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沖縄のサンゴを殺したのはアナタですね|Field-note

この夏、沖縄の海はいつもにも増して熱かった=煮えていた。沖縄気象台は次のように報道発表した。

沖縄周辺海域の海面水温は、東シナ海南部で29.8℃、沖縄の東で30.6℃、沖縄の南で30.8℃(いずれも速報値)となり、解析値のある1982年以降、7月としては最も高くなりました。この記録的な高温の主な要因は、暖かい太平洋高気圧が強かったことにより、沖縄地方と周辺海域で晴れた日が続き日射によって昇温したことです。また、中旬までは台風がなく風の弱い日が続いたためにかき混ぜ等による水温低下の効果が弱かったことも影響した可能性があります。また、高温の背景には、地球温暖化等の影響も考えられます。

令和6年8月1日 沖縄気象台

これは7月の状況だが、8月も台風が来なかったため、状況はより悪化したと思う。浅瀬のテーブルサンゴは軒並み白化した。ふだんは白化しないハマサンゴまで白くなっている個体がある。空港近くの海でも事態は深刻で、飛行機の窓からでも海が白いのがわかるんじゃないだろうか?

うっすら色の残った個体もあるが…
ミドリイシが全面的に白化

サンゴって「青い珊瑚礁」みたくイメージ先行だから、言葉や画像として知らない人は少ないだろうが、実際に海で見たことがある人はそこまで多くないんじゃないのかな? 地元の沖縄の人でも「海は眺めるもの」と考える人のなんと多いこと! 以前に書いた文をリライトすることで簡単に解説しておこう。

サンゴは、動物であり植物であり鉱物でもある複合的な生命体だ。学術的には、イソギンチャクやクラゲの仲間で刺胞動物に分類される。ポリプと呼ばれる構造をもち、これが分裂して群体をつくる。ひとつの群体が数百から数万の個体からなるクローン生物でもある。

サンゴの中でも造礁サンゴは、体内に褐虫藻という藻類を共生させている。褐虫藻が光合成してできた産物を供給してもらうため、エネルギー効率がよく比較的早く成長する。この生態的特徴からほとんどが光量の多い浅海域に生息する。褐虫藻のほうも、捕食の危険からまぬがれることができるし、必要とする栄養分をサンゴから受け取ることができる。

サンゴ礁とは、主に造礁サンゴや有孔虫、貝類、海藻、海綿などの造礁生物の死骸が堆積した石灰岩でできた地形のことをいう。沖縄では、陸から数キロの幅をもつ裾礁と、陸から離れて発達する離礁からなることが多い。

サンゴ礁は、栄養が少ない海に囲まれながらも、共生と循環によって多様な生物の宝庫となっており、数ミリの小さな有孔虫の仲間から、数々の魚類や両生類まで多様な生物が生息している。これらを資源として利用する漁業にとって、サンゴ礁は漁場、産卵場、餌場、幼稚仔のゆりかごとして機能し、生産活動を支えている。

白化は共生する褐虫藻が逃げ出してしまう現象だ。褐虫藻はストレスがかかるとポリプから脱出するのだが、代表的なストレスが海水温の上昇なのである。「エルニーニョ現象」が起きた年には、世界中で白化現象が起きやすくなると言われている。

期間が短ければ、褐虫藻が出戻りしてくれることもあるが、長引いて白い骨格にこけ状の海藻が生えてくると完全に死滅する。

正直、白くなったサンゴを見るのは気が滅入る。SUPを漕いでいてもシュノーケリングで潜っても楽しくない。海水温上昇の原因のひとつが地球温暖化で、その原因が人為起源だとしたら、ワタシが犯人でもある。サンゴに断罪され、海に引き込まれる悪夢が頭をよぎったりする。「オマエらのせいだぞぉ〜」ってね。

白化から身を守るために、サンゴ自身が次のことをしていると、これまでの研究が解明した。

①共生相手を変える

白化が起こりそうになると、共生している褐虫藻を白化に強い種類のものと取り替えるサンゴがあるそうだ。そういえばハナヤサイサンゴは比較的白化が遅いけど、そうなのかな?

紫色のハナヤサイサンゴはまだ褐虫藻が在宅

②自分で食料を調達する

サンゴは動物だから、自らの触手でプランクトンを捕まえて食べることができる。だから、餌が十分にあれば捕まえて食べることで急場をしのげるらしい。

ワタシにもできることはないかい? 直接の関係はないが、ひとまず海でのプラスチックゴミ拾いはやっている。ほかは節電や徒歩通勤くらい? ちょっと無力感が漂うなあ…


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