わからない本を読むのは無駄じゃない
「すごくいい本だったなー!…で、結局あの本は何が言いたかったんだろう?」
というのは読書あるあるだと思います。
こちら、東畑開人さんの『居るのはつらいよ』も、私の中ではそういう本でした。2019年の発売当初に読んで、冒頭のような感想を抱き、その後は本棚のオブジェと化していました。
でも、今日突然、ああそういうことだったのかと思う瞬間がありました。何があったわけでもないのですが(こういう脳の動きって本当に不思議)。
自分自身にたくさん経験があったのに、なぜか全然思い出せず、忘れていました。
私が落ち込んでいた時、隣に座って何も言わず、何もしなかった人がいました。
私が自分の気持ちを言葉にできず下を向いていた時、黙ってじーっとそこにいた人もいました。
いっしょに何をしたのか、何を話したのか思い出せないけれど、いっしょに「居た」事実が自分を励ましてくれたなあ、という思い出もあります(余談ですが、私はシェアハウスに住んでいたことがありますが、まさにこのような時間が流れていました)
せっかく思い出せたのだから、もう忘れたくないので、ここに記しておくことにします。
読書はその時わからなくても後からこうやって突然繋がることがあるから、わからない本を読むことも無駄じゃないですね。
※追記:改めて『居るのはつらいよ』をパラパラしてみたら「こんなに面白く分かりやすく書いてくれてるのに、なんで当時これを理解できなかったんだ?!」と驚きました。笑 いい本だと思いますのでぜひ読んでみてください。
そもそも、医学書院の「シリーズ ケアをひらく」は、“「科学性」「専門性」「主体性」といったことばだけでは語りきれない地点から≪ケア≫の世界を探ります” というコピーからもわかるように、人間の心の機微への理解を深める上で面白い本がありすぎます。