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インドという国のパワー

子どもの頃、社会科の授業で中国の一人っ子政策とインドの将来の人口爆発について授業を受けた気がする。数字は正直だ。その通りになった。6月に行われたインドの総選挙有権者数約9億7千万人。

中国は今、一人っ子政策の影響で若者の人口が減って来ている。勉強や仕事でアメリカに渡ってくる中国人のご家庭も一人っ子が多い。しかも、男の子。圧倒的に女の子が少ない。モテるけどミレニアムやGen Z の女の子達は自立し、自分の生き方とお金をしっかり持っているから親や血族、国家の為に安易な結婚、出産なんて選ばない。

さて、ここからは私が経験したシリコンバレーでの主観的感覚の話。

子ども達のYearbook(その年度の卒アルみたいなもの)を見ると人種の割合がよく分かる。2000年代初頭、子ども達が小学生の頃は中国系(中国本土、台湾、香港、その他)が約5割。3割がインド系(インド、インドネシア、バングラ、その他)、2割がその他だった。白人は学年で数名、それもロシア人か東ヨーロッパ系。たまにアメリカ黒人の子がいた。

小学校の書類作成のボランティアに参加した時、インド系のお母さんも何人か参加されていた。それまで和気藹々とおしゃべりしていたのに、別のインド系のお母さんが入って来られた時、それまでいた方がす〜っと部屋から出て行ってしまった。後で別のお母さんに聞いたところによるとインド人同士なら着ているサリーで身分の差が明確に分かるのだそうだ。ラストネームも長ければ長い程高貴なお家柄らしい。

2008年にリーマン・ショックが起きた。シリコンバレーでも潰れたIT企業やレイオフ(クビ)されたサラリーマンは星の数程いて本国への帰国を余儀なくされた人も多くいた。仕事が無い=合法的滞在(ビザ)が出来ない、収入が無い、医療保険が無い(失業保険があっても高額)、つまりはレイオフされたその日からアメリカでは生きては行けないのだ。ウチもやばかった。

2010年代、子ども達がティーンズになった頃、学校の保護者会に行った時、周りにインド系の保護者が多い事に気づいた。中国系の人はキャッシュ(現金)で郊外に一軒家を買い、お子様はプライベート(私立)の学校へ移動して行ったのだ。

中学の数学のクラスの説明会。先生は中国系の女性の若い先生。プロジェクターでパキパキプレゼン。「ちなみにこの中でマスターディグリー(修士)の方は?」と質問。私を含め数人以外ほとんどが手を挙げたのには度肝を抜かれた。性別は関係ない。ほぼ全員が大学院出保護者というわけだ。ズゴすぎる。インドのSTEAM教育の真髄を目の当たりにした気がした。ちなみに、この時の理科の先生はインド人の女性の先生だった。

三太がスペシャルニーズ(ASD)と診断され、小さい頃はじっと出来なかったので日本語学校には入学出来なかった。短時間でもいいよ、と言って下さった公文に通い始めたら、圧倒的にインド系のお子様が多くてびっくりした。
日本人が小学生で習う九九、インド人は11の段まであるそうだ。

インド人の子達は小中高でプログラミングの塾に通い、大学ではコンピューターサイエンスをメジャー専攻するのが王道で、将来は起業してベンチャーのCEOを目指す。シリコンバレーのIT企業の役員には既にインド人が多い。

医療分野も同様。三太がお世話になっているスタンフォード大学の脳・神経科ドクターもインド系のドクターが圧倒的に多い。超秀才でないと入局できないポジションだ。優秀過ぎて全米の名だたる医大にすぐインターンとして行ってしまわれる。患者としては担当医が変わるので困るが、医者のキャリア蓄積という観点からは当然の選択だ。

コロナでロックダウンになるまで中学校のランチ見回りのバイトをした。同僚に、いつもゆる〜く見回りをされるインド人の優しいベテランママさんがいた。職員ランチに招かれて一緒にお昼をした時、食前の感謝の祈りを捧げられたので「えっ、ヒンズー教じゃないの?」と聞くと「ううん、インドはイギリスに統治されていたからキリスト教も多いし、普通に英語喋るよ。」と教えてくれた。そうか。だから、英語のコールセンターの行きつく先はいつもインドなのか、と合点がいった。

私も含め日本人はインドの事をあまりよく知らない。でも、もう「知らない」では済まないところにインドはいる。頭脳明晰な若者が多く、文化・宗教を重んじ、これからの世界を牽引して行くであろう国インド。RRRを観て桁違いのパワーに人は国の宝だと改めて思った。




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