一番なりたいモノになれなかったとき、その後どう生きていけばいい?
若い時は夢を追う。
目標を立てて、それを叶えるために一途に頑張る。
あるべき素晴らしい姿と思う。
だけど、人生のどこかで、諦めなければならない段階に差し掛かる人がほとんどだと思う。
夢が叶わない、というだけでなく、順調に積み重ねてきたものが、ある日突然、理不尽にぶち壊されることもある。
叶えるまでのプロセスで、時間やお金、労力、犠牲にしたものが多ければ多いほど、残酷な現実にぶち当たるとどうすればいいかわからなくなってしまう。
こういう時どうすればいいのか、とてもわかりやすく描かれたドラマがあるのでオススメしたい。
あらすじ
新垣結衣さんと綾野剛さんが主演の、2013年に放送されたテレビドラマである。
テレビディレクターと航空自衛官を中心に話は展開する。
テレビディレクターの夢と挫折
テレビディレクターの方は、報道記者をしていたが、取材相手から訴えられて、バラエティ番組のディレクターに異動されてしまう。
テレビディレクターは、元々報道記者を目指していて、憧れの仕事に就けていたが、失敗してしまう。
航空自衛官の夢と挫折
航空自衛官の方は、パイロットだった。ブルーインパルス(航空ショーで飛ぶ曲芸飛行機)に憧れていたが、交通事故で怪我を負い、広報室に異動になる
パイロットの方は、難しい試験をパスして、もうすぐでブルーインパルスに乗ることが決まっていたが、乗る前にパイロット生命を絶たれてしまう。
このドラマは、その彼らが新たに置かれた場所で、どのように自分の状況を受け入れて、仕事と向き合っていくかを描いたドラマなのである。
物語の中で彼らはどのように乗り越えたか
テレビディレクターはバラエティ番組で伝えるとはどういうことかを知る
まずはテレビディレクターの方。
最初はあからさまに、バラエティ番組に興味がなく、しょうもない仕事だと思っている。
仕事内容も適当で、報道に戻りたいといつも考えている。
でも、ある時、人気の飲食店ランキングの編集をしていた時。
実際にお店を訪れた人に、味や食べ方の特徴や、店員さんとの会話の話を聞いて、自分がお店の商品を食べていないし、お店の人に話を聞いていないことに気付く。
そう思って、ナポリタンを食べもしなかったし、話も聞かなかった。写真を撮って、編集して終わり。
しかし、食べてみて、お店の人の話を聞いてみると、実は味付けにも拘りがあり、子供でも大人でも美味しく食べられるように工夫しており、広く人々に愛されていることに気付いた。
そこではたと、自分が先入観に囚われて取材し、それが他の仕事にも現れていて、報道の仕事がうまくいかなかった原因でもあったことに気付く。
そこから彼女は、だんだん、バラエティの仕事の中にも、何が伝えられるかを見出していく。
怪我したパイロットは、広報でブルーインパルスを飛ばす
怪我をしたパイロットの方はどうか。
彼の場合は、テレビディレクターの彼女とは違い、不慮の事故で不幸にもパイロット生命を絶たれた。
彼の方も、ずっと長らく、突然理不尽に長年の夢が絶たれ、抜け殻のような日々を送っていた。
だが、テレビディレクターが取材にやってきて、自衛隊に対する偏見、航空機に対する偏見をズケズケと言われ、自分がそれまで大切にしてきたパイロットとしての人生をバカにされたような気がして激怒する。
そこで彼は、広報という仕事を通じて、自分が大切にしてきたものを正しく伝えたい、という意識が芽生える。
で、自分は?
夢が叶わなかったというのとは違うのだが、あまりにもこれまで積み上げてきたものを馬鹿にされた気がして、仕事のことで死ぬほど(本当に死ぬほど)悩んだとき、はたと、自分は今、広報室にいるのだと気づいた。
似て非なる状況ではあるけど、今ここでできることもあるはずなのだと。
空飛ぶ広報室がリンクした。
少しは『空飛ぶ』広報室にできているのだろうか。
出来てるような気がしては、また手詰まりな日々。
もうブルーインパルスには乗れなくても。
もう報道には戻れなくても。
できることはある。それはわかっているのだけれど。
それが何なのか、どうすればハッキリするのか、まだハッキリとはわからないまま、広報室にいる。
でも、前よりも少しだけ、『ここで』何ができるか、それを考えて生きている。
ほとんどの人はみんな、自分なりの広報室で生きているよね?