ジュラバの三人羽織でモロッコを熱く語れ!|Travelogue
志村ま
さて、今日はバーバリさんと飛梅さんをお迎えして、モロッコ旅行の印象を語ってもらいましょう。私は今から30年ほど前に旅行しましたが、当時と比べてどう変わったのか、とても興味があります。飛梅さんからお願いします。
飛梅
はい、よろしくお願いします。私は去年旅行しました。歴史に興味があって、特にラバトの古い建築や遺跡に惹かれました。
宿泊したのはゲストハウスで、そこで働いていた男性と仲良くなって、彼がラバトの文化や歴史について教えてくれたんで、ラバトが特別な場所に感じました。
志村ま
それは素晴らしいですね。ラバトはモロッコの首都で、行政の中心地ですよね。整備された街並みと、静かで落ち着いた雰囲気は私も記憶していますよ。観光した場所ではどこが印象に残ってますか?
飛梅
やっぱりウダイヤのカスバですね。あの青と白の建物が並んでいる風景は本当にきれい。カスバに行くと時間が止まったかのように感じられるんです。川と海が見渡せるところもあって、そこで過ごした時間がとても心に残っています。川沿いの美しい風景も素敵でした。
志村ま
次にカサブランカについて話を聞きたいんですが、映画『カサブランカ』の影響で訪れたというバーバリさん、いかがでしたか?
バーバリ
僕がカサブランカを訪れたのは2018年です。『カサブランカ』の映画の、あのロマンティックなムードを求めて行きました。リックス・カフェを再現したレストランがあって、そこに行くのが一番の目的でしたが、実際に行ってみると映画とは違った印象を受けました。
志村ま
というと?
バーバリ
やっぱり映画のカサブランカって、少し哀愁があるようなイメージじゃないですか。でも、現実のカサブランカはモダンで、高層ビルが立ち並び、商業都市としての雰囲気が強い。リックス・カフェは映画の世界を再現していて、ピアノ演奏もありましたし、そこで「As Time Goes By」が流れたときは感動しました。でも、街全体が映画のような雰囲気かというと、そうではなくてギャップを感じました。
志村ま
カサブランカは私が訪れたときもモロッコ的ではなかったですが、今ではもっと現代的になっているんでしょうね。まさに「ボギー、あんたの時代はよかった」です。いや昔そんな歌があったもんで(笑)。
実は私はそのふたつの都市よりも、同じ西海岸なら港町のエッサウィラのほうが印象深いのですが、お二人は訪問されましたか?
飛梅
私、行きました。ここもブルーシティといわれていて、水色や青に彩られた壁や扉、窓枠のカラーリングがとてもきれいですよね。海風が常に吹いていて、この色合いと調和してました。
中心部にあるメディナ(旧市街)は、ユネスコ世界遺産に登録されていて、迷路のような狭い路地が張り巡らされています。街は18世紀に要塞化されるんですが、スカラ・ド・ラ・ヴィルという砲台が並んだ要塞が名所で、果てしなく広がる大西洋の絶景を望むことができます。
志村ま
港町ならではの新鮮なシーフードも名物でしたね。私が行ったときは市場でイワシを炭火焼きしていたんですが、このときほど醤油が恋しかった瞬間はやまだかつてなかったですね。
飛梅
今は「グナワ音楽祭」というフェスが毎年開催されていて、エッサウィラはワールドミュージックの震源地でもあるみたいですよ。
バーバリ
僕はカサブランカのあとは、ラバトを経由してメクネス〜フェズと古都巡りをしたんです。
特に印象に残っているのがフェズです。この街の旧市街フェズ・エル・バリもユネスコ世界遺産で、世界で最も保存状態が良いイスラム都市のひとつです。自動車が通れないため、ロバや手押し車を使って物を運んでいました。
859年に設立されたアル=カラウィーイーン大学は、イスラム教の学問の中心地で、中庭やモスクの装飾が印象的です。
志村ま
フェズといえば、私がおぼえてるのは革なめし作業場タンネリの強烈な獣臭です。ミントの葉を鼻につめても耐えられなかったな。
バーバリ
確かにすごかったし、カラフルな染料のプールが並ぶ風景は、俯瞰するととても印象的でした。
フェズにいたとき、ちょうどラマダーンがはじまったんです。日中は静かで、夜になるとお祭りのような雰囲気になるでしょ。僕も昼飯を抜く、なんちゃってラマダーンをやったんですが、ガイドがイフタール(断食明けの食事)に招待してくれて、そこでハリラという黄色いどろっとしたスープを飲みました。あの味は忘れられないなあ。