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文具店に行って、イラストを描いてみる

いや、さすがに0円でなくてもいいだろう、と我に返って。



文房具屋さんに行った。イラストを練習するために紙とペンを買う。マルマンのスケッチブックと、パイロットの0.4のペン、消しゴムで消せる色鉛筆を買った。


文具店を久しぶりに見回すと欲しいものがあとからあとからとめどない。スケジュール帳は可愛いし、レターセットはきらきらしているし、色々な太さの筆が呼んでいる気がするし。何と言っても紙の匂いが、居心地よくてなかなか出られない。

密を避けるため、買い物は人家族につき20分と決められているそうなので、渋々、出た。


帰りに夫がパンを食べたいというのでパン屋さんにも寄った。文具店とパン屋さんに寄れるなんて今日はなんだかオシャレな日だな、と勝手に満足している。パン屋さんではカツカレーパンというものを買った。揚げたかつにカレーソースがかかったものがナンの上に乗っているというパンで、インド風でもあり和風でもあるという贅沢な品だった。


夫は酢豚パンというものを買っていた。カレーパンの中身が酢豚だった。すごく美味しいらしかった。夫は昔、中国に旅行した時に北京ダックを食べてからというもの中国料理と名のつくものならばなんでも食べる覚悟だ、というくらい中華が大好きで、今回も酢豚と見つけたときには即決だった。


近くの公園に腰を下ろして二人でパンをかじる。イチゴ牛乳も買ってきたので、二人で分けた。バナナセーキも買えばよかったな、隣にあったのに、と思ったけれど夫には言わなかった。


文房具、ってさ。夫が言う。びんぼうぐ、って言いそうになる時があるから気をつけないと、ということだそうだ。たしかに、日常生活の中で役に立つことこの上ない具たちが、貧乏呼ばわりされたら、と想像してみた。


家に帰って改めてカバンから文房具を出して眺めていると、だんだん絶望的な気持ちになってきた。こんなことをしていて。もっと治療に専念して早く働けるようにしたほうがいいんじゃないか。フルタイムとかで働いたほうが偉いんじゃないか。せめてアルバイトでも。こんなことしてる場合か。甘えだ。

次から次から溢れてくる叱責のようなもの?を振り切って、ページを一つめくって何を描くか考える。


わからないけれど、まずはピンタレストで見つけた、いいなと思える写真を自分なりに写してみた。そのままうまく模写するのではなく(そんなことできない)、出来るだけ自分のスタイルになるように写すよう心掛けた。

注意)このあととんでもなくネガティブです


書いている間も、心の声がでるわでるわ。もう世の中のマイナスなことをギュッと凝縮して2晩煮込みました、みたいな濃厚なものだった。

白いページを見る(こんなことしてていいのか)

ペンの蓋をぽん、と取る(こんなことしたってなんの意味もない)

そうか、下書き。色鉛筆を握り直して(恥をかくだけだ。いまだって十分恥をかいているのに)

向かって左側から書いていく。女の子を描こう(私が好きなことを始めたところで何も変わらない)

一人、パンケーキを頬張っている女の子を描く(やっぱり。こんなものだろうと思った。みんなに言いふらした割には人に見せられないほど下手くそだな。破って捨てたほうがいい)

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次に振り返っている女の子(こんなイラストを描く人ならどこにでもいる。こんなものを見て、喜ぶ人なんて一人でもいるはずがない)

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次は本を読んでいる女の人(今の自分が今まで一番情けない。早くこんなのやめて、もっと有意義なことをしよう)

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前から欲しいと思ってたサンダルも描いておこう(もうやめよう。これを描いたら本当にもうやめてくれ・・・!)

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そしていま、心の声の言うことを聞いて、ちょっと休憩しているところです。私の心の声はとんでもなくこんなかんじで、こんなことを言われ続けていれば当然自分のことも好きになれないはずだわ、とカフェオレを飲んでいるのでした。


昔、どこかでイラストレーターの名言みたいなのを読んだことがあって。自分のスタイルを見つけてからが、イラストレーターとしてのスタートラインだ、みたいなことが書いてあったな。


あ、またきた。(あんたはスタイルも何も、スキルがないんだから、今かけている以上のものなんてかけるはずがないよ。今の汚い絵が、あんたの限界だよ。才能がないんだよ)

なるほど。というわけで、今かけるものが私の限界のようなので、今かけるものにありがたいと感じながら書いていくようにします。今日は私の頭の中の、恐ろしい司令官と付き合っていただき、ありがとうございました。






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