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一生ものの宝物を買った

先日、購入した、友人が自主制作した本。

といっても、一般的な本をイメージしていたら、あなたはきっと痛い目にあるだろう。

だって、その本のタイトルは、

「本になりたがらない本」

だし、実際、届いた本の

その本になりたくない駄々っ子ぷり

に驚きを隠せない人がいたという噂も聞いている。

でも、僕は、その「本」を実際に手に取った瞬間、

「ああ、僕は一生この本を手放さないだろうな」

と確信したのだった。

まだ読んでもないのに、そう思ったのは、きっと

モノとしての存在感

がとてつもなかったからだろう。

持っているだけで、心が満たされる

まさにそんな感じ。

だから、実は届いてから、少し斜め読みしたきり、僕はその本を自分の大切なトレジャーボックスにしまってしまった。

でも、と同時に、いつか必ず僕はその宝箱の鍵を開ける日が来るだろう、という強い確信もあった。

そして、その日は意外と早く訪れた。

昨日のことだ。

その日の朝、僕はなんとなく胸騒ぎがして、宝箱からその本を取り出して自分の鞄の中に入れて一緒に会社に連れていったのだった。

そして、午前の仕事が終わったとき、案の定、ささいなことがきっかけで呼吸困難に陥った僕は、その本の入った茶色い封筒を抱えて外に飛び出した。

そして、ミルクティーが美味しいお気に入りのカフェの一人がけのふかふかのソファに座って、彼女の本のページをめくった。

一文字、一文字、胸に刻み込むように読み進めていくうちに、先ほどまで硬直していた両肺が嘘みたいにやわらかくなっていき、徐々に息も出来るようになった。

なぜそうなったのかは分からない。

いや、正解には、

分かってはいるけど、

言葉にできない。

半分ほど読んだところで昼休みが終わった僕は目を閉じて、作者の彼女の姿を思い浮かべた。

彼女と実際に会ったのは確か3回だ。

会うたびに髪型も服装もかなり変わっていたけれど、ひとつだけ揺るぎなく変わらないものがあった。

それは

まるで満点の星空みたいに

キラキラと光り輝く瞳

だった。

その文才に多くの読者から惜しみない賛辞が送られている彼女だけれど、もしかしたら

彼女はただその瞳を通じて見た世界をありのままに描いているだけなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。

でも、どちらにしたって、

その微熱少女のフィルターを通して見た世界は、

今の僕を取り巻く現実世界よりも

ずっと

いや、

ずーーーーーーっと

あたたかくて、

つめたくて、

たのしくて、

せつなくて、

おかしくて、

やさしくて、

ブルーで、

ハッピーで、

つまりは、

めちゃくちゃ生きている

って感じしかしなくて

だから、こんな僕でも

もう少し生きてみようかな

という気持ちにさせてくれたのかもしれない。

だから、僕はこれからも時々宝箱から取り出してはその本を読む続けていくに違いない。

たぶん死ぬまでずっとね。

確かに耐久性も申し分ない仕様だしね😁

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