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日本インドネシア化計画

最近、Derorians(デロリアンズ)というバンド?人?の曲が好き過ぎてヘビロテしまくっているのだけど、気になってどこの国の人か調べてみたら、なんと

インドネシアのジャカルタ

の人だった。てっきりメキシコとか中南米あたりの人だとばかり思っていたんだけどなあ。

しかし、インドネシアかあ。

ジャカルタかあ。

と思わず感嘆してしまったのは、たった一度ではあるけれど、仕事で訪れたことがある場所だからだ。

で、他のアジアの国と比べて、明らかに田舎というか、こんな言い方どうかと思うけど、後進国だと思ってしまったんだよね。

でも、むしろ西欧諸国に追いつけ追い越せと必死になっている国たちよりも、好感を抱いたのもよく覚えている。

ちなみに当時(20年くらい前)のジャカルタは、テロが多発していたため戒厳令が敷かれていて、町中に兵隊さんが配備されていてとても物々しい雰囲気だった。

それが最初の印象。

でも、現地スタッフ二人が運転する車で、インドネシアを代表する大企業への訪問を繰り返していくうちに、そんな緊張感もどんどん薄れていった、というか、気づいたら自分の海外出張史上、もっとも弛緩した自分がいた。

というのも、大企業なんて言っても、日本みたいなピカピカなタワービルに入っているわけじゃなくて、3階建くらいのガサツな作りの白いビルが本社だったし、そこで白の開襟シャツ姿の褐色の肌をしたオジサンたち相手に、カタコトの英語でプレゼンして、ちょっと質疑応答したらそれでおしまいだからね。

でも、何気に僕にとっていちばん印象深い海外出張でもあったのは、完全に現地スタッフ二人のおかげだった。

駐在の日本人の先輩がしきりに

「インドネシア人って全然真面目に働かないんだけど、こいつらはまさにその象徴みたいなヤツだ」

とぼやいていたのだけど、確かに終始、働いている感ゼロな人たちだった。着ている服もなんかアロハみたいなヤツだったし、ほとんど喋らないノッポとデブのコンビは、まるで往年のアボット&コステロ(アメリカの喜劇コンビ)かよく言えば、ベルーシ&エイクロイド(「ブルースブラザーズ」)みたいだった。

で、たまたまラマダン(断食)だったせいなのか何なのか知らないけど、とにかく運転が荒くて、舗装されていない土の道で、何度か路上に転がっている犬や人を轢きそうになってた(笑)

しかし、何よりも印象に残っている、というか、いまだに夢に出てくるのは(もちろん悪夢で)、郊外のお客さんのところに向かう道中のエピソードだった。

僕らはいわゆる高速道路に乗って目的地を目指していたのだけど、その高速道路の路面がありえないくらいデコボコしていて、にも関わらず、彼らの運転は荒いままだったから、本当にまるであのルパンのカリオストロの城のカーチェイスばりに、何度も車が大きく宙に浮いたのだった。

なんて冷静に振り返っているけれど、リアルタイムでは、まったく生きた心地がしなかった。というか、ここで僕はきっと死ぬんだろうと、本気で思っていた。

まあ、ここでこんな記事を書いているということは、無事だったわけだけど。

しかし、そんなジャカルタのアボット&コステロを含め、あんまり真面目に働いてなさそうなインドネシア人(実際、昼間から家やお店の軒先でボッーとお酒を飲んでいる人たちもたくさんいた)のことを僕はちっとも嫌だとは思わなかった(実際、一緒に働いたらきっとうんざりするのだろうけど(笑))

だって、こんな赤道直下に近い場所で毎日、灼熱の太陽の陽射しなんか浴びてたら、それこそ働く気なんかなくして当然だろう。

でも、みんなそれなりに暮らしていて、よく見ると満足そうな笑顔を浮かべている人すらいた(錯覚かもしれないけど(笑))

だから、このまま温暖化が進んでこの日本がジャカルタみたいな気候になったら、それこそ僕も彼らを見習って、昼からビールを飲んでぐでたまみたいにグタッーと軒先でくつろぐつもりだ。

そのときは、もちろん、こんなご機嫌なBGMをかけながら、ね。

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