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不要を削ぐことは自分に向き合うこと──『超ミニマル主義』読書感想文
ミニマリストの本は好きでよく読んでいる。
表題の本は夫が買っていたので、少し拝借して読んだ。
最近、こちらの本も読んだ。
身の回りを片付ける、整理するは生活の知恵だ。
実家にいるときは、マンガやら雑貨やものに溢れた生活をしていたが、
大学時代に段ボールひとつの荷物で家を出て寮暮らしをはじめてからは、私もかなり身の回りのものは少なめで過ごしてきた。
もともと片付けが嫌いだし、ものが少なければ片付けしなくていい。掃除もしやすい。
それに早めに気づけたのは一人暮らしの恩恵だなあ。
「片付ける」「ものを探す」「0から思い出す」この三つの行為を少なくするだけで、人生の数割の時間を得すると思っている。
だからなるべく身の回りのものを少なめに暮らすことが、自分にとっては気持ちがいい。
時間をかけて、自分の暮らしをつくりあげる
本を書くようなミニマリストさんたちは、徹底している。
こだわりを随所に感じるし、ほんとうに持たないし、家の中もほんとうに何もない(驚き)!!
私がこういう本を読んで目指すのは、それをコピーした生活じゃなくて、
自分が気持ちよくいられる生活に近づけるための知恵を拝借することだ。
うちの子どもたちは、特に娘たちは服やコスメやおもちゃや雑貨が大好き。
意識してちょこちょこ買いを控えていても、結局なんだかんだものは増えていく。
マックに行った時は、ハッピーセットのおもちゃを喜んでもらってくる。
100均では工作の材料を買い込み、工作した作品はエンドレスで家の中にある。
家の始末にもそれぞれの家庭の事情がある。
工作や絵を写真に撮ってアルバム化すること(実物は処分)
ものの利用頻度でしまい場所を決めること
毎日使うものはワンアクションで出し入れできる位置に置いておくこと
ものの「置き位置」を決めて、家族に共有すること
それぞれのものに対して、家に確保する容量限界を決めること
スケジュールなどの情報は散在させず、集約しておくこと
こういう細かいTipsは、それこそ本から授かったものだ。
でも、それをしっかりと生活の中に根付かせるには、家族にとって自分にとって、一番やりやすい方法に変換する手間が必ずいる。
定かには覚えていないけど、うちには合わなくていつの間にか立ち消えたアイディアもたぶん五万とある。
そういう試行錯誤を10年以上した結果、我が家は夫との家事分担とその動線がものすごくスムーズで、長男は1から10まで自分で料理を完結でき、他の子どもたちもガイダンスなしにいつものお手伝いができるし、「片付け」のやり方が自分でわかる。
自由時間はそれぞれの定位置でのんびりできるし、すぐに家族が集合できるし、比較的すぐに来客対応もできる。
引っ越しも楽だったし、今、とても暮らしやすい。
ものは増えていくけど、増やすものに対する「さじ加減」も家族で共通認識があるので、手配もスムーズだ。
(これは正規品、これはレンタル、これは中古、これは100均といった入手のこだわり加減と、おもちゃは増えるタイミングで同量を減らすなど)
気持ちよく暮らすことへの手間は、ある程度時間をかけなければいけないというのが一人暮らしして20年以上たった今の所感。
「削ぎ落とす」は本気で人生に向き合う行為
超ミニマル主義を読んで思ったのは、「自分が生きるのに必要な最低限のものを把握しておくのは良いな」ということ。
ミニマリストさんたちは、自分の生活に必要なものをびっくりするほと突き詰めて考えている。その本気度が、いいなと思う。妥協なく本気で人生に向き合っている感がある。
削ぎ落とすことは、自分の人生の優先度を決めることだ。
もちろん他者との生活にはTPOがあるので、その時その時で人を不快にさせないように柔軟に対応をしなければならないけど「本当に外せないもの」「お気に入り」はきちんと認識しておくべきなんだよなと思う。
思い出すのは、小さい頃の旅行の荷造りだ。
うちの父親は山男で、サバティカル休暇にはインドにリュック一つで行くような人だったから、子どもの頃の家族旅行といえば、公共交通機関でアメニティのない宿に泊まる山登りあたりがメインだった。
小学校に上がると、持ち物はいつも自分で用意した。
洗面道具と自分の衣類。
特に山頂などは夏でもマジで寒いので、軽量の衣類で暖を取るには重ね着のバリエーションを熟考することが必要だ。量を持っていくと自分が疲れるので、自分が長距離歩く上で耐えられる「最低限」かつ「最適な」荷造りをしなければならない。
そんなパッキングばっかりしていたので、高校の修学旅行ではみんなの荷物の半分の量で行って友だちには驚かれたけど笑(別に普通に事足りた)。
地方に移住して車生活をしはじめたことで、最近は「いるかもしれない」「これもついでに」「念の為」の思考が増えたことに気づく。
欠乏は身に迫って感じるので学習に繋がるんだけど、余剰って学習につながらないんだよなあ。
今の時代の普段の生活において「欠乏」が命の危機につながることはとてもとても稀だから。足りないことで学習を積んでいくくらいがちょうどいいのかなと思う。
だから、やっぱりものの管理に対するシビアさは、ある程度キープしなければいけないなと。
こういう本を読むと、「ああ緩んできてたところもあるな」「そろそろ見直しの時期かな」と気づける。
3ヶ月とか半年に一回読むと、生活がシャキッとして良い。
(美容本とかも一緒。なかなか続かないからこそ、たまにやる気を上げるために読むと効果ある)
そういう効用が、ミニマリストのススメ的なハウツー本にはある。