『方丈記』
本日は東日本大震災が発生した日です。亡くなられた方々、今も苦しんでおられる方々がいらっしゃいます。
本を読んでの変化
背景
今回は『方丈記』という本を読んでみました。ユーチューブや本など背景知識も少し学べました。
鴨長明さんは名家に生まれ育ちました。
お父さんの長継が凄い人で、京都にある下鴨神社という大社の中で正禰宜惣官という神職のトップである役職を勤めました。
鴨長明は7歳になると天皇のお引き立てを受け、従五位下という位階を授けられます。
従五位下、これは凄いことのようです。
Yahooの智恵袋で調べてみました。
Q.古代の「従五位」という位は、どのくらいのポストだったのですか。教えてください。
A.「従五位以上は昇殿を許された貴族で国守にもなれる地位です。今の役職で言えば県知事」
え、知事笑笑
7歳で親の七光りで県知事になったってこと?
とんでもない御曹司だったんですね。
しかし、鴨長明が18歳の頃、その父親長継が病死してしまいます。
父親長継の後を狙う人間、そして従兄弟である鴨祐兼によって邪魔をされ、出世レースから外れてしまいました。激しい権力争いに巻き込まれていく中で、さらなる悲劇が襲います。
それは「災害」「人災」でした。
23歳で大火事、26歳で台風、遷都、27歳で飢饉、31歳の大地震。
一族の後を継ぐことができず、敗北感に苦しめられた長明は、その苦しみを全て和歌や音楽に捧げます。これまたもの凄い才能が開花したようです。音楽では琵琶が得意で、師匠からは秘曲を授けられるほどまでに成長、和歌に関しては10代から取り組み続けており、勅撰といって国から選定されたものに授けられる『勅撰歌人』という評価を得ました。
そして、47歳、再び長明に転機が訪れます。
なんと、後鳥羽院が長明の才能を認めて、選歌委員という国直属の和歌の編纂に携わることとなったのです。そして、そこでの昼夜兼行ぶりのもの凄い意欲をみて、長明のお父さんがついていた「正禰宜惣官」に再び任命されることになったのです。
しかし、またしても従兄弟の鴨祐兼に邪魔されてしまい、跡目を継ぐことに失敗してしまうのです・・・同情した後鳥羽院は何とか他のやり方で長明を昇格させようとしましたが、長明は「もういい!」となって、選歌委員から降りてしまいました。
周りの人達は異常な自尊心の強さに驚いたそうです。
そして、長明は終の棲家を求めてちっちゃい家を建て、俗世間から遠ざかる生活を行いながら、そこで文章を書き留めました。
そうしてできたのが『方丈記』でした。
無常
河の水の流れは一瞬も絶え間ない、それどころか元の位置に留まることもない。一見流れていないように見える淀みの水だって同じだ。泡が浮かんでは消え、元の形を保つなんてことはない。世の中も同じように、河の水や水の泡と同じようなものだ。
長明さんの人生を振り返ると、かなり身に迫ってきます・・・
河は存在しているが、その存在自体は常に変化し続けている。これは全ての物事に対していえること。人は今の快楽や欲求を満たすために生きることが多いけれど、本当に大事な最初と最後の部分が分かっていない。それは生と死について。
日常の中に少しだけこの生と死に向き合う時間を作ることが大切かもしれません。日常の中で方丈庵を建てよう。
災害
耳の痛い言葉でした。今回の能登地震だって発生した直後は思いを馳せるけれど、今は自分の身体の痛い部分や仕事、人間関係のことなど、全部自分のことです。
本当に学ばない生き物だなと思います。鴨長明さんは他の人の比じゃないくらい、理不尽を味わったため、その「無常観」が身についていたのでしょうか。
私も過去辛いことがあった時はもの凄く謙虚になっていた気がします。そういう時の謙虚というのは、「謙虚になろう」というよりもどうしようもない感情やむなしさによって、ぽっかり穴があいた気分になります。
無心になるというか。
今日は東日本大震災が起こった日です。
忘れないようにしたいと思いました。
人間らしく生きる
方丈記の最後の章です。
それまで平家が行った愚行を書いたり、世の中の出世競争に明け暮れる人々をバカにしたりしていた長明は、自分が結局執着を捨てられないことを白状します。
長明もきっと出世争いが上手くいき、天災などもたまたまなければ、お坊ちゃまに生まれた訳ですから、こんな生活をすることにならなかったでしょう。
今はミニマリストというのが流行っている?ようですが、その人達もまた、自分のアイデンティティとして行っている側面があるのかも。その人達なりに苦しんで世間に振り回され上手く対処できなかった。
また、方丈庵での暮らしを書いた場面があるのですが、スローライフという感じで私も憧れました。
今の時代、出世競争に明け暮れる人というのは少なくなってきているかもしれません。仕事をばりばりするのもよし、スローライフを望むのも良し、どちらだって選択できる、素晴らしい時代だなと思います。
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