循環型農業の本質!
現在、地球上では温暖化や砂漠化や、海洋汚染など様々な環境問題が浮上しています。
農業分野も例外ではなく、化学肥料や農薬の過剰散布、家畜糞尿の不適切な処理など環境への悪影響を及ぼしています。
そこで、いかに廃棄される残渣や余剰生産物などを減らし、資源を再活用し循環させていくか。最終的に環境負荷を減らし、持続可能な農業を目指す動きである「循環型農業」が推進されていることをご存知ですか?
「循環型農業」の必要な理由をご紹介します。
「農業が与える影響!」
・化学肥料や農薬の施用過多
・加温施設での化石燃料の多用
・プラスチック資材の不適切な処理による有害物質の発生
・家畜の糞尿による水質汚濁や悪臭
・過度な除草や耕耘過多による土壌粒子の流亡による水質汚濁
「化石燃料の原料も輸入に依存!」
日本は化学肥料の原料である「リン鉱石」「カリ鉱石」などをほぼ100%輸入に頼っていって、その輸入先もロシアなど特定の国に集中しています。
「原料資源の産出量」2008年
リン鉱石
1,中国 30%
2,アメリカ 19%
3,モロッコ 17%
カリ鉱石
1,カナダ 31%
2,ロシア 19%
3,ベラルーシ 14%
「施設園芸では化石燃料が欠かせない!」
ビニールハウスで育てる施設園芸ではハウスを温めるボイラーの燃料として、重油、灯油を多用しています。
→燃料の石油が輸出品であるがゆえに国際市場の動向に左右され、価格が高騰するリスクが生じます。
また、ハウスを覆う農業用ビニールフィルム・骨組みに使われる鉄製・アルミニウム制パルプなど、露地栽培以上に農業資材を使用するため、これらの原料として加工・製造する際のエネルギーとしても「石油」は欠かせない存在になります。
「田畑で育つ作物は病害虫の被害を受けやすい?」
野菜の植物は本来、個体ごとに、また生物を含めた集団で、病害虫を防御する力を持っています。
~では、なぜ田畑で育てる作物は病害虫の被害を受けやすいのか?
品種改良
人間が植物を栽培・収穫しやすいように改良し続けてきた結果、植物が本来持っているはずの防御力(害虫に対する抵抗性や病気に対する耐性)が失われて病害虫を発生させる原因になっています。
解決:現代農業では殺菌剤・殺虫剤などの農薬が投入されるようになりました。ところが、どんなに強力な農薬を開発しても、それに耐性を持った病原菌・抵抗性を持った害虫が出現していたちごっこなのが現状である!
環境保全型農業とは「有機栽培」「無農薬栽培」「減農薬栽培」など、
農薬・化学肥料の使用・不使用などを前提とした農業形態の事をいいます。
問題:農薬・化学肥料の多用により生態系のバランスが崩れ、害虫が農薬に耐性を持つようになり、さらに強い農薬が必要になるという「悪循環」が生じて農業従事者の永遠の課題となっています。
化学肥料に頼らない農業は、病気や害虫の被害を受けやすいため、収量が少なくなりやすくなります。
農業者だけがこのリスクを負っていては、環境保全型農業は成り立ちません
対策:安全な農作物を求める消費者が、農業者にとって採算の取れる価格で買い支え、農業者と消費者が手を携えて環境に負荷の少ない農業に取り組もうという「産消連携」を目指していくことが大切になります。
(生協や産直団体などが大きな役割を果てしている)
「近代農業への反省からスタート!」
近代農業では農業機械・農薬・化学肥料の施用により、食料増産と農作業の軽減に大きく貢献しています。
これらの問題に対して
循環型農業は、畜糞を肥料として再利用したり、稲藁をプラスチック資材に用いたり、牧草を育てることで土壌を豊かにしつつ、家畜の飼料に転換したり、資源を循環させることで環境負荷を低減させる効果が期待されている。
生産効率の追求により、労働負担の少ない化学肥料への依存度が高まったことや、過度の資材利用、不適切な管理により農業生産が環境に負荷を与えるようになりました。
「代表的な循環型農業の事例」
耕畜連携とは堆肥を畑に施用し、育った牧草や穀物を飼料として利用すること。
牛や豚、鶏などの糞尿を発行させ堆肥化し、それを畑へ還元する。その畑で育った牧草や穀物などを飼料として再度家畜へ供給という循環方法で、もっともポピュラーな手法の一つ
(例)合鴨農法、アクアポニッアクス
農業の役割は食糧生産以外にも
「農業のもう一つの価値!!」
事業の規模を拡大し、儲かるビジネスとして農業を展開していくことは必要である。しかし、農地には食糧生産以外の大事な役割がある。町や人里の近くに程よく田畑家があるおかげで生態毛が保たれ、土の保水効果が洪水や土砂崩れを防止してくれる。都市部の農地は、火災が町中に燃え広がるのを食い止め、地震などの災害発生時には逃げ場にもなります。
現代人の多くが作物を育てる農作業に夢中になるように、本質的な農業は人との生活と密接にかかわるもの。そこに価値を見出した新たなビジネスも生まれている。貸農園や炙りパーク、地域活性化につながる脳波苦ビジネスなどだ。食産業としての農業、健康産業としての農業、レジャーや教育に活用される農業。農業が現代人の生活にもたらす効果はじつひひじゅに多岐にわたっている。これからの日本にとって農業は、大きな社会的広がりと可能性を持った分野なのです。