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一人旅の楽しさと切なさと

出張が多い私にとって旅は日常でもあり、非日常でもある。とは言えプライベートで行く旅は完全に非日常だ。飛行機や電車に乗るといった高揚感や、道中で食べる食事に心が躍る。自由や生を感じられる。

しかし友達に誘われていく旅行は少し苦手に感じる。それは私がムダを嫌う性格で、人に気を使い過ぎてしまう性格でもあるからだ。旅先ではテキパキと行動したいと思う反面、直感で物事を決めてしまうことがあるため、それを許容してくれる旅友達を探す事が難しい。

初めて一人旅をした18歳。現在までたくさんの国を訪れたが、友達と一緒に旅行した経験は両手両足で収まる程度だ。一人旅の楽しさを散々満喫してきた私だが、最近は切なさを感じていることが多くなった。

何故なのか考えてみた。

一人旅の切なさ

 ●画面越しでない相手が欲しくなった

食事をするのもひとり。咳をするのもひとり。

要するに分かち合える存在が欲しくなったのだ。きれいな風景やおいしい食事に感動した際、気持ちを分かち合える同士がそばにいてくれたらと思うようになった。SNSがありふれている今、リアルタイムで情報発信し、価値を共有することは簡単なのに旅先だとその「イイネ」が何故かむなしく感じてしまうようになった。

 ●セキュリティ面で不安を感じるようになった

モロッコのある都市を一人旅していた私。宿泊していたリヤドの従業員のお兄ちゃんはとても親切で、何をしてもチップを要求することはなかった。ぼったくり天国のモロッコで、見返りを求めないその親切に癒された。

観光を終えリヤドへ帰着後、ミントティーを一緒に作り、屋上で星を見ながら雑談をしていた。次の日の出発が早かったため、残りのお茶は自室で飲むことを告げたところ、運んでくれるようだった。

油断してしまった。

運んだ後も居座る彼にしびれを切らし、早く出ていくようお願いしたところ「ベットタイムストーリーを聞かせたい」と言い居座ろうとしたのだ。

彼に下心があったのかは不明だが、急いで追い出しロックをかけた。しかしマスターキーを持っている可能性があるため、部屋にある全てのテーブルやソファーをドア前にかき集め、バリアを作った。

結局ドアを開けるようなそぶりはなかったものの、一晩中不安で寝れず後味が悪い経験となった。

一人旅の楽しさ

自由であること、人とのつながりを強く感じられることだ。

上記以外にも一人旅において散々苦い経験を積んできた私だが、それでも出会い人の温かさに触れて、それが強い思い出になっていく瞬間がとても好きだ。

トルコのカッパドキアで乗った気球で、高所恐怖症(なぜ乗った)で泣き出す私の手をずっと繋いでくれたアメリカ人姉妹とは、その後少し旅を同じくし、今も旅を通じて繋がっている。

一人旅とそうじゃない旅では、出会う人の数は倍ほど違うように感じる。これからも一人旅を辞めるつもりはない。しかし、旅のコミュニティを通して繋がりを強化し、切なさを回避していくこともありなのかもしれないと考えるようになった。


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