熊本県山江村のおいしい栗が困っているひとのスーツになった話
熊本県は山江村。1977年に皇室献上栗に選ばれて以来、栗の名産地として「栗まんじゅう」「柚子まろん」「びっ栗団子」「栗もなか」など栗を使った様々なスイーツもあります。
そんな山江村の栗を使った「栗ごはんの素」を販売しているのは、イシイのミートボールでおなじみ石井食品さん。
Photo: Yoshiko Otsuka
「イシイの本気は裏に出る」と、素材にこだわり、無添加調理にも取り組み続けて20年以上になる食品メーカーです。
2012年より、東日本大震災で被災された方のご意見を基に「非常食セット」の開発をスタートした石井食品さん。2016年の熊本地震の際、現地のみなさんからお話を伺いたいと「防災をあたりまえの世の中」を目指し活動していた一般社団法人防災ガールづてにご連絡をいただき、アテンドや被災地域にお住まいのみなさんとの橋渡しを行ったのがBRIDGE KUMAMOTOでした。そして、ヒアリングをもとに生まれたのが、自然災害のためだけの非常食ではなく、日常的に感じる「災い(ストレスなど)」を防ぐ新しい食事である野菜を食べる玄米おかゆ“potayu(ぽたーゆ)”でした。
野菜を食べる玄米おかゆ potayu
https://campaign.ishiifood.co.jp/potayu2018
令和2年7月に発災した熊本豪雨。
BRIDGE KUMAMOTO基金を立ち上げ、被災地域で活動する団体への支援活動をスタートした私たちに「なにか役に立てることはないか」とお声がけくださり、熊本県の食材を使用した「石井食品の栗ごはん:今年採れた熊本やまえ村の栗 栗ごはん」や、野菜を食べる玄米おかゆ「potayu」などの売上の一部を、熊本県被災地支援の活動金として寄付を行うことを決めてくださりました。
■石井食品さま ご寄付についてのプレスリリース
びっくり美味しい、栗ごはんを素敵なスーツに
2021年2月下旬、寄付金の受け渡しや活用方法について石井食品さんとお打ち合わせをし、寄付金をどのように活用するかを考えあぐねているときに、現地で支援活動をされる方々から「もうすぐ卒園式や入学式もあるのに、礼服も流されてしまって着る服がない」というお話を伺いました。
昨年の熊本豪雨で被災してしまった球磨川流域、坂本町の「川岳保育園」さん。職員さんや保護者さんたちも被害にあってしまい、あらゆるものが流されてしまいました。卒園式や入学式で着るためのスーツも例外ではありません。
写真のご提供:川岳保育園さま
そんなお話が組み合わさって、季節限定の栗ごはんと同様に、いま、このタイミングで困っているみなさんの支援になるもの、としてスーツをお贈りすることに決めました。
支援の想いを形にする
被災地域には、様々な方、チーム、企業からの支援物資が送られてきます。
これを読んでくださっている方のなかにも、被災地域を想って、なにか物資での支援をしてくださった方もいらっしゃるかもしれません。
この文章を書いているわたしも、令和2年7月豪雨の被災地域の避難所で、数ヶ月支援活動を行っていましたが、全国各地のみなさんの想いが乗っかるたくさんの物資を見て、目頭が熱くなったことを思い出します。
一方で、善意の物資であっても、ニーズが無ければ、物資を受け取る被災地域への負担や、ときには被災地域で暮らす人々の尊厳に関わったりすることもあると言われています。
近年では、自治体がホームページやSNSで必要な支援物資を挙げたり、amazonの欲しいものリストを共有したり、あるいは、クラウドファンディングの「物資版」のようなものがあったりと、例年どうしても起こってしまう災害時において必要な支援を呼びかけられる仕組みは広がっているように思います。
栗を起点に繋がる支援の輪
今回、スーツをお届けすることを決めたとき、私たちの想いとしては
「せっかくなら素敵なスーツを」
「せっかくなら熊本のブランドで」
「せっかくなら、コロナで大変なアパレル産業にもちょっとは役に立ちたい」
と、考えていました。
そして、たまたま、ほんのちょっとお知り合いだった日本製の工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」さんにご協力をお願いしたところ、快諾いただき、プロジェクトがまた前に進みました。
卒園式まで、20日間あるかないか、オーダースーツを作るにはとってもタイトなスケジュールのなか、ファクトリエ熊本店の小林さんと川岳保育園さんにご協力いただき、オーダースーツを製作するための採寸会、出張ファクトリエを実施。
photo: Dai Hashimoto
最初はなんだか緊張感のあった会場も、ファクトリエのジャケットに袖を通すと不思議とみなさんの表情が柔らかくなり、グレー、ネイビー、ブラックのジャケットやパンツを選ぶみなさんの「これが似合いそう!」「その色、ぴったりだね!」と胸をときめかせている様子に、私たちも胸がときめいてしまいました。
採寸から数週間後、川岳保育園に無事スーツが届き、28日に卒園式が実施されました。
photo: Dai Hashimoto
職員のみなさんや保護者のみなさんにとって、卒園式やこれから迎える入園式が少しでも温かい時間となったらよいなと思いながら、今回のプロジェクトを進めてきましたが、ほんの少しは、それらに寄与できたのではないかと、卒園式の様子を離れた場所で眺めてみて、感じています。
山江村の栗ごはんの素を買ってくださったみなさん、売上の一部を、熊本県被災地支援の活動金として寄付くださった石井食品さん、めいっぱいのおもてなしとスーツを製作くださったファクトリエさん、受け取ったスーツで卒園式に参加された川岳保育園のみなさん、すべての関わってくださったみなさまとともにあった、
熊本県山江村のおいしい栗が困っているひとのスーツになった話。
被災地域への支援について
被災地域では、いまだ困難な状況のなか過ごされている方々が多くいらっしゃいます。BRIDGE KUMAMOTOでは、みなさまの寄付をもとに、今回のようなフォーマルウェア、これまで実施した暖房器具の提供など直接的な支援や、被災地域で活動する団体への支援を実施しています。
継続的な支援を行うため、みなさまのご寄付をお願いしております。
■BRIDGE KUMAMOTOの寄付つきアイテムを購入し応援する
グッドデザイン賞を受賞した被災地域で使用された廃棄予定のブルーシートを利用したBLUE SEED BAG®、tokyobikeとのコラボサコッシュなど、BRIDGE KUMAMOTOで販売するアイテムはすべて寄付つきの商品になっています!
■BRIDGE KUMAMOTOへの寄付で応援する
銀行へのお振り込みでの寄付をお願いしております。
熊本銀行 中央支店
普通 3151736(寄付用口座)
シヤ)ブリツジクマモト
■BRIDGE KUMAMOTOとコラボで応援!
石井食品さんのように、いっしょに寄付先を考えて、これまでにない支援の形を作りましょう!お気軽にご連絡ください。
■川岳保育園さまを寄付で応援する
川岳保育園さまでも引き続き、寄付金を募っております。
■石井食品の商品を購入する
ミートボールやハンバーグなどの定番商品や、栗ごはんやおせちなどの季節限定商品、地域食材を使用した旬の商品などが購入できます。
プロジェクトメンバー
プロデュース・プロジェクトマネジメント:BRIDGE KUMAMOTO
ご寄付:石井食品さま(https://www.ishiifood.co.jp/)
ご協力:ファクトリエさま(https://factelier.com/)
川岳保育園さま(http://ittouen.jp/publics/index/15/)
スーツ採寸・卒業式写真撮影:橋本 大(@dai_hashimoto_)
■BRIDGE KUMAMOTO Twitter