侘び寂びの喫茶店「音楽と珈琲」
#音楽と珈琲
街おこしが軌道に乗り、賑やかになってきたもちいどの商店街で、ある喫茶店にたどり着いた。
扉まで続く階段を一段ずつ確かめながら、宙に浮く踵が、期待と不安の入り混じる気持ちを助長する。踊り場に着き、心拍数は乱れるまま、息を整え、ひやりとした金色のドアノブをひねる。
かすかにジャズが流れる店内から、珈琲の香りが押し出される。カウンター席が手前に4席ほど、テーブルが奥に2脚ある。話す声はなく、40代と50代の男女がすでに、一人ずつカウンターに腰掛けている。物腰の