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迷探偵N青木〜源兄を叩いたのは誰?〜

自戒の念を込めて筆をとる。

「お前の行動思考はやばいから日記を書いて、客観的にそれを読み返して自分を知った方がいい」
カロさんに言われ、始めたこの体験記。

客観的に読むと、自分でもよくこんなことが起こるなと驚いてしまい他人事のように思えてしまう。
先日カットをしに来たお客様で精神科に勤めてる人がいるので、この話をしてみた
「それは解離性障害です」と言われた。
調べると落ち込みそうな言葉なので、そーっとその言葉は心のゴミ箱に捨てた。

ある日の午前、スマホのLINEが鳴る。
いつもと同じ通知オンだが、なぜかその時は湿っぽく耳に届いた。イヤな予感、、、

「お前、昨日のあれはあかんで」
カロさんからだ。

先に結論を言う。
この日の前日に泥酔した僕は何の脈略もなくカロさんの頭を引っ叩いたらしい。
酒場だからいいけど、みんなが笑えないような行動は少し気をつけたほうがいいよとゆう連絡であった。

しかし、迷探偵N青木はもちろんそんな短文では正解に辿り着くわけはなく、独自の推測を始める。

霞のような昨晩の記憶をかき集める。

ん?誰かの頭を叩いた気がする、、、
ん?昨日は居酒屋Aの大将の源さんも居たな、、、
ん?源さんと二人で話してたような、、、

推測は答えを導いた!
“昨晩!!僕は!!源さんの頭を叩いた!!”

こうなるとなんの疑いも持たず突き進んでしまうのが迷探偵N青木
「居酒屋A」と言えば、以前カロさんに「駒沢で一番美味しい和食屋さんやで」と連れて行ってもらったお店だ。

源さんにはもちろん申し訳ないことをしたが、紹介してもらったカロさんの顔にも泥を塗ってしまった、、、やばい

僕が居酒屋Aさんに初めて伺ったとき、食事の美味しさは当たり前だが、大将の源さん、奥様のアオさんのお人柄に強く惹かれた記憶がある。
その日、心を弱めていた僕は初見のお二人の前で号泣した。初対面で気持ち悪がられるのが普通だが、お二人とも親身に話を聞いてくれて慰めてくださった。
そんな源さんの頭を引っ叩いたらしい。
それを見ていたアオさんのことも想像すると恐ろしい、、、

自分の行動をなんとか正当化したく、源さんの悪い部分を探してみる、、、だめだ笑顔しか浮かんでこない。

その時、湿っぽいLINE音が鳴る。
カロさんからだ

「お詫びの品持って、謝罪いけ、やばいで」

即効性の高いこの言葉は、このあと僕をさらに迷走させるのであった

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