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2016コロンビアの旅#7|オレのアマゾン釣り日記トトホ編 その4|Travelogue

オレの釣り旅は終わった。釣果に恵まれず、苦しい日々だった。忘れよう。忘れて楽になろう。博物館に行くのもいい。そうだ、Charlie Cardonaのライブに行こうよ。

チャーリー・カルドーナはグルーポ・ニーチェ黄金期のボーカルだったアイコン。オレのニーチェベストテンの半分以上はカルドーナさん在籍時の曲だ。甘い歌声がサルサ・ロマンティカ路線に絶妙にマッチした。ニーチェの首領ハイロ・バレーラもいよいよ時代に迎合したかっていう人も当時はいただろうね。そんな彼が全盛期から20年以上過ぎてこの街にやってくる!?

最近の?フライヤーをコピペ

前に利用したツアーデスクのスタッフからライブがあることを教えてもらい、一緒に行こうよって誘われてたのを思い出した。それがこの日だ。お昼にツアーデスクを再訪し、まだ席あいてる?って訊くと、大丈夫だよって返事。じゃあ夜に現地集合で、ってことになった。サルサ踊れないことはふせておいた。

じゃあ博物館で地域の歴史でも学んじゃおうかと、午後は博物館で時間をつぶす。文化人類学を学んだオレなら、この地の先住民の生業や家屋、服装などの展示を興味深く眺めていたはずだ。でも実際は心ここにあらずで、やり残したことに苛まれていたのだった。

それはもちろん釣りのことだ。まだ、パヴォン1尾、ピラニア1尾しか釣り上げていない(小物はカウントせず)。わざわざ地球の裏側まで来てこれでいいのか? 「ベストを尽くせ!」って宗方コーチは言ってないか? 「ここまでだと思ったとき、もう一歩ねばれ!」って言ってないか?

・・・わかったよ、宗方コーチ! 残り1日、オレもエースを狙うよ!

心のなかでそうつぶやくと、オレは港に向かった。そして、最後の男マウリシオ(仮名)に声をかけた。

スルビンを釣って軽くドヤ顔

チャーリー・カルドーナは断腸の思いでキャンセルし、翌日の早朝、マウリシオの船に乗り込んだ。さすが値段に見合った真新しいボートで、船尾のYAMAHA製200馬力(だったかな)の船外機が燦然と輝いている。フルスロットルだと顔が痛いくらいのスピードだ。この速度で2時間かけてペルー領のジャヴァリ川水系をめざすと言う。黙って国境を超えることが気になったが、郷に入りては郷に従えだ。日焼けしてるから中国系コロンビア人にみえなくもないだろう。

朝焼けの水面を切って飛ぶように走るボートに乗っていると、それだけで嫌なことが後景に吹っ飛んでいくようで気持ちいい。マウリシオの「大丈夫、ペルー側には魚が残ってるみたいだぜ」や「オレの友だちが先週案内したオランダ人は爆釣したらしいぜ」という言葉に一縷の望みを託し、臨戦態勢を整えていた。

途中、水上ガソリンスタンドに立ち寄り、いくつかの町や村を対岸にとらえながら、ボートは本流から支流へと歩を進めていた。そして、手作りの桟橋に静かに着岸した。

わかりにくいけど浮いてます

知り合いらしい人の住まいのバルコニーに通され、「まずは食え」といってバナナが差し出された。それを秒速でたいらげ、釣りを急かす。裏手にはまあまあ広いラグーナがあった。岸辺には何人も乗れそうなちゃんとしたカヌーが係留されている。この家の息子が船を漕いでアテンドしてくれるという。

オレの宗方コーチ、よろしく頼むよ

日はすでに高く、ラグーナを横切る風はよどんでいる。しっかり日焼け対策をしてカヌーに乗り込む。カバーや倒木を中心にカヌーを操船してもらい、次々とルアーをキャストしていく。キャストは決してうまいほうではないが、この日は集中力が高く、かなりピンポイントにキャストが決まる。

ただ、結果が出なかった。一度だけバイトがあったが乗らず、投げたフロッグのビニールが切り裂かれて返ってきた。タライロンだろうか? 太陽はジリジリと音をたて、汗の熱気がメガネを曇らすほどだった。釣れない釣りを続ける根気がもたずに、2時間あまりでギブとなった。宗方コーチには心から謝りたいと思う。

遅めのランチをバルコニーでとり、敗因を話し合う。爆釣したのは事実らしいが、それはひと月以上前の話で、場所ももっと奥にあるラグーナなんだって。これじゃマウリシオならぬ盛りウシオじゃないの?

結局釣れなかったのは、全員一致で暑すぎることのせいにした。

帰りしなに小場所でナマズの手釣りをした。どこかでみた光景だ。こっちの人は釣れないときは確実に釣れるナマズの小物で溜飲を下げるらしい。いいでしょう、やりますとも。

手釣りはヴィヴィッドに魚の感触が伝わるから釣りやすい。かといって、本戦ボウズという痛手の穴埋めにはなりはしないけど。

ああ、アマゾン川はいつでもどこでも爆釣だぜって思ってた2週間前の自分の頭をぶん殴りたいぜ。でも、「少し悲しいけど想い出という名の光る砂が残るわ♬」と思うことにしよう。

最後に付け加えると、釣れなかったからといってアマゾンの魚たちを食さなかったわけではない。レティシアにすごく感じのいいレストランがあって、そこでピラルクーのステーキ、焼きピラニア、プレコのすまし汁なんかを食べた。日本のアニメ好きのウェイターがいて、ボッチおじさんの話し相手になってもらったのも居心地のよかった理由だよ。

これはパヴォンだったような・・・


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