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私🍋と僕🍓 最後の夜ごはん part6



お金の面では最悪だったが
それ以外は本当に大好きだった。

とても気が合いなんでも話し合えた。
悩み事を相談したときも
的確なアドバイスをくれ
その度にいつも救われてた。


何をするにもいつも一緒で
周りからは
“本当に仲良いよね!羨ましい!”
と言われるくらいだった。


同棲を初めてから
彼自身も仕事で疲れているのに
率先して家事をこなし、
疲れて家事もできない私を
“お疲れ様、頑張ったね”と
いつも優しく笑顔で労ってくれた。

毎朝早く起きて私のお弁当を
作ってくれたりもした。

自慢の彼氏だった。


ある日、いつものように仕事を終わらせ
彼が迎えにきてくれた車に乗る。


そして今日も同じ笑顔で
“お疲れ様、頑張ったね”と褒めてくれる。


“今日はご飯を食べに行こうか”と
外食に誘ってくれる。

“ラーメンでもどう?”と誘う彼に対して
私は“焼肉がいい!”と強めに返した。

彼の反応が少し微妙だったが私は
自分の気持ちを優先した。

焼肉屋さんではいつもと変わりない
たわいのない会話をした。


今日の出来事について
次の休みに行きたいとこ
この前の休みに行った楽しかったこと
などどこにでもある普通の会話。


ご飯を食べて終わり家に帰る途中
彼は“最近よくする話”をまた始めた。

『レモン(私)はお金を借り続けた僕を受け入れてくれて嬉しかった。ありがとう。もっと早く出会いたかった。本当に大好きだよ。来世でもまた出会いたいよね。レモンとはもっとたくさん話をしたいね。』
など

こんな話は、たまにしていたが
最近特に多いなとは思っていた。
が、気にもとめていなかった。

彼は友だちに会いに行くと言って
私を家に送り、再び出かけて行った。


私は一息つこうと思いソファに腰掛けた。


机の上見慣れないぬいぐるみが
置いてあったのに
ふと、気がついた。


ぬいぐるみのタグには
LINEを見て!と書いてあり
何かのサプライズかと思い
嬉しくなった。


そしてあたりを見渡すと、
1冊のノートがあり表紙には

“レモンへ
最後に伝えたいこと”



と少し急いで書いたかのような文字で
そう綴られていた。

なんだかとても胸騒ぎがした。

すぐにノートを見た。

“昨日でレモンと顔を合わすのは最後にしようと思ってた。沢山の感謝を伝えて死のうと思ってた。でも、やっぱりさみしいし会いたい。
夕方迎えに行って会うのが最後。”

まだたくさんの文字が綴られていたが私は嫌な予感がしたので順に読まず最後のページまで飛ばした。

【遺書】


と書かれた文字が見えた。
何がなんだか分からなかった。
“最近よくする話”から本気だと感じた。

私はすぐにノートとぬいぐるみを持ち
夢中で車を走らせた。
いちごを止めにいくことに必死だった。

追いかけようにも
いちごのいく当ても分からない。
知り合いの連絡先も知らない。
無力だと感じた。
それと同時に本当にこの世から
いなくなったらどうしようと
不安と悲しみが押し寄せて怖かった。
脈がすごく早くなるのと
体の中が熱くなるのを感じた。


何度も電話をかけ続けた。
でもいちごは出なかった。


次に続く……




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