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ハードカバー(本の手触り③)

ハードカバーの本は、表紙が硬い。
重厚な感じがする。

画面が大きな、スマホよりタブレット、みたいな感じで、文字数も多くなる。

ポケットに入ったりはしない。

小説『海辺のカフカ』のハードカバー版は、紙質を薄くして、より手に取りやすく工夫した、と村上春樹さんが言っていたような気がする。
なるほど、他の本より薄く仕上がっている。

文庫のハードカバー版もあるそうだ。
晴れるさんとこで知った。

作家と読者の会話がホームページ上で行われ、のちに「少年カフカ」という、少年漫画誌「ジャンプ」みたいな装丁で出版されている。
本自体の実際の手触りもあるが、そういう「周辺の体験」も重要な手触りのファクターである。
発売日前からの広告の仕方も面白かった。
発売日に行列ができました、というニュースも、手触りのひとつである。

***

映画『ネバーエンディングストーリー』は、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』が原作。
この映画の中で、主人公は、屋根裏で大きなハードカバーの本を見つける。
毛布をかぶって、林檎を齧りながら、大きなハードカバーの本を読み進める。
やがてその本は、生き生きと躍動し始めるのだ。

本のページをめくる、わくわくした感じが、映画のあのシーンにはつまっていた。

そういえば、エンデの『モモ』のハードカバーを、私は小学生の頃に、図書館や、電車の中で読んだのだった。
ランドセルに、あの大きな本を入れて。
ちょっと前の子どもたちなら、ハリーポッターかな。
今、あの本を、なつかしく思い出す。
では、今現在幼少の子どもたちにとってのなつかしさが約束されたハードカバーは、あるのだろうか…?


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