ブラジル、リオグランデドスル州の洪水の穀物、畜産への影響 2024 5 13
写真:イメージです。(This image is a work of the Forest Service of the United States Department of Agriculture. )
5月上旬、ブラジルのリオグランデ・ド・スル州で豪雨による洪水が起きており、各産業に影響が出ています。特に畜産関係で影響が出ているのは、食肉や農作物(トウモロコシ・大豆)、国内外の物流で復旧の目途は立っておりません。
情報が錯綜しておりますが、以下のとおり、ご参考までに簡単な報告をまとめました。
・食肉産業への影響
洪水を受け豚肉、牛肉、鶏肉などの食肉生産について、多くの家畜が溺死し一部の工場は5/5付けで閉鎖、供給の縮小が予想される。また、家畜の輸送も困難で市場の売買活動停止に繋がり、生産者に損失をもたらしている。
リオグランデ・ド・スル州はブラジル全土における豚肉生産の19%、鶏肉生産の約13%、牛肉生産の5%を担っている。現状で閉鎖が発表された工場は以下の10工場との事。
・Cooperativa Dália Alimentos (Arroio do Meio),
・JBS (Caxias do Sul),
・Carrer Alimentos (Farroupilha),
・BRF poultry (Lajeado),
・BRF swine (Lajeado),
・Companhia Minuano de Alimentos (Lajeado) ,
・Frigorifico Floresta (São Gabriel),
・Agrosul Agroavícola Industrial (São Sebastião do Caí),
・Frigovale (Teutônia)
・Cooperativa Languiru (Westfália)
閉鎖された工場以外に稼働中の主要ブロイラー工場は、BRFが2工場、Auroraが2工場、JBSが4工場、AGROARAÇÁ、Vibraがそれぞれ1工場ある。
・輸出への影響
多くの道路が封鎖され、水害によって壊れた橋もあるため、特にリオグランデ・ド・スル港への穀物輸送が困難になっている。道路の通行止めは家畜や製品の港への輸送に支障をきたし、食肉輸出にも影響を及ぼしている。同港は輸出品の1.96%(牛肉輸出の3.92%、豚肉輸出の15%)を担っている。代案はパラナ州のパラナグア港であるが道路輸送に影響が出ており調査中。
・トウモロコシ、大豆生産への影響
リオグランデ・ド・スル州ではトウモロコシの未収穫面積の最大 15%が減少し、予想生産量が最大 5%減少する可能性があると推定されている。大豆についての損失は現状100万トン~200万トンで、今後さらに約500万トンの大豆が収穫できない可能性がある。今後も7日間雨が続き、気温は20度から9度まで下がる予報。
※なお豚はサンタカタリーナ州のみ日本への輸出可能で、リオグランデドスル州からは豚肉の対日輸出はない。従い、ブラジル産豚肉に関しては日本向けの価格が急騰することは考えにくいが、ブラジル国内価格が上昇することによって、間接的に豚肉の輸出価格は徐々に上昇すると考えられる。
穀物価格については、収穫前大豆やサイロや倉庫に保管している穀物(コーン、大豆など)にどれほどの被害が出ているか、今後の情報を注視している。
以上