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ちい散歩オマージュ 朝日のあたる海岸を歩く(後編)|Works

ちいさんオープニング
「みなさ〜ん、最近歩いてますか? 散歩っていいですよ。今回も沖縄県南城市、新原からお届けします。いやー、沖縄は暖かくていいね。今日も20℃を超えてるみたいですよ」

この日は風があるのでカイトボードの姿も

◆百名海岸での会話

(ちいさんと嘉手苅さんが百名海岸を歩く)

ちいさん 「嘉手苅さん、ここが百名の海岸ですね。風が気持ちいいなぁ。ヤハラヅカサっていう場所があるんですよね?」

嘉手苅さん 「そうです。琉球石灰岩でできた石碑がヤハラヅカサです。アマミキヨが初めて沖縄本島に上陸した場所とされていますよ」

ちいさん 「へぇ、そんなに重要な場所なんですね。どんな意味があるんですか?」

嘉手苅さん 「『ヤハラ』はオモロ語で『静か』とか『穏やか』という意味なんです。この石碑には香炉が設置されていて、満潮になると海中に沈んでしまいます」

ちいさん 「海の中に消えるなんて、なんだか神秘的ですねぇ」

嘉手苅さん 「そうですね。アマミキヨがここから上陸して、浜川の湧水で旅の疲れを癒したと言われています。その湧水のある場所が浜川御嶽になりました」

(浜川御嶽を訪ねる)

浜川御嶽

ちいさん 「浜川御嶽も巡礼地なんですか?」

嘉手苅さん 「はい、東御廻りあがりうまーいという巡礼地のひとつです。アマミキヨはここでしばらく洞窟に住んでいたとも伝わっていますよ」

ちいさん 「なるほど、アマミキヨの足跡がこの地に刻まれているんですねぇ。それにしても、この海、とても穏やかできれいですよ」

◆百名の海の特徴

(再び百名海岸から新原ビーチに向けて歩く)

嘉手苅さん 「百名の海は遠浅で、砂地がリーフまで広がっているんです。『ザングサ』という海草(リュウキュウスガモ等)が育つ場所でもあります。昔はジュゴンもいたと言われていますが、今ではモズクの養殖が盛んに行われていますね」

ちいさん 「ジュゴンがいたなんて、昔はもっと豊かな海だったんでしょうねぇ」

ちいさん 「さっき船の航路みたいな深い部分が見えましたけど、あれは?」

見えるかな?

嘉手苅さん 「『ヌー』と呼ばれる澪筋ですね。リーフが途切れていて、船が通れるようになっています。他の場所では『クチ』や『フチ』とも言いますが、この地域では『アチヌー』や『アージヌー』という名前で呼ばれています」

ちいさん 「おもしろい名前ですねぇ。どこから来たんですか?」

嘉手苅さん 「実は『おもろそうし』という琉球の古い歌集にも出てきます。『あきみよの泊』という歌に出てくる場所が、この近くなんですよ」

ちいさん 「歴史と自然が融合した場所なんですねぇ」

◆砂の秘密

(海岸の砂をすくい上げるちいさん)

ちいさん 「この砂、白くてきれいですねぇ。でも、どうしてこんなに白いんですか?」

嘉手苅さん 「この砂はサンゴや有孔虫、貝やウニの死骸、魚のフンなど、生物由来のものなんです。ここにはないですが、星砂のようなものも有孔虫の殻が集まったものですよ」

砂とクロイワザサ

ちいさん 「生き物の恵みでできているんですねぇ。どんな魚がこの海にはいるんですか?」

嘉手苅さん 「イノーの中にはムルーという藻場が好きな魚がいます。岩場ではミーバイというハタの仲間の魚がよく獲れます。サンゴをガリガリ食べるのがイラブチャーという魚で、人間の前歯みたいな歯を持ってますよ」

嘉手苅さん 「沖縄では昔、こういう白砂を使って家を清める行事がありました。庭や門に砂を撒いて、悪霊を追い払うんです」

ちいさん 「へぇー、いろんな役に立ってたんですねぇ」

◆ウフガマー岩とペリー艦隊

(ビーチを歩いてウフガマー岩に到着)

ちいさん 「この大きな岩は?」

ウフガマー岩

嘉手苅さん 「ウフガマー岩です。琉球石灰岩の巨岩で、香炉が置かれていて拝む場所になっています」

ちいさん 「ここにも何か歴史が?」

嘉手苅さん 「そうですね。昔、ペリー艦隊が停泊できる場所を探して、このあたりで野営していたそうです。釣り船から魚を無理やり奪ったり、サバニを壊して薪にしたりなど住民との間でトラブルもあったようです。ですが、通訳をつけて意思疎通を図るようになり、それから先、他の地域では揉め事は起きなくなったそうです」

ちいさん 「そうですか、コミュニケーションは大事ですねぇ」

ちいさんエンディング
「今日は百名海岸を歩きながら、アマミキヨの伝説や地元の文化、海の自然をたっぷり楽しませてもらいました。昔ながらの姿を楽しませてもらったような気がします。ますますこの土地が好きになりましたねぇ」


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