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天宮神社(静岡県周智郡森町)と森の池、散歩
7月3日。よく晴れたので森町に行った。森町は緑の多い静岡県西部でも、特に自然豊かで牧歌的な地域。三方を山に囲まれ、川が流れている地形、風情あふれる街並みから「遠州の小京都」と呼ばれ親しまれている。
今回の目的は森町の北部、鍛治島という集落にある半夏生(はんげしょう)の鑑賞だ。第二東名を降りて少し走ると繁華街。繁華街というよりは住宅街というか商店街のような。田んぼと山の緑が鮮やかで、どこを切り取ってもほどよく絵になる景色が続く。あとから調べてわかったが、この辺りには古民家風の小洒落たカフェが数件あるようだ。
太田川沿いを走ると左手に雨宮(あめのみや)神社の看板が見えてきた。天宮神社は宗像(むなかた)三女神を祀った神社。動画で紹介されていたのを見て、寄ろうと決めていた場所だ。
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なだらかで幅の広い階段が続く。開けていて登りやすく開放感があるので、なんとなく好きな雰囲気。階段途中にある稲荷神社からは太田川が見える。河原のように見える部分は灰茶色に濁っている水だ。風がなく暑い。
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階段を登り終えると本殿や神楽殿が見えてきた。神楽殿では神職の人が何かの準備をしている。参拝客は自分以外にはいない。それもそのはずと言わんばかりに暑い。暑い。いつ頃からか、静岡の気温は全国でもトップを記録するようになった。暑い。休憩所の扉を開くとむわっとした湿り気のある熱気がもれてくる。そのままサウナとして使えそうな休憩所だ。車を降りてほんの数分しか経っていないのに、気だるく少しだけ気持ち悪い。
本殿へのお参りを済ますと、県の指定文化財になっている御神木のナギを見た。高さは20mくらい。まっすぐ天を突くように気持ちよく立っている。こころなしかいきいきとしているようだ。夏の暑さと晴れた空を喜んでいるように感じる。ぐでっと熱中症気味な自分とは対照的だ。
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ナギの裏に回ると森の小道が現れる。木陰は涼しいかと思っていたが、そうでもない。日なたよりましなくらいだった。緩やかな坂を登ると土色の水をたたえた丸い池。水が入っていくところも、出ていくところもないので、クチナシ池というらしい。池の中には大量の黒いオタマジャクシ。真ん中にはアカハライモリがぷかぷか浮いていたが、こちらに気づくと底の方へ潜っていった。手足をパタつかせてきびすを返す感じが可愛らしい。
池のすぐ近くを登ったところに、奥社となる小さな社が建っていた。森の中は涼しいというほどではないが、暑さはかなり和らいでいる。いつの間にか気持ち悪さも治っていた。