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ターコイズブルーの海で働く人からパドルボーダーが学んだこと|Report

吉村喜彦さんが書いた『オキナワ海人日和』(創英社、2008年)は、県内各地の海人うみんちゅたちの漁に同行して撮影したり、インタビューしたりした内容をまとめた本だ。


私もSUPで釣りをする。大概はリーフの内側、イノーという場所でだ。釣果のためにも身の安全のためにも、もひとつ、むやみやたらとルアーロストしないためにも、大先輩である海人の知恵や技術をインプットしておいて損はない。

では、ChatGPTの力を借りて、特に大事な海の情報を独白形式に編集しなおしてみよう。漁師の実際の年齢と口調が合ってなくて、ごめんねごめんね〜



久高島 内間待仁(スク漁)の語り

わしら海人にとって、スク(アイゴの稚魚)を獲るのは毎年の楽しみでもあり、腕の見せどころでもある。スクが来るのは、旧暦の6月と7月の朔日前後の1日だけだ。あの赤黒い渦を巻くような群れが、イノーに入ってくる様子を見ると、今年も夏が来たんだなと感じるよ。

スクが寄るときはいつもうねりが出る。それを「スク荒れ」や「スク波」と呼んでいるが、ようするにいつもと違う潮流がスクを運んでくるんだ。潮が満ちるとき、その流れに乗ってスクはイノーに入り込む。そして満潮から潮が引き始めると、イノーの切れ目からスクは沖に向かって出ていくんだ。わしらが狙うのは、この渡り始めのスクだ。ほんの短い時間が勝負だよ。

そもそもアイゴがどこで産卵しているかなんてわかっちゃいないんだ。不思議なもんだよな。それでもスクには種類があることは知っている。一番小さいのがウンジャミで、宮古や石垣で獲れるやつだ。2㌢くらいのがスク、久高ではキスクって呼ばれている。そして3~4㌢くらいになるとグヤマクだ。

わしのお気に入りは、やっぱり2㌢くらいのスクだな。生で食ってもおいしいんだよ。酢締めかシークヮーサーをギュッと絞って食う。藻を食べているスクでも、から揚げにすれば腹がはじけて中の藻が出てくる。苦みや臭みがなくなってうまい。だけども、大正から昭和の初期頃までは、生のスクを食べるなんて習慣はなかったらしい。それを考えると、わしらは本当に贅沢をしているのかもしれないな。


石垣島 兼次信男(クブシミ突き漁)の語り

スンカリヤーという漁を知っているか? これはロープで自分の身体をサバニにつないで、船に引っ張られながら海に潜る漁のことだ。もともとはウミガメを獲るための漁法で、一人が船べりにつかまって泳ぎながらカメの行方を追い、もう一人が舵を取る、二人でやる漁だった。でも今はわし一人で全部やっている。舵を取るのも、エンジンのクラッチを入れたり切ったりするのもな。ただ、引き潮のときは海の中が濁るからスンカリヤーはできない。

クブシミ(コブシメ)の漁をするのは12月から4月までだ。この時期はやつらがサンゴの枝にうずら卵みたいな卵を産みつけにやってくるんだ。クブシミヤーと呼ばれる産卵場所があって、そこにはオスもメスもいて、卵を見張っている。

産卵期間中は別のクブシミが次々にやってくるから、クブシミヤーは海人にとって金庫みたいなもんだ。他の人に場所がばれないように気をつけないといけない。わしはシュノーケルを使わずに潜る。それは頻繁に息継ぎをして、水面に顔を出して周囲を見張るためなんだ。

漁は昼間にやる。クブシミは擬態がうまいから、普通の人は見つけるのが難しい。夜になるとイカは移動して、赤くなって浮いている姿が見える。潮の流れも大事で、中潮が一番いい。旧暦で言えば、6日から10日、18日から23日が狙い目だ。新月の頃は暗すぎて、クブシミの動きが鈍いからな。

クブシミを獲るときは、先が二股になった3㍍の銛を使う。アンカーは入れない。クブシミが逃げるからな。突くときは、サバニがクブシミの真上にくるようにする。上に大きな影があると、クブシミは動かなくなるんだ。それで、墨を吐かれないように両目の間の脳を狙って突く。突くと、胴体の色が白と黒にぱっきり分かれる。

クブシミの墨はやつらのエネルギーのもとで、危機が迫ったときに墨を吐く。小さいイカは墨を吐くと弱って沈んでしまうくらい、大事なスタミナ源なんだよ。

クブシミもよく人間を観察している。やつらの後ろに石を投げると、驚いてその石をじっと見ていることもある。ああいう知恵のある生きものと向き合うのは楽しい。

だけどな、昔に比べて魚は少なくなった。一つは獲りすぎだ。電灯潜りで深さ20〜30㍍の魚まで根こそぎ獲ってしまったら、イノーに入ってくる魚がいなくなるのは当たり前だ。

それに、ダムができて川から海に流れ込む水が減ったことで、海がきれいにならない。サンゴを守るためだと言ってオニヒトデを駆除しすぎると、ホラガイがいなくなるし、シャコガイもサンゴに日光が遮られて成長できなくなる。ものには限度があるんだよ。自然とうまく付き合う。それが漁師としての心得さ。


久米島 渡名喜盛二(モズク養殖)の語り

モズク養殖ってのはな、①種付け、②苗床、③本張りって段階を踏んでやるもんさ。なかなか手間がかかるだろ。

まず毎年10月になると「母草」っていうタネをつくる。それを使って、12月から1月間の大潮の日に種付けをするんだ。やり方は、海水を入れたタンクに母草を入れて空気を送り込むと、モズクが胞子を出す。そのタンクに網を入れて胞子を付けるのさ。

種付けから10日から13日ぐらいで、水深2.5㍍の海底に網を広げて張る。これを苗床(沖出し)と呼ぶ。そのまま置いておき、モズクが成長して芽を出すのを待つんだ。40日から50日もすれば、芽が3㌢ぐらいに伸びてくる。それからが本張りって作業だ。

本張りでは、苗床の網を海底から40〜70㌢浮かせて、網を張り直す。この高さ調整が難しいんだ。でもこれをしないとモズクがちゃんと育たない。本張りから105日ぐらい経てば、ようやく収穫だよ。

収穫のときは海に潜って、バキュームホースを使ってモズクを吸い込む。吸い込まれたモズクは水切りされて、運搬船のかごに積まれていくんだ。でも雨が降ると作業はストップさ。モズクは真水で膨れちまうからね。

収穫したモズクは急いで港の加工場まで運ぶ。船上で何時間も放ったらかしにしておくと、色が茶褐色から緑色に変わっちまって、焼けて品質が落ちる。だからな、モズク養殖は収穫時期が特に忙しい。時間との勝負ってわけさ。

加工場に搬入されたモズクは、洗浄機を使って砂や小さなエビなんかを取り除く。こうして手間ひまかけて育てたモズクが、みんなの食卓に並ぶわけだ。大変だけど、やりがいのある仕事だよ。


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