皮膚科の先生に聞いてみた|自由は死すともトランプは死せず|Works
2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選挙。国際政治に関心の高いブツブツ吉田さんにとって4年に1度のイベントで、期待感も高まり、早くも皮膚科の先生の予想が聞きたくなったようです。
どれどれ、ちょっとのぞいてみましょうか。
ブツブツ吉田
自民党の総裁選は国民不在のままいつの間にか終わってましたな。この秋のアメリカ大統領選について考えてみまひょか。そもそも先生は、トランプの2016年大統領選の勝利を予想してはりましたか?
皮膚科の先生
トランプ逆張りでタナボタ的中でしたね。
2016年、ドナルド・トランプはアメリカ大統領選に立候補しました。彼が訴えた「雇用を取り戻す」「不法移民を追い返す」「大物政治家はみな既得権益者だ」といったわかりやすいスローガンは、グローバリゼーションや技術進歩に取り残され、不満を募らせていた白人労働者層に強く響きましたね。
ブツブツ吉田
日本からみてると「何言うてはるの、この人」って感じでしたよね。
皮膚科の先生
トランプが大統領に当選した背景には、日本人には馴染みのないラストベルトと呼ばれるアメリカ中西部や東北部の製造業が衰退した地域での熱烈な支持がありました。これらの地域では、工場閉鎖や雇用喪失が進み、労働者階級が没落しつつありました。トランプは、アメリカに工場を呼び戻し、製造業や石炭産業を再興すると約束しました。
また、「メキシコとの国境に壁を建設し、不法移民を阻止する」という強硬な移民政策を訴え、多くの支持者に安心感を与えました。
ブツブツ吉田
トランプは、「ワシントンの政治エリートや既存のメディアは腐敗したエスタブリッシュメントやねん」と批判してましたよね。
皮膚科の先生
トランプはそうすることで、既存の政治体制を打破し、労働者や中産階級の利益を優先する指導者として自己を印象づけました。自分たちが負け組だと感じていた農村部や保守的な州の有権者に、これが支持されましたね。
ブツブツ吉田
トランプ政権の4年間は、評価が分かれますな。
まず経済に関しては、減税や規制緩和を進めたことで短期的には経済成長したやないですか。失業率もかなり低い水準まで下げれたんちゃいます?
皮膚科の先生
トランプの減税政策は企業や富裕層を優遇するものになりましたが、結果的には雇用が増加し、特にラストベルトの一部地域では工場が再稼働するなど、公約の一部が実現しましたね。
一方で、経済格差はトランプ政権下でさらに深刻化しました。トップ1%の富裕層がますます豊かになる一方で、低所得層の生活は改善されず、特にパンデミック後にはその格差が顕著となりました。例えば、2016年時点でトップ1%が国全体の所得の約20%を占めていましたが、結局、格差拡大に歯止めがかかりませんでした。
トランプの「アメリカ・ファースト」政策によってグローバル市場から撤退した業界が打撃を受けるなど、複雑な構造的問題を解決できませんでした。
ブツブツ吉田
国境の壁はどないでっか。「不法移民がわれわれの雇用を奪ってる」とトランプは煽ってましたやろ?
皮膚科の先生
移民政策も功罪相半ばといったところですね。移民取り締まりは確かに徹底され、不法移民の数は一時的に減少しました。ですが、壁の建設は財政的・政治的な障害があって、小規模にしか実現しませんでした。また、移民家族を分離する政策が、人道的な観点から多くの非難を集めました。
国境の壁もその一因ですが、社会の分断はトランプ政権時代に深刻化しました。メディアや反対派に対する彼の挑発的な言動は、強い対立を生み出しました。2020年の大統領選後、トランプが選挙の不正を主張し続けたことも、社会の分断を深めましたし、2021年の議会襲撃事件は決定的な悪手でした
また、意識高い系や社会正義運動に対する反発が保守層から強まり、文化的対立として表れたことも憂慮すべきですね。もっともこれは、世界に共通する「キャンセル・カルチャー」の一端と言えるかもしれませんが。
ブツブツ吉田
なんですか、それ?
皮膚科の先生
先進国を中心にポリティカル・コレクトネス――最近ではウォーク(woke)=目が覚めたというらしいですが――に反する言動は、社会から強く非難されるようになりました。SNSでもたびたび炎上していますよね。ボイコットや不買運動に結びついたり、芸能人が仕事を失ったり、「キャンセル」されるまで糾弾する現象です。
ブツブツ吉田
あ、お笑いの世界でもぎょうさんありましたわ。松本さん、どうなるのかなぁ。心配やなぁ。いきすぎた正義っていうのも問題ですね。
皮膚科の先生
2021年にトランプが大統領職を退いたあとも、彼が残した影響は続いてますよ。まず、経済格差の問題は、パンデミック期間中、テクノロジー分野や富裕層は資産を大きく増やし、一方で低所得層や中小企業は大きな打撃を受けました。2023年第4四半期には、上位10%の富裕層が66.9%の資産を保有していたのに対し、下位50%の世帯は2.5%しか保有していませんでした。
ブツブツ吉田
パンデミックは不可抗力やから、トランプ一人の責任ちゃうけど、初期の対応の遅れや、マスクやワクチンに関する一貫性のないメッセージが、感染拡大を抑える妨げとなったと批判されてまんな。
皮膚科の先生
トランプは、中国との貿易戦争や知的財産の問題に対して強硬な立場を取りましたし、中国はパンデミックの金銭的保証をしろとも言いました。このへんのパフォーマンスは保守派の評価が高かったですね。
社会の分断はトランプ以後も解消される兆しをみせていません。共和党支持者と民主党支持者の間の対立は根深く、2023年調査では、共和党支持者の約85%が民主党の政策を「極端」とみなし、民主党支持者の80%以上が共和党を「危険」とみなしています。
さらに、トランプ時代の余波は若者の希望にも及んでいます。多くの若者は将来に対して悲観的です。Z世代の55%が自分たちの経済的未来に不安を感じています。
ブツブツ吉田
じゃあ、今度の大統領選ではトランプは負けるとみていいですか?
皮膚科の先生
う〜ん。確かに彼の支持基盤はまだまだ強固で、共和党内での支持率も高い状態を維持しています。トランプの「反エリート」「反メディア」の姿勢は、一部の有権者にとって依然として魅力的です。
一方で、トランプに反感を抱く層も根強く存在します。2020年の選挙でジョー・バイデンが勝利したのは、トランプへの批判が民主党支持者や都市部の有権者、若者層、マイノリティ層の結束を生んだことが大きな要因でした。
ブツブツ吉田
先生は、トランプが再選されるためにはどないせいって考えてはりますか?
皮膚科の先生
経済は選挙において最も重要な争点のひとつです。もし選挙時点でアメリカの経済状況が悪化している場合、トランプにとって有利に働くでしょう。
これまでトランプの支持者の中心は、白人労働者層や農村部の有権者でしたが、反民主主義の暴走や実現できなかった公約も多いので少し揺らいでいます。再選を果たすためには支持層の拡大が必要で、大統領期間中に改善した一部のラテン系やアフリカ系の有権者との関係を強化することが鍵となるでしょう。だけど、出自の多様性を持つ民主党の女性候補カマラ・ハリスにこの点で勝てるかはちょっと悲観的ですね。
ブツブツ吉田
暗殺騒動からの帰還っていうのは神通力おまへんか?
皮膚科の先生
支持を強めることはあっても、支持を広げることはないと思います。
第26代大統領セオドア・ルーズベルトは演説会場に向かう途中で撃たれましたが、演説を1時間以上続け、彼の不屈の精神は大きく賞賛されました。このときの大統領選には負けましたけどね。
ブツブツ吉田
なんや、負けたんかい! 見事にボケてくれはりましたな〜、先生。
上記のやり取りが名古屋限定でテスト公開され、いくつかのリツイートが寄せられました(行こみゃあ!生成AI)。