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津堅島の年中行事 まとめ|Field-note

津堅島の年中行事、いかがでしたか? マータンコーのようにここにしかない行事もあったりして興味深いですね。マータンコーは聞き取りでは報告したような内容しかわかりませんでしたが、もともとはシヌグ系の行事だったと考える人もいます。

また、アミルシ、アミルシグヮー、ウフアミルシと似た呼称の祭事があります。アミルシは豊作・豊漁の祈願が目的で、マータンコー儀礼の一部だとも考えられるのに対し、アミルシグヮーとウフアミルシは男子の通過儀礼的な意味合いがあります。本来は何らかの関連性があったものと受け止められます。

祭祀の母集団による区分

【村落レベルの祭祀】
1月:ユーニゲー/フナウマチー/ハチウクシー/ショウガチウマチー
3月:サングヮチャー/タキマーイ/サングヮチウマチー/ハクルヌウガン
5月:アンブシ/ハーリー/グングヮチグニチ/グングヮチウマチー/ウフアナドシ
6月:ロクグヮチウマチー/タタアミトゥヌゲー/ウラナーサレー
7月:エイサー
8月:ハチグヮチアシビ/ジューグヤー/ハクルヌウガン
9月:カーウガン/キシャバウガミ
10月:アミルシグヮー
11月:タキマーイ/アミルシ/マータンコー

【組(班)レベルの祭祀】
1月:ハチウカイ
10月:シマクサラー

【親族レベルの祭祀】
1月:ニーントゥウガミ
3月:シーミー
6月:ロクグヮチウマチー
7月:ティーウサー

【家族レベルの祭祀】
1月:ショウガチ/ナンカヌスク/トゥシビーイワイ/ミージュールクニチ
2月:ヒンガン/ヤシチヌウガン
6月:カシチーミ
7月:タナバタ/シチグヮチ
8月:シバサキ/ジューグヤー/ヒンガン
9月:ヤシチヌウガン
10月:アミルシグヮー
11月:ミシジ
12月:ムーチー/トゥシヌユルー

全46祭祀中、最も多いのがやはり村落レベルで26件、次いで家族レベルで17件です。家族祭祀の中にも親族が登場するものがあるので、親族レベルはカウントの4件よりも実質は多いことになるでしょう。組レベルは2件ですが、疫病除けのシマクサラーを組単位で行なっているのは興味深いですね。津堅では屠殺対象は牛ではなく豚ですが、「もの言う牛」の民話があることから以前は牛だったのかもしれません。

祭祀の目的による区分

【豊作祈願が目的】
ユーニゲー/ハチウクシー/ショウガチウマチー/サングヮチウマチー/ハクルヌウガン/グングヮチウマチー/ロクグヮチウマチー/アミルシ

【豊漁祈願が目的】
ユーニゲー/フナウマチー/ショウガチウマチー/サングヮチャー/アンブシ/ハーリー/グングヮチグニチ/グングヮチウマチー/ウフアナドシ/アミルシグヮー/アミルシ

【祖先供養が目的】
ショウガチ/ミージュールクニチ/ヒンガン/シーミー/ロクグヮチウマチー/タナバタ/シチグヮチ

津堅島は半農半漁で生計を営んできたので、豊作と豊漁は同時に祈願されることが多いのですが、個別にカウントすると豊漁を祈願する機会のほうが上回りました。隣の久高島には季節漁に来ていた糸満漁民が定着したケースがみられますが、津堅島ではそれはなかったようです。また、直接・間接の祖先供養祭祀は、県内の他地域同様に、近代になって手厚くなってきている印象です。

ハラに注目した区分

【津堅バラと神谷バラに分かれて個別に行なう祭祀】
アンブシ/アミルシグヮー/アミルシ

【津堅バラと神谷バラの対抗形式で行なう祭祀】
ハーリー/マータンコー

津堅島は1島1字で、下位の地域区分に組(班)があります。しかし、琉球王国時代には津堅バラと神谷バラという区分もあり、祭祀の上ではこの地域区分は近年まで受け継がれてきました(いちおう行政区分としても「神谷村」は明治後半までありました)。各ハラには王府に任命されたヌルがいて、祭祀場も分かれていました。これは久高島と同じ構図です。ただし、家々は集約されていて、地理的に明確な境界はみられません。

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