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ルパン三世〜物忘れの城〜



電車で談笑している男女がいた。


仲良しグループなのだろうか、
制服からしてこの辺では有名な進学校の生徒であることには間違いない。



私も電車の移動で時間はある。
彼らは提出物の話をしていて面白そうなので盗み聞きをしていた。



男子は2人いたのでルパンと次元とし、女子は不二子とする。



ルパン
『不二子はほんとに忘れ物が多いよな〜前も提出物忘れてたもんな』


不二子
『ほんまによく忘れるねん。先生にも何回も怒られたし、、、でもなんとか工夫して提出はできてるからギリギリセーフ』


ルパン
『それやから不二子はあかんねん。提出物ぐらいちゃんと前もって用意しておくのが普通やで!』



どうも不二子は忘れものが多いようだ。
でもなんとか期限には間に合わせる系女子のよう。
彼女の余裕のある受け答えから相当の場数は踏んできている印象だ。



ルパン
『そう言えば今日提出の○○って課題は持ってきたんか?まさか忘れてないよな?』


不二子
『いや、持ってきてないよ』


ルパン
『また忘れたん?ほんまに物忘れひどいなーそんなんじゃ卒業できひんで!どうするの?』


ひどい言われようである。


だがここから不二子の反撃が始まる。


不二子
『あの課題は提出期限伸びたから来週までに出せば良くなったんやで、その代わり△△の課題は今日提出なったんやけど△△は持ってきたん?』


ルパン
『えっ?』


不二子
『だから、、△△の課題は持ってきた?あれ今日提出やで!あれなかったら成績に結構響くかも』

不二子は少し笑っている。


最初の勢いはどこかに消えてルパンはカバンをひと通り探し尽くした後、静かになって顔色が悪くなり冷や汗をかいていた。

おそらくなかったのであろう。
その後は次元と不二子でたわいもない話をしながら盛り上がっていた。


不二子は普段から物忘れをすることが多いがために忘れた時どうすればダメージを最小限にするのか知っているのだと思う。

だから忘れてたとしてもなんとかなると思っているので余裕がある。


対してルパンは
いままで完璧に課題を提出してきたから先生の評価は高いかもしれないが、提出忘れをしたことがないのだろう。
提出忘れをしたときのリカバリーの知識もなければ先生に対しての交渉の術もない。


そして日頃から不二子にそう言う馬鹿にした態度で接しているため、"提出物忘れ虎の巻"を伝授してもらえる可能性も低いだろう。



課題の提出を成功とすれば提出忘れは失敗となる。
成功が多いに越したことはなく、ずっと成功できるのであればそれのほうが良いが
人生そんなに甘くはない。

失敗も多少経験しておかなければ
いざその極地に対面した時にどうして良いかわからなくなるのだ。


今回の一連の流れを通して成功と失敗どちらも知っている。すなわち『知る』と言うことがいかに大切か感じることができた。


提出物に関して"酸も甘いも知っている"不二子のほうが1枚上手だったのだ。


やはり不二子には敵わないなと思うと共に
ルパンには是非今回の失敗を参考にして、城に眠る"提出物忘れ虎の巻"を盗み出してほしい。

そして今後の学生人生を謳歌してほしいと願うばかりであった。





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