
🎟️舞台鑑賞録/人生で一番好きな舞台『海をゆく者』
この記事を覗いてくださった方、
ありがとうございます。
若草萌蘭と申します。
少し久々の投稿?未だにnoteの使い方を模索中……
今日は人生で一番好きな舞台の話をしようかなと思います。
というのもこの前友人に「人生で一番好きな舞台ってある?」と聞かれて迷いなく、この舞台を思い出したからです。
ということで春先ですが、クリスマスシーズンの観劇録のアーカイブです。
🌱2023.12.23『海をゆく者』
『海をゆく者』観てきた。本当に良い舞台だった。初めて見たけど大好きな作品になった。
クリスマスの時期に毎年観たいって思った。
ただの飲んだくれの男たちが喋って喋って、それからクリスマスにポーカーをする話。それだけといえばそれだけ。
だけど本当に素敵な舞台だった。毎年みたい。
たった5人だけで進む重厚でコミカルな物語。
明確な物語はないにもかかわらず、会話の中で確かに進む緻密な展開。
登場人物のすべては語られることなく必要な分だけが、当たり前のように口にされる台詞の中で自然と明らかになる。
転換なしの一つの舞台装置の中で、大きな窓から差す光の色の変化で朝昼夕夜と進む時間。
そして何より実力派の名優たちによる最高に心地よい台詞の掛け合い・間・テンポ。
ドラマチックなことは何一つないが、とても演劇的な世界。
ぜんぶぜんぶめちゃくちゃ好みだった。これがアイルランド演劇というなら私はアイルランド演劇が好きなのかもしれない。
現実にいたら絶対に愛せない彼らだけど、舞台という世界の上ではとても愛おしかった。
なぜなら現実だとしたらこの物語や彼らには必然性も目的も緻密さもバランスも存在しないから。
舞台の上でしか存在できない美しいバランスによって成立していた。
最後、「上のあいつはあなたに味方したいらしい」みたいな台詞の時に、壁に掛けてあったキリストの絵画に一筋の光が差してた演出はさりげなくも秀逸だった。
夜通しポーカーをして、朝日が差して終幕して、劇場の外に出たら黄色と水色のヴェールみたいな夕景だったから一瞬朝かと思ってしまった。
舞台をみたり本を読んでいるときに感じる、実時間と異なる時間の流れの中に身を置く感じ、好き。
台詞の中で何回かアイリッシュコーヒーが出てきたから、帰りは神保町に寄ってアイリッシュコーヒー飲んで帰った。
2023.12.23