ベニシアさんにたくさんのギフトをいただいたこと
2023年夏至の日、ベニシアさんが誤嚥性肺炎で亡くなった。
ネットニュースがながれたとき、
ああ、いよいよ亡くなられたか、、、と、
じんわり寂しい気持ちがひたひたになって、
以前買った数冊の本をぱらぱらと見返していた。
改めて、わたしはベニシアさんに影響されていたし、いろいろな恩恵、ギフトを間接的にいただいていたと思う。
ベニシアさんを初めて知ったのは、
わたしが体調を崩して、いろいろなことが苦手になっていた頃。
強い音、人混み、喧騒、とにかくうるさいものが苦手で、
テレビも民放番組が見れなくなっていた。
そんなとき、たまたまEテレでベニシアさんの番組、
「猫のしっぽ かえるの手」を見たのだった。
確か、アンティックショップを訪ねる回だったような気がするが、
はじめて見たときからあの頃の自分にフィットし、
唯一楽しみなテレビ番組となった。
ベニシアさんは貴族出身だが、その社会に疑問を持ち、19歳でイギリスを離れ、インドを放浪する(この時点で波乱万丈、アグレッシブだなぁとリスペクト)。1970年代に来日。
京都で英会話学校を開き、1996年に大原の築100年の古民家に移住し、ハーブを使った手づくりの暮らしや、古民家でのライフスタイル、自然と共生した生き方が注目を集める(ベニシアの庭づくりより一部抜粋)
喧騒から逃げるようにわたしは自然の多い場所に引っ越し、
当然まわりの人たちにもお世話になったけれど、
一番自身を癒してくれたのは、
土地であり、海であり、木であり、花であり、植物だった。
夏の夕暮れの、美しい自然の中に身をおいたとき、
「ああ、自分は大丈夫だ」
と、強く実感できた。
そのタイミングでベニシアさんを見知ったから、
彼女の番組、彼女の本から植物、特にハーブを学んでいった。
彼女にならって、小さなベランダも花でいっぱいにした。
ベニシアさんの料理レシピも大好きで、何品か今もたまにつくる。
鉄板は「マッシュルームとタイムのトースト」
北海道の上野ファームの知ったのも、「猫しっぽ」の番組をとおして。
ちょうど出張で、旭川に行くタイミングだったので、
後泊して憧れの上野ファームに行った。
ガーデンの、植物の生き生きとした生命力の美しさは今も忘れられない。
花とハーブのことは、すべてベニシアさんから教えてもらったといって過言ではない。
ずっと精力的に活動していた方が、番組の後期では随分痩せられ、
脳障害により視力がかなり落ち、ほとんど見えなくなったと話されていた。
絵を描くこと、本を読むこと、花を育てること、エッセイを書くことが大好きだった人が、
目が見えなくなるって酷だよな、とため息をついた。
その後、コロナ前に施設に入所し、
入所前にYouTubeでインタビューをうけていた内容がずっと記憶に残っている。
以前のようにすらすら喋れる彼女ではなかったけれど、
「わたしは忙しすぎた」
といったことをぽつりと語られた。
わたしは忙しすぎた。
そうかもしれない。
あれもしたい、これもしたい、もっと発信したい!
からだはくたくただったのかもしれない。
でも、きっとベニシアさんは思い通りの人生だったんじゃないかなと思う。
古民家に住み、素晴らしいガーデンをつくり、
それを発信して多くの人に見てもらう。
テレビにも出演したし、書籍出すことも夢であったろうし、
目標に掲げてきたものの多くは達成できたのではないかなと思う。
72歳。
今でいえば少し早い気もするが、旅立たれて、
今は目も見えて、足も動き、
かるがると笑顔で自由を満喫しているのではないかな。
一度、講演会に行った。
ベニシアさんは若い頃シンガーを目指していたので、歌も大好き。
スカボローフェアを歌ってくれたことが思い出される。
ベニシアさんから間接的にいただいたギフトはまだまだあるけれど、
ここまでにしときます。
ご冥福をお祈りいたします。
どうぞ安らかに。