諸悪の根源【勝手にリレーエッセイ 2023 春 #6】
混沌のグループC。
バムさんの記事を読み終えて(やり終えて)、呆然としています。
リレーエッセイを読んでいない人に是非私の置かれた状況を説明させてください。
1人目 クラッチペダルの話
2人目 青春時代のちぢれ毛の話
3人目 ちぢれ毛パート2
4人目 カオスな動画
5人目 恋愛シミュレーションゲームと
この続きを書くのが私です。
今こうして書いていても、全然意味はわかりません。
は?
あ、ちなみに、4人目と5人目は、動画の話題やゲームの話題を書いているんじゃなくて、動画とゲームを作ってるんです。
イカれてますよね?
リレー”エッセイ”ですよ?
なんでこんなことになったんでしょうね?
そう考えているうちに、あるアイデアが思い浮かびました。
***
〈本編〉
僕は、同僚の残していったそのセーターを、ただただ呆然と見つめて座っていた。
「スズキはもっと明るい色の服を着た方が良いと思うよ」
そう言って彼女がくれた、手編みのセーター。
首元は赤、そこから段々と黄色、緑とグラデーションで変化していき、裾に向かうにつれて、青になっている。
このグラデーションが、裾まで繰り返されている。
「可愛いでしょう」
彼女はそう誇らしげに言った。
おまけに今は夏だ。
美女と呼べなくもない彼女の、感性と笑顔が怖くて、拒めなかった。
それにしたって、全く、誰がこんな悪趣味な毛糸を販売しようと思ったのだ。
問題なのは、誰の目に見てもボッコボコなこと。編み物の細かいことはよくわからないが、布っていくらなんでももう少し平滑面だろ。
そういう、デコボコなオシャレもあるのかもしれないけど、どう考えても尺が短すぎる。
いっそ、子供が迷子にならないように着せるのにはふさわしいのかもしれない。
こんな服を着ていれば、どんなに広いショッピングモールでも、まず見失うことはないだろう。
迷子センターのお姉さんだって、特徴をアナウンスするのには困らないに違いない。
「JETのLUTカラーの縮れたセーターをお召しの、ショウタ君と仰る3歳の男の子」
その瞬間、もう我が子の安全が確定するのだから、そういう目的で売り出した方が良い。
しかし、これは何だってんだ?
好意と捉えてよいのか、はたまた、揶揄われているのか?
おまけに、どう見てもちぢれ毛にしか見えないものまで付いている。
その時、ふと、テレビのSDGウィークの宣伝が目に入った。
『地球の裏側に、もう着なくなった古着を届けよう』
僕はチャリを飛ばして、セーターを届けに近くの回収所まで走った。
*
その夜、夢を見た。
僕は蝶となって、れんげ畑を飛んでいた。
僕が羽根を羽ばたかせる度に、どこからともなく黒い花糸かしが、風にフワリと舞い上がる。
花の蜜を吸おうとれんげのおしべに舞い降りると、柔らかな感触が脚に心地良い。
蜜、蜜……と足元をみる。
花糸がやけに縮れている。
……いや、違う。
花糸じゃない!
ち、ちぢれ毛だ……!!!
*
彼女はボンヤリとテレビでチャリティー番組を観ていた。
24時間テレビはあんまり得意じゃない。
でも、ボンヤリと眠れない夜に観るには、丁度いいコンテンツのように思えた。
「今日は、SDGウィークで募集した古着を、地球の裏側の皆さんが着てくださっています!」
チャリティーTシャツを着たレポーターが、意味分からなそうに微笑んでいる。
地球の裏では、日本から送られた、統一感のない服を着た人々が、「ケセラセラ〜」と雨乞いをしていた。
……ん?
完全に見覚えがある。
どこかの国の民芸品で買った、どカラフルなサマーセーターだ。
とてもじゃないけれど、製品として売るようなものとは思えないような雑な仕上がりだ。
「これ、いいでしょう。ある国の民芸品なんですけどね。味があっていいですよね」
「けど、カオスな柄ですよね」
「それがいいんですよ。個性的だし、明るい色でしょう。ホラ、ちょっとね、ゴミも付いたりしてるんですけど、敢えてちょっと残してるんですよ。その方が手作りっぽいでしょ?」
自分で着るつもりは毛頭なかったが、興味本位で買ってしまった。
ある日、仕事でありえない失敗をして落ち込んでいた根暗な同僚を見て、そうだコイツにあげよう、と思ってあげたんだった。
それと同じ柄だ。
まさかの、あれと同じ柄のセーター、もう一着あったとは。
*
「ケセラセラ〜、ケセラセラ〜、ケセラセラ〜!!!」
そして彼らは熱心に雨乞いをし、それはやがて、奇跡的に恵の雨をもたらす大きな嵐を巻き起こした。
これがいわゆる、バタフライエフェクトである。
(終わり。文字数不明)
***
最後は、ゆきぽこさんです!!!
来週5/22(月)に公開予定です。
ゆきぽこさん!!!!!
ゆきぽこさんとゆきぽこさんの大切なもの全てを応援しています!
どうかご無理はなさらず。
でも、楽しみに待ってます😊
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