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夜を歩く。

街灯を頼りに夜を歩くとき

そこに理由を持たない自由


一人暮らしでよかったなぁ、と感じるのは、夜に散歩をするとき。
この小さな部屋では感情を扱いきれなくなって、
ジャケットを羽織って、ポケットにスマホをしまって、夜へ歩き出す。
何も考えずに、ただ知っている道の、知らない側面を歩く。
そこに理由は存在しなくていい。
途中でコンビニに寄るかもしれないけれど、コンビニに行くことが目的じゃない。

別に、実家だと夜中に外出できないわけではないのだけれど、
何か嫌なことがあったのかと、心配されてしまうから気が引ける。
私もいつか大切な人ができたら、きっとそうなるんだろう。
悲しい気持ちでいてほしくないし、暗い気分は晴れた方がいい。
それでも、理由もなく悲しんでいる自由を、私は認めてあげたい。

夜は憂鬱を晴らしてはくれない。
ただ、そのままの形の感情を受け入れてくれる。
昼間の記憶と街灯を頼りに進んで、角を曲がる。
変わらず夜の暗闇は、私の足音を黙って聞いている。
私はいつか誰かにとって、そんな居場所になってみたい。


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