川は自分を写してる
湖の波は、規則正しく美しく。
その波の長さ加減は、風のみぞ知る。
その規則正しさは美しくもあり、
退屈でもある。だからなのか、
私は川に、ずっと惹かれている。
湖たちのことは考えたことがなかった。
せいぜい、泳いでも、しょっぱくないし
からだがベタベタしなくていいくらいだった。
ただ、
自分以外の人が
自分が好きでないものに、
惹かれているといわれたら。
それを観察してみたら、
自分が好きなものの理由が浮かび上がるから
面白い。
好きじゃないもの
無関心なものの中にこそ、
自分がいる気がしてくる。
かもめの白は、海に似ている。
トンボの平べったさは、プールの水面に似る。
鴨の丸みと穏やかさは、湖に似てくる。
似たもの同士だから集まるのか、
集まるから似てくるのか。
とすれば、川が好きな私は川に似ている。
行く川の流れは絶えずして、
一箇所に留まらない。
上流で雨が降れば荒々しく濁流に。
日照りが続けば、川底があらわになるほど、
枯れてくる。
一直線な川はない。
常に変化していたいし、
周りに合わせて変化もする。
岩にあたれば逃げ道を変える。
そうして最近、川に似てきた気がする。
毎朝川沿いを歩くからだろうか。
とすれば、湖通えば、
湖人間になる。似てくるんだろうか。
湖な人は、
一定に穏やかで、
すべてのものを受け入れる包容力がある。
そういえば、
川に集まるものといえば魚だ。
魚の目は、常に時流を読んでいる。
湖にも魚はいるけれど、川が合う。
自分で泳ぎ続けるよりも、
川の流れを読んで、
川の流れに身を委ねていたい。
海は見るものだが、
湖からは見られるもの。
だとしたら、川は?
見えないもの。
常に変化しており、
捉えようのないのが川だ。
だから好きだったんだ。
湖に見られている、ってドキドキする。
見透かされているようで、こわい。
川が見えないのは、ワクワクする。
見透かしてやろうとすればするほど、逃げる。
目を瞑って、音を感じれば、見えてくる。
その強弱や、高低、談寒さえ見えてくる。
川は、見られたいと思っている。
だれかにこの、止められない自分を、
捉えて欲しいと思っている。
流れ続けているくせに。
吾輩は、川である。
川をみていると、自分を見ているようだ。
川を見ている時の自分は、自分を見ている。
見えてくる。
今日もお付き合いいただき
ありがとうございます。
川の写真を撮ろうとしたら、
ピンボケてた。
川は、定まらぬ自分を写していた。