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kumokesu
映画感想文『すばらしき世界』
『すばらしき世界』
2021年2月公開
監督 脚本 西川美和
出演 役所広司 仲野太賀
北海道の刑務所から福岡出身の男が出所するところから物語が始まる。男は人生の大半を極道の世界と刑務所で過ごしたので今度こそ表の世界で生きようと誓う。しかしカッとなりやすい性格のせいでうまくいかない。男は生き別れの母を探すためマスコミに依頼して小説家志望のテレビディレクターと知り合うことになる、という実話をもとにしたお話しだそうな。佐木隆三氏の「身分帳」を原案にしているけど、後半は西川美和監督のオリジナルになるそうな。
本作を見てまず、丁寧に作ってあるなーと思った。ちょっとした演出が気が利いていると言うか。例えば主人公役所広司が出所してアパート暮らしを始めた頃、布団がきちんと片付けてあるところ。刑務所暮らしでそういうことをきちんとしてるっていう表現、いいっすねえ。ほんで生活が荒れるとカップラーメンを食べるところもいい。
俳優陣は文句のつけどころがなかった。仲野太賀と長澤まさみはもともと好きだけれども思っていた以上にいい演技だった。中でも六角精児が良すぎた。はじめはいやーな役なんだろうと思っていたけど、元極道の役所広司に真剣に向き合うめっちゃいい人だった。役所広司の就職が決まったときの笑顔は本作イチの癒やしのシーンだった。
生きづらい世の中だけど、嫌な人はいるけれど、自分のことを認めてくれる人だっているんだ、ということをやるせない気持ちになりながらも教えてくれた作品でありました。