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持続可能な養蜂の手引き!

「アニマルウェルフェアとしてのダーウィン養蜂」
ダーウィン養蜂の考え方
・生息する場所の環境にしたがって適応してきたミツバチを、それとはまったく異なる飼養環境に置いている点を是正して、ミツバチのストレスを軽減しようとするものともいえる。

・自然状態に近いミツバチのあり方そのものを肯定的に捕らえ、それを養蜂に取り込む考え方、あるいは実践ということになり、養蜂家としてのヒトの介在の意味を難しいものにはさせる。

・Seeley(2019)は「ミツバチが最もよい養蜂家である」として、ヒトである養蜂家向けにダーウィン養蜂を実現するための14項目の提案をしている

ダーウィン養蜂を実践する14箇条(Seeley, 2019)
1)自分の地域に適応したミツバチを使う
2)巣箱はできるだけ離して置く
3)小さい巣箱を用意する
4)巣箱の内壁は荒削りのままにする
5)巣箱の壁面はできるだけ厚くする
6)巣箱は地面から離して高い位置に置く
7)巣板の10~20%が雄蜂用の巣板になるようにする
8)巣の構造を乱すのはできるだけやめて、機能的に構成された巣を維持    
9)蜂群の移動は必要不可欠な場合のみ行う
10)蜂群は殺虫剤や殺菌剤が利用される花からできるだけ離して置く
11)蜂群は湿地や森林、荒れ地など自然な土地に囲まれるように置く
12)蜂群を増やしたいときは、待ち受け巣箱で分蜂群を捕らえるか、
  強群を分割して変成王台を作らせ、自然交尾をさせる
13)蜂群から花粉を採ったり、ハチミツを採ったりしない
14)ダニの防除はできるだけ行わない

「アニマルウェルフェアのミツバチへの適用」
家畜のアニマルウェルフェアの考え方
・家畜のアニマルウェルフェアは「家畜がその行動要求を人間の飼養活動によって満たされている状態」を示す(松木, 2017)。

・世界動物保健機関(World Organisation for Animal Health, 通称のOIEは旧称Office International des Epizootiesの略称を継続利用しているもの)はアニマルウェルフェアを「動物が生活し、また死ぬ状況に関連した、肉体的および精神的な状態」と定義している。

・ヒトの管理下で動物が経験する、いわゆる「5つの自由」
1)飢餓や渇きからの自由、
2)不快からの自由、
3)痛み、怪我、疾病からの自由
4)通常の行動を発現する自由
5)恐怖と苦悩からの自由の保障を社会が期待することを
 基本原則として求めている(OIE, 2019)。

「既存養蜂へのダーウィン養蜂とアニマルウェル」
小規模養蜂の持続可能性
フェアの適用Seeley(2019)はダーウィン養蜂の商業養蜂や都市養蜂への導入は 想定しておらず、村落地で、年に15 kg/群程度のハチミツ生産と、薬剤を使わない飼養管理を実践しようとする、あくまでも小規模養蜂のスタイルと考えている。 

・基本のコンセプトは「ミツバチ自身が最良の養蜂家」であり、ヒトがミツバチの邪魔をしない、つまり行動の自由を制限しないことが求められる。

・大量のハチミツ生産や移動を伴う花粉媒介利用も、ミツバチの本然に反する行為となる。

・ダーウィン養蜂は適応範囲のごく狭い概念でしかないのか、既存の商業  養蜂、都市養蜂、趣味養蜂、そして日本の独自の養蜂ではあるが、ニホンミツバチ養蜂について、その適用の可否を論じていきたい

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