【逆転裁判4 感想・考察①】王泥喜法介について
遂に…この時が来た…
今回はずっっっっっっっっっと書きたかった、
逆転裁判4の感想考察を書く。
なんでさっさと書かなかったんだよと問われれば、
そんな簡単じゃねぇんだよ!!私の逆転裁判4への感情は!!!!
に尽きる(初っ端逆ギレ失礼します)
初めてプレイしたのは小学生高学年の時。
なんとかクリアはしたものの、輪をかけてアホだった子供時代。
キャラクターの機微やトリックも、完全に理解していたとはとても言えない。
それでも自分の気持ちを言語化は出来ないけど、
大好きで大好きで何度も何度もプレイして。
大人になってから当時の評判を知って、愕然としたのを覚えてる。
それで少しトラウマになり…
でもやっぱり好きで…
でもこの気持ちが勘違いだったら?
と思ったら怖くて…
そうこうしていたら、王泥喜セレクションが発売されて。
もう、私の気持ちに決着をつけよう。
と10数年ぶりに逆転裁判4をプレイし直したのがつい数日前の話。
結論から言うと、やっぱり好きだった。
気のせいじゃなかった、勘違いでもなかった!
私は…逆転裁判4が…好きだーーーー!!
…とはいえ手のひらを返すようだが、
全部が全部いい!とは言わない。
小学生の時は分からなかったが、
トリックやシステムにモヤモヤする点は割と多い。
個人的に、特に3話はツッコミどころ多数。
それでも、
特に逆転裁判4のキャラクターたちと、
その配置や関係性が好きなのだ。
今回久しぶりにオドロキくんに会った時私は泣いた。なんの感情だったんだろうあれは。
自分でも分からない。
「この興奮のまま10何年分の想いを全部吐き出してやるぞ!」
…と書き始めたのはいいものの、
マジでクソ長くなってしまったので分割することにした。
今回は「王泥喜法介」に焦点を当てて書いていこうと思う。
⚠️ここからは逆転裁判1〜4の全てのネタバレを含みます。未プレイの方は回れ右してください⚠️
ちなみに当方は
・逆転裁判1〜4 : 何周もプレイ済
・逆転裁判5 : 1周のみ(ほぼ記憶なし)
・逆転裁判6 : 未プレイ
の状態。
そのため、逆裁4の感想・考察は「逆裁4までに公開されていた情報のみ」で組み立てていく。
弁護士・王泥喜法介
改めて逆転裁判1〜3をやった後に4のオドロキくんを見ると、パッと見
貫禄ないね〜!ちっこいね〜!若いね〜!元気そうだね〜!
という感じ。
だがこの男、そんなに分かりやすく単純なキャラクターではない。
というか、なんなら今でも1番分かっていない。
それでもめちゃくちゃ好きなのだ。
当時小学生だった私の人生を狂わせた1人でもある。
沼が深すぎる。罪な男だ。
肝座りすぎな新米弁護士
4のオドロキくんはマジの新米弁護士なので、特に序盤は
法関係者として先輩の響也 ・ 助言をくれるナルホドくん ・ 場馴れしてるみぬきちゃん…
とあらゆる人に助けられて
「何とか!裁判についていくぞ!!
(たまに置いてかれてる)」
みたいな感じだ。
裁判中に思考停止してしまったり、
俺にはできない!となってしまったり、
被告人と信頼関係が築けていなかったり、
矛盾に気が付かないまま推測を進めてしまったりと、
新米らしい未熟さはあまりにもある。
そこはフォローできない。
まぁぶっちゃけ頼りない(ごめん)
お前しっかりしろよ!!と裁判中に思ったことも多々あった(ほんとごめん)
だがそこは逆裁の主人公。
やはりというか、彼にも並外れた点がある。
"みぬく" の力もあるが、
それよりも印象的なのは異常なほどの胆力である。
ここに関しては、弁護士1年目にしてナルホドくんを優に超えているんじゃないか?と思うぐらいだ。
なにせ、
『初めての裁判で殺人事件を担当し、
有名な元弁護士ナルホドくんの弁護士になり、
かと思えば突然自分の師匠が被疑者になり、
尊敬している2人がバチバチにやり合っているのを目の当たりにしながら、
師匠の罪を追求する…』
までを「特に大きな動揺もなく」やってのける。
尊敬する先生である霧人に「裏切るつもりですか?」と良心に訴えかけられても、
「そういう問題じゃありません、真実を知るためです!」と一蹴。
「先生がそんなことするはずない」とか
「どっちを信じればいいんだ…」とか
「先生を裏切るような真似できない…」みたいな葛藤はほとんど見られない。
なんだったら「やれやれ…すっかり仲間はずれだな…」ぐらいの感想でグイグイ裁判を進めてく。
仮にも "初めての法廷で師匠が真犯人だった類まれなるケース" だぞ。戦けよ。
ここまで情に流されずに真実の追求を行えるのは、
逆転裁判世界でも異質。
しかも、先生が逮捕され1人となった2話冒頭では
「尊敬する師匠も職場も失った、途方に暮れてたのは事実だけど…」ぐらいのノリで始まる。
マジ?そんなもんで済む?
もっと心ぐちゃぐちゃにならん?
あのナルホドくんでさえ、所長の千尋さんが亡くなった時はかなり沈んでたのに、
オドロキくんはそんな素振りを一切見せない。
この後も「先生…なんであんなことを…!」と言うシーンはあるが、
霧人を追い詰めた事への葛藤等は一切出てこない。
ここで嫌という程
あれ?この男見た目とは裏腹に普通じゃなくね?
と思い知らされたものだ。
元弁護士・成歩堂龍一への感情
個人的に1番謎なのがここだ。
オドロキくんは1話の時点で、
「成歩堂弁護士は捏造した証拠品を使ったことで弁護士バッチを取り上げられた」という噂を知っている。
であれば、同じ弁護士として、
ナルホドくんに対してネガティブな感情を持っていてもおかしくなさそうに思える。
だがオドロキくんは法廷が始まる前、
「彼(ナルホドくん)がそんなこと(殺人)をするはずがない!」とナルホドくんへの信用を感じさせるセリフを発する。
それどころか、裁判長や霧人からチクチク言われるレベルの異議を申し立てまくるし、
ナルホドくんを疑う描写は全くと言っていいほどない。
寧ろナルホドくんが指し示した道を自分の意思で進んでいく。
そして裁判の結果ナルホドくんは無罪だと分かる訳だが、
その最中、オドロキくんは気づかないうちにナルホドくんによって捏造した証拠を使わされることになる。
そしてオドロキくんは「それ(捏造)は弁護士としてやってはいけないことです!」と声を上げ、
会話の流れでナルホドくんを殴ってしまうのだ。
…普通この流れを経たら、どうなるだろうか?
「あの噂は本当だったのだ、もう信じられない」と見放す人が大半ではないだろうか。
ヘタしたら縁を切るレベルだろう。
普通に考えれば。
だがオドロキくんはそうではなかった。
2話でナルホドくんに呼び出され、
「来るつもりは無かった!」と言いつつも、
話の流れで仕事を引き受けることとなったオドロキくん。
で、案の定殺人事件が起こるのだが、
その捜査中にナルホドくんを参考にしているような言動をする。
しかも、3話でナルホドくんに「見込んだだけのことはあるね」と言われるシーンでは、
オドロキくんは「オレのこと見込んでくれていたんですか!」と色めき立つのだ。
…あれ?意外とナルホドくんのこと嫌いになってないのか?寧ろ好きなのか?
…というと、どうもそんな単純な話でもないようだ。
2話では「今の成歩堂さん、ちょっと苦手だけどね」と語っているし、
4話(最終話)でもまだ溝を感じる。
だが "今の" 成歩堂さんが苦手ということは、
オドロキくんは弁護士時代のナルホドくんを知っていることになる。
しかしナルホドくんとオドロキくんは「霧人の事務所で出会った」と4話で語られているので、
少なくともナルホドくんは弁護士時代にオドロキくんと会ったことは無いはずだ。
(ナルホドくんが忘れていなければ)
であれば、
やはりオドロキくんは資料を読んだ時などに、
ある種一方的に過去のナルホドくんを知ったのだろう。
そして1話に繋がる…といった時系列になるはずだ。
これらの流れを踏まえて、
オドロキくんからナルホドくんに関しての行動を見てみてると、
・過去のナルホドくんが担当した事件の記録を結構読み込んでいる
・その割には7年前の事件は噂しか知らないし、
相手検事が響也だったことは勿論、先生の霧人が響也の兄であることも全く知らなかった
・捏造の証拠を使わされても、完全には軽蔑していない
・見込まれていると知れば喜ぶ
・だが100%盲信している訳でも無い
…になるのだが…
…なんだか点と点が繋がらない。
捏造の証拠品を使わされたこともあり、
1話序盤より辛辣になっているとは感じるが、
そもそも何故ナルホドくんにあそこまで思い入れがあったのかは分からない。
…うーん頭打ちになってしまった。
次は少し攻め方を変えて、
弁護士としてのオドロキくんの理解を深めるために、別の角度から彼を見ていくことにする。
"結果"重視
上でも書いたが、弁護士・王泥喜法介は
兎に角「真実の追求が最優先」の弁護士だ。
正直彼の中の優先順位は
「依頼人を守り無実を証明すること」より
「真実を暴くこと」の方が高いと思っている。
ここはナルホドくんと決定的に違う。
ナルホドくんは「依頼人を信じる」ことが根っこにあるからだ。
そもそも、ナルホドくんの弁護士のスタンスはどのようなものだったか。
逆裁1では、依頼人は全員完全に潔白だった。
だが2-4で「依頼人は殺人は犯していないが、殺人を殺し屋に依頼した実質の真犯人」である事件が発生。
真宵ちゃんが人質にされ無罪判決を要求されていたこともあり、
弁護士として揺れ動く。
それを経て弁護士としての答えを出し、
逆裁3-5では「依頼人が共犯者である」「師匠の想い人且つ真宵ちゃんの命の恩人が真犯人である」という真実に揺らぐことなく戦い抜く、
立派な弁護士となる。
つまりナルホドくんは段階を踏んで、
依頼人を信じる土台を叩き上げながら、
真実を見つけ出すために逃げないスタンスを確立していったわけだ。
それに対しオドロキくんは
「身内が真犯人(何だったらラスボス)」を1年目でもうやる。
しかも何が恐ろしいって、そこに葛藤や悩みはほとんどない。
3話で依頼人のマキさんが共犯者であるとつきつける時も迷いがないし、
1話でも4話でも霧人を容赦なく追い詰めていく。
依頼人がグレーだろうが、身内が犯人だろうが、
「真実を追求する」というゴールが揺らぐことは無い。
特に4話の裁判中は、
なんというか「自分は自分がやるべきことをやるのみ」とでもいいたげな、
自分の役割を果たそうと全力で闇に立ち向かいながらも
ある種淡々としたものを感じる。
そんなオドロキくんが、自身のことを「俺は結果重視だ」と語るシーンがある。
「有罪にさえならなければ勝ちだ」と。
そう言われると、少し合点がいく点もある。
1話で「捏造した証拠を使わされたこと」に関してだ。
上で「オドロキくんは霧人の罪を暴いたことに対する葛藤」が見られないと書いたが、
それと同時に「捏造した証拠を使ったことに対する葛藤」も見られない。
「捏造は弁護士としてやってはいけないことだ」とは言いつつも、
その後気を病んでいるような様子は一切ない。
ナルホドくんを殴ってしまう流れもあるが、
それは捏造した証拠があったと知った時ではなく、
あくまでナルホドくんが「今もなっては(7年前に捏造した証拠を使ったかどうかは)もうどうでもいいことさ」と言った時だ。
つまり捏造した証拠を使わされたことではなく、
ナルホドくんが「過去に自分が捏造した証拠を使ったかどうかは、今となってはどうでもいい」と真実を放り出したのが、
オドロキくんの怒りに触れた訳だ。
いや普通前者の件で殴らない!?と思ってしまうが、
オドロキくんが結果且つ真実重視の人間であると考えると、少し腑に落ちなくもない。
…と、ここまでは弁護士・王泥喜法介としての彼を見てきた。
分かったような分からないような、何とも言えない感じである。
だが、彼は我々プレイヤーが操作する主人公でもあるので、
事件がまだ起きていない時や捜査パートでの様子を見ることも出来る。
これはキャラクターの理解を深める上で、非常に重要な情報源だ。
次は主に裁判パート以外のシーンから、
「王泥喜法介」の性格について見ていこうと思う。
あまりにもウブ
弁護士として胆力が有り余りすぎているオドロキくんだが、その実は意外にもピュアピュアだ。
見ているとニマニマしてしまう時すらある。
当方、未成年だとしても他人を「〜な子」と表現するのが苦手なのだが、
なぜだかオドロキくんは「とんでもない子だな君は」になってしまう。
22歳なのに。
とっくに成人してるのに。
そしてそれは他のキャラクターたちも同じようで、
オドロキくんを子供扱いする人は多い。
まぁ皆の気持ちは分からないでもない。
何せ裁判中に、敵であるはずの響也に褒められたら
こんなリアクションをしてしまうような人なのだ。
新人弁護士ということもあり、
良く言えば可愛げがあり、悪く言えばナメられやすいのだろう。
他にも、
みぬきちゃんが魔術を披露してくれる度に
オドロキくんはしっかり驚き心配し…ともう〜本当にピュア。
パンツにあれだけ慌てふためいてるの愛おしいだろ流石に。
みぬきちゃんはケロッとしているのに、
オドロキくんだけずーっと内心1人でウダウダモダモダ悶々としてるのが可愛くてしゃーない。
このウブさで22歳て。
(まぁ最終的には法廷でパンツを堂々と掲げてつきつけられるぐらいにはなるのだが)
さらに、オドロキくんはウブなだけでなく優しい面もある。
特にみぬきちゃんに関しては、優しい一面が多く見れる。
みぬきちゃんが怪我した(振りをした)らその度にガチ心配するし、
キタキツネ一家に攫われたと勘違いした時は、
みぬきちゃんを見つけて泣き、犯人に激高したほどだ。
まぁ結局これもみぬきちゃんの自作自演だったわけだが。
全部みぬきちゃんの手のひらの上。
ちなみにこれは全て2話のイベントだ。
そう、初めて一緒に捜査をする2話だけでこんなにあるのだ。
茜ちゃんや響也、その他証人等に対する辛辣な発言を見ていれば(詳しくは後述)
如何にみぬきちゃんに優しいかが分かるだろう。
「腹黒」
胆力がありピュアでもあり…となると、
如何にも主人公らしいというか、
やる時はやる、純粋で優しいキャラクターなのかと思われるかもしれない。
が、それはちょっと違うと思っている。
オドロキくんは寧ろ、凄くドライだ。
実際みぬきちゃんや茜ちゃんに
「(オドロキくんは)ワケがわからない」と言われている。
"あの" みぬきちゃんに言われるのはかなーりガチ感がある。
ちなみに「腹黒い」の意味を調べてみると、
以下のように出てくる。
オドロキくんには申し訳ないが、
これには「確かに」と言わざるを得ない。
オドロキくん、案外辛辣で口が悪いのだ。
特に響也に対しては直接口に出して言うことも多い。
これは説明するよりも実際に見た方が早い。
彼の辛辣(?)なリアクションを少しだけご紹介しよう。
こんなもんはまだまだ序の口で、
ここには載せきれないほど至る所でなかなかな発言をしている。
「恐怖のツッコミ男」ナルホドくんとはまた違う方向で毒舌だ。
しかも様々な描写から、
オドロキくんは考えていることが顔に出やすいタイプだと推測される。
初対面の時ですら、茜ちゃんに「なによ?その失礼な目つきは」と勘づかれるレベルだ。
腹の底で毒舌だわ、表情に出やすいわ、
なんだか "みぬく" までもなくオドロキくんが1番分かりやすいのでは?
と思わなくもない。
ないのだが…
王泥喜法介とは?
ここまでツラツラと書いてきた。
まとめると、
弁護士・王泥喜法介は
胆力があって
真実が第一で
成歩堂に何か複雑な感情がありそうで…
オドロキくんは
特にみぬきちゃんには優しくて
ピュアで
腹黒で
「ワケわかんない」と言われるレベルで…
…になる訳だが、
なんだか…やはり上手く点と点が繋がらない。
そう。ここまで書いておいてなんだが、
特に王泥喜法介に対してはよく分からない点が多いのが正直なところだ。
というのも、
本編においてオドロキくんの心情に関する言及があまりにも少ない。
しかもこれは意図的に書かれていないと思われる。
例えば、1話での霧人のブレイクシーンの直後は
4話でナルホドくんから真実を教わった時も
このような感じで、
オドロキくんのリアクションが省略されていることが非常に多い。
特に顕著なのは、
他者から嫌味なコメントを食らった時だ。
普通嫌なことを言われたら、
大体の人は内心に留めるにしろ口に出すにしろ、
なんらかの感情を抱くと思う。
しかし、オドロキくんは何も言わない。
何も言わないどころか、何の反応もしないし、
我々に心情を見せてくれることもない。
これは私が意図的にコメントを飛ばして編集しているとかでは断じてない。
オドロキくんは本当に何のリアクションもしないのだ。
強いて言えば、オドロキくんが反応を示したのは
響也がオドロキくんのことを初めて「おデコくん」と呼んだ時ぐらいだろうか。
だがそれも「おでこ…?」と内心思うだけだ。
(正直「おデコくん」というニックネームにはもっと物申してもいいと思うが)
流石に、響也が霧人や成歩堂弁護士について触れた時は軽いリアクションはするが、
「ぼくの兄を蹴落としてイキがってる、ボクちゃんの実力を見られるんだからね」と
チクチクどころかドスドス言葉を言われた時も
「…!」というリアクションだけだ。
後は特に何も無く平然としている。
なんでだ。分からない。もはや怖い。
こんな調子で、逆転裁判4では
いっそ清々しいくらいにオドロキくんの内心が描写されない。
さらにナルホドくんと違い、
オドロキくん自身の口から過去が一切語られないのも、
心情の読めなさに拍車をかけている。
そのためオドロキくんの家族・友達などの人間関係がどうなっているのか、
それについてオドロキくん本人がどう思っているのか分からない。
さらに言えば、原点となるはずの
なぜ弁護士となったか?
なぜ牙琉法律事務所を選んだのか?も分からない。
オドロキくんの根幹である「真実を知りたい」という気持ちは間違いないはずだが、
それは響也もやっている通り、検事でも出来るわけだ。
「弁護士」を選ぶ決定的な理由にはならない。
しかも、オドロキくんの霧人に対する感情もそこまで語られないため、
牙琉法律事務所を選んだ経緯に至ってはもう全く分からない。
…といった感じで、
出生などオドロキくんとしての原点も分からないし、
弁護士・王泥喜法介としての原点も分からないのだ。
これまでの道のり全てが謎。
ナルホドくんの過去がベースとして展開される逆裁1とは対照的だ。
ナルホドくんは言う。
「ヒトの過去はロジックと一緒だ」と。
この言葉を借りるなら、
逆裁4でのオドロキくんについて、我々は今現在という "点" でしか知ることが出来ない。
今まで歩んできた "道" が分からなければ、
現在のオドロキくんをオドロキくんたらしめるバックグラウンドも分からない。
しかも、今という点での王泥喜法介を知れたとしても、
そのオドロキくんがどこまで素なのかすら分からない。
例えば、
2人のパパがいて学生ながらも魔術師として働くみぬきちゃんや、
お兄ちゃんがいて検事とガリューウエーブのリーダー・ボーカルを兼業している響也など、
複数の立場や顔を持つ人には "素顔" というものがある。
これは1.2.3.4話で登場した、
他の全てのキャラクターにも当てはまる。
あのハミガキさんでさえ、
公証人とニュース屋の二足の草鞋である。
だが家族もおらず、弁護士として役割を果たす姿しか描写されず…なオドロキくんだけは、
4では「素顔」が明かされることは無い。
人間は多面性を持つとはよく言われるが、
そういった意味では、
逆裁4でのオドロキくんは一面しか知ることが出来ない。
オドロキくんは我々が気づいていないところで何かを演じているのか、
それとも全てを素で行っているのか、
それすら分からないのだ。
これを主人公である王泥喜法介で意図的に表現したのは、
凄く渋いというか、冒険というか…
かなり思い切った演出だな〜と改めて思う。
言い換えれば、逆裁4は弁護士・王泥喜法介の出発点を整えるための、文字通りの舞台…
言葉を選ばずに言えば前座であり、
逆裁5以降で王泥喜法介の「これから」の道が続いていく予定だったのだろう。
総括
長々と王泥喜法介について書いてきたが、
何がわかったかというと「ワケが分からない」だけだ。
9000文字超も書いてきてこれである。
身も蓋もない。
パッと見、オドロキくんは非常に分かりやすそうなビジュアルをしているため、
彼の言動をサラッと流してしまいがちだ。
だが共に捜査・裁判を進める中で、
オドロキくんがどんどんプレイヤーの手から離れていきながらも、
オドロキくんの内情が分からないまま物語が進み、謎のまま終わる…
という彼について何とも考察しづらい構成に、
当時ヤキモキした方は多かったのではないだろうか。
少なくとも当時の私はそうだった。
オドロキくんを知りたい・理解したいと、
何周も何周もプレイしたものだ。
それから10数年。
再プレイしても尚、
王泥喜法介に対する理解は深められなかった。
考えても考えても、表層を撫でただけのような感覚しか得られていない。
だが「これが!私が好きになった!王泥喜法介やー!!」と再確認することが出来た。
それだけでも充分嬉しいし、記事を書いた価値があった。
このチラ裏のような長文駄文を読んでくださっている方がいるかは甚だ疑問だが、
もしこの記事がきっかけで王泥喜法介が好きな方と繋がることができたら、非常に嬉しいと思う。
とはいえ、まだ王泥喜法介についてしか書けていない。
牙琉響也を初めとした他キャラクターたち、
みぬくという行為の立ち位置、
逆転裁判4という舞台で描かれた運命…
語りたいことはいくらでもある。
過去の自分の気持ち、今の自分の気持ちを大事に整理しながら、
逆転裁判4についての感想を書いていこうと思う。
何度でも言うが、
逆転裁判4が大大大好きなので!!!!!!
あんこでした。
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