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【読書レポ】高比良くるま「漫才過剰考察」

読みました。圧巻の内容でした。

「考察」というタイトルではありますが、漫才、ひいてはエンタメの歴史(とりわけ2000年代以降について)が的確にまとめられており、「漫才史のテキスト」ともなりえる良書でした。

中でも、本文終盤において、「東」「西」「南」「北」の漫才の特性を分析し、さらに漫才が「世界」でウケるためには、というところまで考察を拡げ、実際にそのための「ツカミ」の例まで提示する、という展開には痺れました。

しかも若干30歳の漫才師が、「漫才」について、大局的かつ細微にいたるまで、いわば「木も見えて森も見えて」いるのが末恐ろしい。この芸歴ですでにここまで「見えている」のか。。そりゃM-1獲ったりしますわね。

ただ、筆者なりの「深掘り」をしてみたいと思った点が一つ。「西=漫才、東=コント」というのがそれぞれの興りのように捉えられていますが、東京にも漫才の歴史があるのでは、と考えてます。ずっと隆盛を極めていた上方漫才ですが、ここ数年、M-1においては勝てておりません。こうした事実とどれほどの因果関係があるかは分かりませんが、東京漫才にもれっきとした歴史があってのことでは、と睨んでます。いずれ以下のような書籍にも触れたいと思います。

さてさて。M-1決勝まで1週間を切りました。「考察」にとどまらず、M-1優勝という「実践」を、一度は成し遂げた令和ロマンが、今年も獲るかもしれません。しかし、くるまさんの「考察」を圧倒するような展開をも見てみたいものですし、「M-1を盛り上げたい」という、くるまさん自身もそれを期待していると思われます。

それが、ヤーレンズが昨年の雪辱を果たす、というドラマなのか、トム・ブラウンが全てを破壊してしまうという躍動なのか、ジョックロック、バッテリィズの大阪組による王座奪還なのか、フースーヤが敗者復活を遂げそのまま頂点へ、というものか、、、他にも様々な展開が期待されます。

12/22まで高揚が止まりません。

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