焼肉部位解説⑨ コラーゲンたっぷり中華材料センボンって何?輸出・インバウンドに役立つ英語中国語訳付き
牛肉その他の部位の解説
13 その他の部位
13-1 ネック
【別名】ネジ
【英語】 Neck(北米 豪NZ)
【中国語】颈肉(jing3rou4)
【牛の部分】 首筋の肉
【特徴】よく動く筋肉のためキメは粗くサシが少なく硬い。スジも多い
【用途】挽き材、カレーやシチューなどの煮込み料理
13-2 コメカミ
【別名】カシラ
【英語】 Temple meat(北米 豪NZ)
【中国語】颞颥肉(nie4ru2rou4) 太阳穴(tai4yang2xue2)
【牛の部分】 頭(コメカミ)の肉 (ボクシングでもコメカミをテンプルと言う)
【特徴】柔らかくて脂肪が多い
【用途】挽き材、焼肉
13-3 ほほ肉
【別名】チーク、ツラミ、テガリ
【英語】 Cheek meat, Papillae off (北米 豪NZ)
【中国語】精修颊肉*(jing1xiu1jia2rou4)
【牛の部分】 ほほの肉で唇の粘膜を除去したもの
【特徴】スジが多くゼラチンが豊富である。肉質はやや硬めである。
【用途】赤ワイン煮込み、焼肉
13-4スネ
【別名】チマキ
【英語】 Shin Shank(北米 豪NZ)
【中国語】牛腱(niu2jian4)、腱子肉(jian4zi.rou4)
【牛の部分】 前スネと後ろスネ、ふくらはぎの部分の肉
【特徴】スジ(コラーゲン)が多い紡錘状の筋肉(前後4つとセンボンスジ)である。赤身率によって85CL 、90CLなどがあり、ひき材やスープの原料となる。 なお、きれいに掃除したものはShin Shank Taiwan spec(シンシャンク台湾規格)と呼ばれており中華前菜や台湾牛肉麺の材料となるため、比較的価格が高く台湾向けに輸出されており、日本であまり見かけない。(筆者も豪州駐在員時代は台湾向けに相当量輸出した)なお、子牛のスネは骨付きのまま輪切りにしてイタリア料理のオッソブーコ(Osso bucco)用の食材となる。
【用途】煮込み、ハンバーグ、挽き肉材料、コンソメ、中華前菜、台湾牛肉麺
(筆者注:CLとはChemical lean化学分析赤身率の事で、85CL は赤身肉85%、脂肪15%となる)
13-5 センボンスジ
【別名】センボン
【英語】 Flexor digitorum meat*(北米 豪NZ)
【中国語】精修腱子*(jing1xiu1hou4jian4zi)、花腱(hua1jian4)
【学名】M. flexor digitorum sublimis
【牛の部分】 ソトモモのハバキ(ヒールミート)の中にある紡錘状の筋肉。
【特徴】スジも多いが、両端のスジ(腱)を外し輪切りにすると中のスジが大理石状となる。このスジは意外に歯切れがよいため焼肉材料としている焼肉店もあるが、中華風に煮込むと前菜のコールドビーフ(五香牛肉)に最適な部位であり、台湾などでは高値である。ほとんどが13-4のShin Shank Taiwan spec(シンシャンク台湾規格)として輸出される。
【用途】中華前菜、台湾牛肉麺、焼肉、挽き材
13-6 挽き材用切り落とし
【別名】フォアハインド、フォアミート、トリミング、牛正(ギュウショウ)
【英語】 Fore and Hind meat, Fore meat, Trimming(北米 豪NZ)
【中国語】前后四分体肉(qian2hou4si4fen1ti3rou4)、前四分体肉(qian2si4fen1ti3rou4)、碎肉(sui4rou4)
【牛の部分】 部分肉を取った後の肩肉やもも肉の切り落とし
【特徴】スジが多い赤身肉、赤身率によって
70CL Trimming, 80CL Trimming, 85CL Cow fore, 85CL Cow fore hind,
90CL Cow fore hind, 90CL Bull, 93CL Bull, 95CLBull meatなどがある。主として赤身率の高い経産牛や雄牛の切り落としである。米国では穀物肥育牛肉トリミングの赤身率が低いため、ハンバーガーパティの赤身率を調整するために豪州やNZから大量に輸入している。通常は冷凍バルクパックで輸入される。
バルクパックとはダンボール箱にビニール袋を入れて切り落としをバラで詰める包装形態
【用途】ハンバーグ、ハンバーガーパティ、挽き肉材料、牛煮込み