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今日は椅子にくつ下をはかせた日

ちょうど1年前、長年すごした社員寮を出て自分で借りたアパートに引っ越してきた。会社に負い目がなくなった解放感とともに、何かひとつ大きな覚悟を背負ったような気持ち。

新しい部屋の床はフローリングで、椅子を動かすたび、けっこう大きい音が出る。そこで、人生ではじめて「椅子のくつ下」を買ってきた。100円ショップで、ポリエステル100%の小さなくつ下4つでひと組。

椅子の足は小さいけれど、くつ下は両手を使わないとはかせられない。親指と人差し指の先でつまんで、丁寧にはかせてみる。
『なんか可愛い。』
素直にそう思った。
『赤ちゃんにくつ下をはかせるのもこんな気分なのかなぁ…。』

子どもにはとことん縁がない。集団託児ボランティアをしたことがあるけれど、私が担当する子は結局2回とも当日来られなくなって欠席になったほど。だから、正直わかりもしないのに、そんな風に思う独身アラフォー女子。

それから1年たった今も、家の椅子は同じくつ下をはいている。ときどき洗濯して、穴が開きそうになっていたので繕った。だから1年前より3cmくらい短くなっている。

モノを大切にして、丁寧に暮らしを楽しむ。くつ下をはかせるときの愛情は今も変わらない。


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