心を分析する(文学は心を扱う⑫)
ネットを検索していたら、よしもとばなな氏の小説についての学士論文が見つかった。
よしもとばなな小説作品の構造特性 ~主人公の心理のグラフ化をもとに~
小説の中の、主人公の感情の起伏を、心理状態で点数化して、グラフに表そうという試みである。
その中に、ローズマンがあらわした、認知次元と感情の関係表というものがあって、人間の感情について、リストアップされていた。
論文著者は、これに「共感・願い・予感・思いつき・あきれ」を加えている。
また、ここには、罪悪感、恥ずかしさ、苦痛、誇りなどは入っていない。
文学作品の中には、かように複雑な心理状態が描写されていることか!
私は心理学にはとんと疎いのだが、科学的に、ヒトの心について考えることも、アプローチのひとつとしては重要なものだと思う。
あるいは文学は、作品全体で、心理学などには簡単に分類されない、新しい感情を言い当てるものかもしれない。
そういうものって、もやもやして、抽象的なものだ。
それを乗せるためのビークルを、文学は提供するのではないか。
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