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私の愛する人は

あの時は死ぬかと思いました。
昨年の大晦日のことです。
2022年11月に夫と別居を始めて、子供に関する用事で婚家(こんけ→結婚相手との住居)に訪れるだけの生活になり初めての年末だったわけです。

私は離婚を視野に入れていたので、婚家で年末の団欒をすることは方向性と不一致があったため挨拶にだけ行きました。
挨拶をするため手土産を持って家にあがりリビングに正座して待ちましたが、夫は2階から降りて来ず、義父母も大型テレビに体ごと向け、特番を見ているスタイルでした。 

ぎこちない時間がいたずらに過ぎ、母を可哀想に思う子供が時々、私に話しかけてきました。

手土産のアイスがもうテーブルで溶けてしまう…と思っていたころ、不自然極まりない状況にいたたまれなくなった義父に促され夫が仏頂面でリビングに入ってきました。


私は涙で声が震えていたと思うけど、
「良い年を迎えて下さい。今年もお世話になりました。」と頭を下げて、婚家から出ました。
 

自分をこんなに惨めにする人達とは離れよう。と心に誓った数十分でした。
実家に向かう車を途中で停めて大泣きして、少し涙が乾いた頃に、泣いてない振りをして実家の食卓につきました。
ひとしきり美味しい鍋を囲み、無事に年を越せるかな…と思っていた時、初めて藤井風さんの「死ぬのがいいわ」を紅白で聞きました。

私の最後はあなたがいい。
あなたとこのままおらさらばするより死ぬのがいいわ。
三度のメシよりあなたがいい。


リアルで率直な愛のうたを聞いたら、急に息が苦しくなりました。久しぶりの過呼吸でした。
私にとって、それほど愛する相手はどこにいるのか…?愛と情の究極を突きつけられて私はパニックになったのだと思います。
涙が溢れ出て、私をなだめる母と姉に、
「もうこんな思いをするのはやめる。」と宣言しました。母も姉も「もう十分やった。よく頑張った。」と言ってくれました。
 
過呼吸で死ぬことはないと知っていたけど、怖かった…。
あれからもうすぐ一年。
私は離婚して、アパートで暮らし始めて5ヶ月程経ちました。

仕事も一人暮らしの生活もとても忙しくて、ぶっ倒れそうな日もありますが、愛について、や、私の本当に愛する人についてよく考えます。

色々と思うけど、結論だけ出ています。
それは私の愛する人は私を傷つけたり、縛ったり、脅したりしないだろう。と言うことです。


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