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ボクらのファウスト・ストーリー

そもそも未来って想像もつかないからこそ未来なんじゃないのだろうか?

まあ、我ながら性格悪いなあ、と思うよ。

#想像していなかった未来

というタイトルのコンテストにこんな出だしの記事を書くなんてさ。

しかも、さらに僕が性格が悪いのは、

主催者の人たちが期待しているような

想像もしてなかった(素晴らしい)未来

についてのエピソードなんて絶対に書いてやるもんか

と固く心に誓っているところだ。

けど、別にパンクな気分ってわけじゃない。

セックス・ピストルズはもう歌えない。

代わりに僕が今、歌いたいのは、

西田敏行の

「もしもピアノが弾けたなら」

だ。

そう、子供の頃からずっと好きだった有名人の突然の訃報とか、

そーゆー

想像もしなかった(素晴らしくない)未来

についてもちゃんと陽の目を当てないと、

なんだか片手落ちだよなー

とどうにも座りの悪い気持ちになるのだ。

それは別にこのコンテストに限らず、すべてのコンテストに対して感じていることだけどね。

片目だけで見た世界は、それがどんなに素晴らしくて感動的でも、すぐに消費されて、すぐに忘れ去られるファストストーリーだ

というのが僕の個人的な感想だ。

もちろんその効能は決して否定しないけど(手っ取り早く感動できるし、辛い時に読んで励まされる人もたくさんいるだろう)、目下、no+eを書く気力もなくなるほど草臥れ果てた僕が、今、切実に求めてやまないのは、そんなお為ごかしじゃなくて、ちゃんとおのれの両の眼を見開いて、

素晴らしくもあり、

同時に

ちゃんと残酷で悲惨でもある

この世界に対峙した人々が綴った

ファウストストーリー

なのである。

そんな僕は最後にお詫びと共に、前言を翻したい。

想像できる未来がひとつだけあったわ。

それは、この記事が僕のコンテスト初受賞作になる

という未来である。

と、ここまで書き終えたところで、カフェの店員さんが

「(僕が注文した)Lサイズのカフェオレがなかったので」

と恐縮しながら、MサイズとSサイズの2つのカップを持ってきてくれた。

なんだか肩の力が抜けて、途端にやさしい気持ちになった。

うん、素晴らしかろうがそうじゃなかろうが、

想像してなかった未来

ってやっぱいいものだね!

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