魔法を信じ続けるかい?
うちはこれまで毎年、クリスマスには必ずサンタクロースが来てくれて、息子の欲しいプレゼントを届けてくれていた。
ちなみに、直近の戦績(?)は以下の通りである。
2020年(7歳): 釣り竿セット
2021年(8歳): 任天堂Switch
2022年(9歳): 緑色の自転車
しかし、今年、彼から欲しいものを聞かされたとき、これはさすがのサンタでも無理かもしれない、と正直、思ってしまった。
だって、
「魔法の杖が欲しい!」
とか言い出すんだもん。
ちなみに、それは決して彼が突然、幼児退行したわけでも、サンタを困らせてやろうと企んだわけでもなく、(「サンタは実はお父さんやお母さんなんだよ」と言う人達もたくさんいるけれど)、本当に
「サンタクロースはいるんだって信じ続けたい」
という息子の純粋な気持ちの表れでもあったから、
親としてはなおさら困り果ててしまったのだった。
だって、いくら天下のサンタクロースでも魔法の杖はさすがに無理っしょ・・・。
だけど、もちろん僕が出来ることなんて何ひとつないから、ただただ、クリスマスを迎えるその日まで、
「サンタさん、今回はかなりな無理ゲーだと思いますが、どうか息子の夢を叶えてあげてつかあさい」
と祈り続けるほかなった。
そして、いよいよ迎えたX day(Xmas day)の
12月25日
いつもより早い朝6時に起床した僕は、とにかく気が気じゃなくて、息子が眠る寝室に直行した。
すると、彼の傍らには、緑色の不織布で包まれたプレゼントらしきものが置かれてあった。
ただし、その包装された状態では、何が入っているかはまったく検討がつかない。
呑気にイビキをかいている息子の肩を揺らしながら、僕は
「サンタさんからなんか届いてるで!」
と言って彼を起こそうとしたが、なかなか起きてくれない。
なんとなく起きたくない彼の気持ちも分からないでもないけれど・・。
しかし、辛抱強く彼に声をかけ続けたら、息子はようやく目を覚まし、立ち上がってあたりをキョロキョロと見回し始めた。
寝ぼけ眼のせいでなかなか傍らのブツに気が付かない彼に向って僕が指でそれを指し示す。
そしたら、急に意識が覚醒したみたいに、
「お〜、何だこれは?」
と言いながら、そのプレゼントの包装を解き始める息子。
緑色の不織布を剥いだら、透明のビニールの中に茶色い紙に包まれた棒状のものが入っていた。
その形状以上に、その過剰包装ぶりになんだか大事なものが入ってそうな予感を感じた僕たちは俄然、期待に胸を膨らませる。
中身を傷つけないように、慎重にハサミを使いながら、息子がビニールと紙の包装を外すと
そこには、なんということでしょう
まぎれもない
魔法の杖
があるではあ~りませんか!
(皆さん、チャーリー浜風にお読みください)
いや、正直に言うと、息子と僕が全く想像もしていなかったカタチではあったけれど(というかこんなの初めて見たわ)、見た瞬間に、
「これ、ほんまもんやん!」
と思ってしまうような代物だったのだ。
「や、ヤバい・・・。マジ、サンタいたわ・・。」
と興奮を抑えきれない息子と僕。
さらに、杖に付けられていた小さな封筒の封を息子が丁寧に剥がすと、その中には「K」という息子の名前のイニシャルが書かれたカード(トランプのカード?)が入っていて、その表面には手書き(筆記体)で
Sina vait tehda sen
という文字が書かれていた。
察しのいい息子が「これって(サンタが住んでいると言われている)グリーンランドかフィンランドの文字かも・・・。」と言い始めたから、僕が早速、スマホで調べてみたら、確かにそれはフィンランド語だった。
さらに、翻訳ツールでその文字の意味を調べると、その言葉は、
あなたはただそれをするだけです
という意味だった。
「それ」って、よーするに魔法のことだよね?
「やっぱり、これ、単なるオシャレな杖とかじゃなくて、本物の魔法の杖やん!」
と僕らは目を丸くしながらお互いの顔を見合わせた。
ちなみに、そのカードにはKという文字の他に数字の8が書かれてあって、これはどーゆー意味なのかなぁ、と二人で悩んでいたのだけど、8の文字の右横に横棒が一本引かれていたことに気付いた僕は、もしかするとこれは縦に読むのではなくて、横に読むのではないかと推理した。
つまり、これは8ではなくて、
∞
なのだ。
そうか!
つまり、これって
魔法の可能性は∞(無限大!)
っていうサンタからのメッセージなのかもしれない。
「いや、これでもう魔法の杖、確定やん!」
僕と息子は手をつないで、キャッキャキャッキャと飛び上がって喜んだ。
ちなみに入っていたのはこのカードと杖だけだったので、きっと
「杖は私が上げたから、魔法は自分で何とか習得しろ」
ということなんだろう。
そんなまるで作り話のような、でも今朝、我が家で本当に起こった
クリスマスの日の奇跡。
そう、きっとサンタは毎年やってくるし、魔法だって使えるのだ。
僕たちがそれを信じ続けてさえいれば、ね。