス』山﨑広子著、2018年、NHK出版新書


てなわけで、志村まうしろが好きな声を持つ女優さん3選をこっさりお知らせしよう。

満島ひかり

声は細いが、澄んでいて明瞭な声質。周波数が高いのか、高音域でも耳に心地よく響くトーンを持ち、どこか芯の強さを感じさせる。声質のよさに加え、イントネーションや感情表現の幅広さもある。役ごとに異なるトーンや話し方を使い分けている気はあまりしない。

高畑充希

柔らかくて明るく、独特な〈甘み〉のある声質。しっかりと響くため、聴きとりやすい。『過保護のカホコ』での感情がこもった長ゼリフとか、『同期のサクラ』での動揺すると早口になるコミカルさとかが彼女の才能。ミュージカル出身らしく、歌唱力も抜群。

蒼井優

ほんわかと温かみのある声質。耳に優しく、自然体で透明感を感じさせるトーンを持ち、余韻が残るような話し方で癒やしを与えてくれる。あえて感情を押し出さないシーンでの、ナチュラルな演技を支える優しい声がいいね。彼女の方言にはどれも温かみがある。

ちょっと前は、吉高由里子の舌足らずな丸みのある話し方や、その前は、宮崎あおいの穏やかなイントネーションが好きだったし、さらに前は、常盤貴子のセリフを心に届けにくるようなリズムが好きだった。するっていうと、必ずしも声質だけでなく、話し方、抑揚、リズム、間のとり方、台詞回しなど、トータルの声の特徴や喋りの技術で好き嫌いを判断してるみたいだね。

ちなみに歴代を並べると、杏、貫地谷しほり、稲森いずみ、藤谷美和子、大原麗子あたりかな。どうかな、統一感あるかな? ルッキズムになってないかな?(匂いが画面から伝わるようになれば、メンツは変わってくるだろうが…)

なお、瀧本美織は女優よりも声優のほうが天職ってくらいの魅力的な2次元ボイスだと思ってる。21世紀枠です。

P.S. ところで、福岡じゃ「おむすび」じゃなく「おにぎり」だと思うけど、なんか的外れなこと言ってます?


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