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短編集「いろがみ」

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色に関する怪談集
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#小説

白の章

 陣痛に喘ぐ妻を連れ、山に向けて車を走らせる

 掛かり付けの病院は目の前の山を越えればすぐだ

 朝から妻の体調が悪く、少し熱があった

 その事を主治医に連絡していると、突然陣痛が始まった

 予定日よりも7日早い

 電話越しで主治医に現状を伝えると、今すぐ病院に来るように指示を受けた

 幸い明日が入院予定日だったため準備が済んでおり、すぐに家を出ることができた

 家を出た頃に降りだした

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青の章

 周囲を包み込む蝉時雨

 時折混ざる鳥の歌声

 吹き抜ける風に木々が囁くように音を立て、草花は踊るように揺れている

 音楽とはまた違う、自然が産み出す美しい音色

 だが今は、それを楽しむ余裕はない

 山の中とはいえ、この暑さだ

 3時間も歩けば流石に疲れる

 麓から川に沿って登ってきたが、目的地には未だ辿り着かない

 今日のために買ったトレッキングシューズだが、厚底に慣れていないの

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黒の章

ツクヨミいない夜の空 草木眠ると現れる
存在しないその場所は 坂を下った先にある

存在しないその坂は 普段は岩に隠れてる
山に行くなら子の刻に 岩が退くのは丑の刻

灯り持たずに静かに進め 鬼に見つかりゃ食べられちゃう
行灯代わりに狐花 闇夜を正しく照らすから

遂に見つけた堅洲國 わいわいガヤガヤ楽しそう
さらに奥には黄泉の国 みんなそこからやってくる

賑やか宴会気をつけて 食べたらみんなの

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色の章

 認知症になった祖母を施設に入れることになった

 その準備や片付けを手伝うため、父と共に祖父母の住む田舎へと足を運んだ

 出迎えてくれた祖父は介護疲れのせいか、酷くやつれている

 そんな祖父のためにも頑張ろうと思っていたのだが、私達が来る前に粗方済ませていたらしい

 後はゴミを捨て、まとめた荷物を施設へと運ぶのみである

 本来は明日やる予定であったが、予定を前倒しにして父と祖父でゴミを捨

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