『ドライブ』
免許を取り立てで「どうしても運転したいと」バイト仲間で同い年のヤマを誘った。
ヤマ「いいぜ!女の子も呼んで行こう!」
バイト先の1つ年下咲と楓をさそって4人でドライブに行く事になった。
咲「絶対事故らないでくださいよ!」
僕「もちろん安全運転で行くよ!」
咲「初心者マーク恥ずかしいっすね」
1つ年下の咲はバイトも一緒で大学も同じで
距離感が近い分生意気である。
楓「ドライブ初めてだから楽しみです…ね?咲」
楓は咲の幼馴染で控えめで少し照れ屋さんな女の子
咲「楽しみだけど、なんで先輩たちとなの?」
ヤマ「いいじゃねーかよ!同じバイト先なんだしもっと仲良くなれたらさ!」
咲「充分仲良い方でしょ!」
僕「へぇそう思ってくれてたんだな」
咲「そういう意味じゃないです!早く出発してください」
なんて咲をからかいながら、ゆっくりと車を出した。緊張してあまり喋れなかったので3人の会話を聞きながら運転をする。
咲「音楽とかないんですか?」
ヤマ「もちろんプレイリスト作って来たよ流すわ」
咲「え?携帯から流すんですか!?」
ヤマ「仕方ないだろ激安レンタカーで繋げる機器がないんだから」
咲「もっといい車が良かった!」
ヤマ「文句ばっかだなー!」
何気ない会話が行われている。
そこで気になるのは楓だ。
会話に入れていないと思い、楓に話を振った。
僕「楓は好きなアーティストいるの?」
楓「いや、特には…」
1ターンで終わってしまった。
その後1時間くらいドライブをして、
コンビニで休憩する事になった。
ヤマと楓がトイレに行ってる間、車の中で咲と2人きりになる。
僕「楓楽しんでるのかな?」
咲「最高に楽しんでるでしょ」
意外な返答に少し驚きながら会話を続ける
僕「あんまこういうの苦手だったんじゃない?喋らないし、静かだし、」
咲「先輩鈍いっすね」
僕「何が?」
咲「楓は普段うるさい蝉くらい喋るんですよ」
僕「え?楓が!?」
あまりにも想像がつかない。
僕「友達の前だと違うのか!やっぱり俺らといると楽しくないのかな?」
咲「違う違う!バカっすねー、先輩の前だけ!静かになっちゃうんです!今日も緊張してあんなに静かなんです!だから…」
その後咲の恋愛先生モードの話は耳には入ってこなかった。楓は僕の前だけ静かになってしまう。つまり、、、僕も大学生だ。どういう状況かは分かった。
楓「お待たせ、しました…」
楓が恥ずかしそうに戻ってきた。
相手が自分に好意を持ってくれてると分かるとこっちまで意識してしまう。嫌われないようにしなきゃと思い。静かになってしまう。
ヤマ「いやーでっっかいの出たわ〜」
ヤマはいい奴だ、その場を盛り上げてくれる。
ヤマ「てか思ってたんだけど楓今日静かだな!こいつの事好きなんじゃないの!?」
ヤマは嫌な奴だ、その場を凍らせる。
僕「バカ!ヤマ!そんなわ…」
楓「そうです!!!」
食い気味で楓からは聞いた事ない大きい声で答えた。その後少し沈黙が流れる。
俺は嬉しかった。実は楓の事は前からずっと気になっていた。だからドライブで楓に楽しんでもらいたいと思っていた。
ヤマ「ほら、おまえ!返事だろ」
ヤマはやっぱりいい奴。
僕「実は俺も楓の事が好きなんだ。もし良かったら俺と付き合ってくれないか?」
楓「…はい。」
楓は涙を浮かべながら小さく返事をした。
その瞬間。咲とヤマが盛り上がる
咲「やっと言えたね!良かったね楓!」
ヤマ「おいおい助手席交代だなー」
最高のドライブになった。
それから数年が経つ。
今は立派な社会人。
あのドライブ後、先に社会人になった僕は、
楓とは時間が合わなくなってしまって、
2年くらいで別れてしまった。
未だに車に乗るとそのドライブを思い出す。