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瞳をとじて、君を描くんだろうな

小学3年生の春に起きたある出来事がきっかけで、息子はほとんど学校に行けずに、気づいたら、11歳になっていた。

その間、彼にとって、一番の友達は、もしかしたら僕だったのかもしれない。

今日だって、朝起きてすぐにスマブラの対戦をして、それから彼が好きな担々麺のお店で2人でランチをして、最後は、明日の釣りのために、自転車を漕いで釣具屋さんに釣りの仕掛けと餌を買いに行っていたし。

同じ年頃の少年たちは、きっともう友達と遊ぶのに夢中で、お父さんのことなんて見向きもしないだろうから、僕はある意味、めちゃくちゃ幸せな人間なんだろうなと思っている。

でも、一方で、学校という社会に揉まれなかった結果、年齢の割に純粋で、ある意味、子供っぽい彼のことを少し心配してもいた。

だって小学5年生なのに、いまだに普通に親と手を繋ぐしね。

けど、そんな彼もそう遠くない未来に思春期を迎えて、立派な青年になって、きっと素敵な友達もできて、今みたいに、お父さん、お父さん、なんて言わなくなるんだろうなあ。

それは僕がずっと待ち望んでいたとても嬉しい未来なはずなのに、でも、それ以上に、さみしい気持ちになっている自分にもちゃんと気づいていた。

そして、釣具屋さんで真剣に仕掛けを選ぶ息子の横顔を可愛いなあと思いながら見つめていたら、突然、平井堅の「瞳をとじて」が店内BGMとして流れてきた。

このとき、僕は

「そうか。いつか僕もこの歌の歌詞のように瞳を閉じて、少年時代の君を思い描くときがきっと来るんだろうな。」

と思った。

でも、そのとき本当に色とりどりの君の姿を思い浮かべられる自分は、やっぱり幸せ者なんだろう。

ずっと奇跡なんか信じてなかった。

でも、君が僕の前に現れたことは、紛れもなく奇跡だって思っている。

だから、間違いない。

明日こそ、必ず釣れるはずさ。

9/17 17:48追記

釣れましたっ!


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